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第 1 章 練習問題

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Basic(基礎)

B-1. 地表での重力加速度の計算

地球の質量 \(M_\oplus \approx 5.97 \times 10^{24}\ \mathrm{kg}\)、半径 \(R_\oplus \approx 6.37 \times 10^6\ \mathrm{m}\) を使って、地表での重力場の大きさ \(|\mathbf{g}| = GM_\oplus/R_\oplus^2\) を計算し、高校で習った重力加速度 \(g \approx 9.8\ \mathrm{m/s^2}\) と一致することを確認せよ。

ヒント

\(G \approx 6.67 \times 10^{-11}\ \mathrm{N \cdot m^2/kg^2}\) を代入して計算する。

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B-2. 重力ポテンシャルの \(x\) 成分の微分

質量 \(M\) が原点にあるとき、重力ポテンシャル (gravitational potential) は \(\Phi = -GM/r\) である。直交座標 \((x, y, z)\)\(r = \sqrt{x^2 + y^2 + z^2}\) として、\(\partial \Phi / \partial x\) を計算し、重力場の \(x\) 成分 \(g_x = -\partial \Phi / \partial x\) を求めよ。

ヒント

\(\partial r / \partial x = x/r\) を用いて連鎖律(チェインルール)で微分する。

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B-3. 重力場のベクトル表示

問題 B-2. 重力ポテンシャルの \(x\) 成分の微分 の結果を \(y\) 成分・\(z\) 成分にも拡張し、\(\mathbf{g} = -\nabla\Phi\) が式 (1.3) の \(\mathbf{g} = -GM\,\hat{\mathbf{r}}/r^2\) と一致することをベクトルの形で示せ。

ヒント

\(\hat{\mathbf{r}} = (x/r,\; y/r,\; z/r)\) であることを使う。

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B-4. 2 つの点質量による重ね合わせ

2 つの点質量 \(M_1\)(原点に配置)と \(M_2\)(位置 \(\mathbf{r}_0\) に配置)が作る重力ポテンシャルの合成を、重ね合わせの原理 (superposition principle) を用いて書き下せ。さらに、位置 \(\mathbf{r}\) における重力場 \(\mathbf{g}(\mathbf{r})\) を求めよ。

ヒント

Poisson 方程式は線形なので、各質量が作るポテンシャルの和が全体のポテンシャルになる。

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B-5. \(\nabla^2(r^n)\) の計算

球座標 \((r, \theta, \varphi)\) における Laplacian (ラプラシアン) の動径部分は

\[ \nabla^2 f(r) = \frac{1}{r^2}\frac{d}{dr}\!\left(r^2 \frac{df}{dr}\right) \]

である。\(f(r) = r^n\)\(n\) は整数)に対して \(\nabla^2(r^n)\) を計算し、\(n\) の値で整理せよ。

ヒント

\(df/dr = n\,r^{n-1}\) を代入し、\(r^2 \cdot n\,r^{n-1}\)\(r\) でもう一度微分する。

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B-6. 点質量外部での Laplace 方程式

問題 B-5. \(\nabla^2(r^n)\) の計算 の結果を用いて、\(\Phi = -GM/r = -GM\,r^{-1}\) に対し、\(r \neq 0\)\(\nabla^2 \Phi = 0\) となることを確認せよ。この結果が Poisson (ポアソン) 方程式 \(\nabla^2 \Phi = 4\pi G\rho\) と矛盾しない理由を述べよ。

ヒント

\(r \neq 0\) では点粒子の質量密度 \(\rho = M\,\delta^3(\mathbf{r})\) がゼロであることに注意する。

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B-7. 一様密度球内部のポテンシャル定数

一様密度 \(\rho_0\)(定数)の球(半径 \(R\))の内部で、ポテンシャルが \(\Phi(r) = Ar^2 + B\)\(A, B\) は定数)の形をとると仮定する。Poisson 方程式 \(\nabla^2 \Phi = 4\pi G\rho_0\) に代入して、定数 \(A\)\(G\)\(\rho_0\) で表せ。

