第 5 章 練習問題 解答¶
目次
Basic(基礎)
- B-1. Clifford 代数の基本計算
- B-2. \(\gamma^\mu \gamma_\mu\) の計算
- B-3. Dirac 共役の変換
- B-4. Lorentz 代数の組み替え
- B-5. スピノル表現のブースト生成子
- B-6. Dirac 場の Euler-Lagrange 方程式(\(\psi\) 変分)
- B-7. 共役運動量の確認
- B-8. Hamiltonian 密度の導出
- B-9. スカラー場の反交換関係と因果律の破れ
Medium(標準)
Advanced(発展)
Basic(基礎)¶
B-1. Clifford 代数の基本計算¶
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解法の方針¶
Clifford 代数 \(\{\gamma^\mu, \gamma^\nu\} = 2\eta^{\mu\nu}\mathbf{1}\) に具体的な添字を代入する。
(a) \(\gamma^0 \gamma^0\)
\(\mu = \nu = 0\) を代入すると:
よって
(b) \(\gamma^2 \gamma^2\)
\(\mu = \nu = 2\) を代入すると:
よって
(c) \(\gamma^1 \gamma^3 + \gamma^3 \gamma^1\)
\(\mu = 1, \nu = 3\) を代入すると:
よって
(d) \(\gamma^0 \gamma^2 \gamma^0\)
(