ヒント

問題 B-5. \(\nabla^2(r^n)\) の計算 の結果で \(n = 2\) のときの \(\nabla^2(r^2)\) を使う。

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B-8. 重力場の発散と Poisson 方程式

重力場 \(\mathbf{g} = -\nabla\Phi\) の発散 (divergence (ダイバージェンス)) \(\nabla \cdot \mathbf{g}\) を Poisson 方程式を用いて \(\rho\) で表せ。

ヒント

\(\nabla \cdot \mathbf{g} = \nabla \cdot (-\nabla\Phi) = -\nabla^2\Phi\) と書ける。

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B-9. 瞬時伝播と特殊相対論の矛盾

Newton の重力モデルでは、太陽が突然消えた場合、地球はその瞬間に直線運動を始める。光が太陽から地球まで届く時間(約 8 分)を計算し、Newton モデルと特殊相対論の矛盾を具体的な数値で説明せよ。

ヒント

太陽–地球間の距離 \(\approx 1.5 \times 10^{11}\) m を光速 \(c \approx 3.0 \times 10^8\) m/s で割れ。

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B-10. 太陽表面での相対論的効果の見積もり

太陽の質量 \(M_\odot \approx 1.99 \times 10^{30}\ \mathrm{kg}\)、半径 \(R_\odot \approx 6.96 \times 10^8\ \mathrm{m}\) を使って、\(GM_\odot/(R_\odot c^2)\) を計算せよ。この値から、太陽の表面近くでの相対論的効果の大きさを見積もれ。

ヒント

\(c \approx 3.0 \times 10^8\) m/s を用い、分子 \(GM_\odot\) を計算してから \(R_\odot c^2\) で割れ。

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B-11. 中性子星の相対論判定基準の概算

無次元量 \(GM/(Rc^2)\) について、中性子星 (neutron star) の典型的な質量 \(M \approx 1.4\,M_\odot\)、半径 \(R \approx 10\ \mathrm{km}\) を用いて、この量を \(G\), \(M_\odot\), \(R\), \(c\) を含む式のまま整理し、概算値のオーダー(\(10\) の何乗か)を求めよ。

ヒント

\(GM_\odot/c^2 \approx 1.48\ \mathrm{km}\) という関係を使うと見通しがよい。

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Medium(標準)

M-1. Gauss の法則から Poisson 方程式の導出

重力場に対する Gauss の法則は、閉曲面 \(S\) で囲まれた領域 \(V\) に含まれる全質量 \(M_{\mathrm{enc}}\) に対して

\[ \oint_S \mathbf{g} \cdot d\mathbf{A} = -4\pi G\,M_{\mathrm{enc}} \]

と書ける。\(\mathbf{g} = -\nabla\Phi\) と発散定理 (divergence theorem) を用いて、この積分形から Poisson 方程式 \(\nabla^2\Phi = 4\pi G\rho\) を導出せよ。

ヒント

発散定理 \(\oint_S \mathbf{g} \cdot d\mathbf{A} = \int_V \nabla \cdot \mathbf{g}\; dV\) を適用し、\(M_{\mathrm{enc}} = \int_V \rho\; dV\) を使う。任意の体積 \(V\) で等式が成り立つことから微分形を得る。

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M-2. 一様密度球のポテンシャルの完全解

半径 \(R\)、一様密度 \(\rho_0\)、全質量 \(M = \frac{4}{3}\pi R^3 \rho_0\) の球について、以下を行え。

(a) 球の外部 (\(r > R\)) では \(\Phi_{\mathrm{out}}(r) = -GM/r\) であることを、球対称の Poisson 方程式(\(\rho = 0\))を解いて示せ。

(b) 球の内部 (\(r < R\)) で Poisson 方程式を解き、\(\Phi_{\mathrm{in}}(r)\) を求めよ。ただし、\(r = R\) でポテンシャルとその微分 \(d\Phi/dr\) が連続であるという境界条件を用いよ。

(c) \(r = 0\) での \(\Phi\) の値を求め、表面での値 \(\Phi(R)\) と比較せよ。

ヒント

内部では \(\Phi = Ar^2 + B\) の形を仮定し(問題 B-7. 一様密度球内部のポテンシャル定数 の結果を利用)、\(r = R\) での接続条件 2 つから \(A\)\(B\) を決める。

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M-3. 水星の近日点移動のスケール評価

水星の軌道長半径 \(a \approx 5.79 \times 10^{10}\ \mathrm{m}\) に対して、無次元量 \(GM_\odot/(ac^2)\) を計算せよ。この値が、100 年あたり 43 秒角 (\(\approx 2.1 \times 10^{-7}\ \mathrm{rad}\)) という近日点移動の「Newton モデルからのずれ」のオーダーと対応していることを、次元解析的に議論せよ。

ヒント

水星の公転周期は約 88 日なので、100 年間の公転回数を見積もり、1 公転あたりのずれ角を \(GM_\odot/(ac^2)\) と比較する。

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M-4. 波動方程式と Poisson 方程式の比較

電磁気学の波動方程式

\[ \left(\nabla^2 - \frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\varphi = -\frac{\rho_e}{\varepsilon_0} \]

において、ソース \(\rho_e\) が時間変化しない場合(静電場)にこの方程式がどのような形に帰着するかを示せ。さらに、Newton の Poisson 方程式との構造的な類似点と相違点を整理せよ。

ヒント

\(\partial/\partial t = 0\) とおくと時間微分の項が消える。残った式を静電場の Poisson 方程式と比較する。

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Advanced(発展)

A-1. スカラー重力理論の試み

Poisson 方程式 \(\nabla^2\Phi = 4\pi G\rho\) に時間微分を加えて、形式的に

\[ \left(\nabla^2 - \frac{1}{c_g^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\Phi = 4\pi G\rho \tag{$\ast$} \]

とすれば、重力の変化が速度 \(c_g\) で伝播する「重力波動方程式」が得られる。

(a) \(c_g = c\)(光速)とおいたとき、この方程式の平面波解 \(\Phi = \Phi_0\,e^{i(\mathbf{k}\cdot\mathbf{r} - \omega t)}\)(ソースなし、\(\rho = 0\))に対する分散関係 (dispersion relation) \(\omega(\mathbf{k})\) を求めよ。

(b) この修正で Newton モデルの「瞬時伝播」問題は解消されるが、実はこのスカラー (scalar) 重力理論には別の深刻な問題がある。電磁気学では場がベクトルポテンシャル \(A^\mu\) で記述されることと対比しながら、スカラーポテンシャル \(\Phi\) だけで重力を記述することの限界を物理的に論じよ。(ヒント:ソースとなる物理量に着目せよ。特殊相対論ではエネルギーと運動量が統一されることを思い出すこと。)

(c) \((\ast)\) 式で \(c_g \to \infty\) の極限をとると Poisson 方程式に帰着することを示し、これが「Newton 重力は \(c \to \infty\) の近似である」という主張と整合することを説明せよ。

ヒント

(a) 平面波を代入して \(\omega\)\(|\mathbf{k}|\) の関係を求める。(b) 特殊相対論ではエネルギー・運動量テンソル (energy-momentum tensor) \(T^{\mu\nu}\) が重力のソースになるべきことを考える。スカラー \(\rho\) だけでは不十分な理由を議論する。(c) \(1/c_g^2 \to 0\) とすればよい。

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A-2. 球殻定理と潮汐力

一様密度の球殻(内径 \(R_1\)、外径 \(R_2\))の内部空洞 (\(r < R_1\)) で重力ポテンシャル \(\Phi\) が定数になること(Newton の球殻定理 (shell theorem))を、Poisson 方程式と適切な境界条件から導け。

さらに、この結果を用いて以下を論ぜよ:

(a) 球殻の中心からわずかにずれた位置 \(\mathbf{r}_0\) に質量 \(m\) の物体を置いた場合、物体に働く重力はゼロか? その理由を述べよ。

(b) 球殻が完全な球対称ではなく、わずかに楕円体に変形している場合、空洞内部のポテンシャルは一定ではなくなる。このとき空洞内部に生じる重力場の性質を定性的に議論し、これが潮汐力 (tidal force) の概念とどう関係するかを説明せよ。(ヒント:一般相対論では潮汐力は時空の曲率 (curvature) として記述される。Newton 重力における対応物は何か?)

ヒント

球殻内部では \(\rho = 0\) なので \(\nabla^2\Phi = 0\)。球対称な解で \(r = 0\) で正則なものは定数のみ。(b) では \(\Phi\) の 2 階微分(重力場の空間変化)が潮汐力に対応することに注目する。

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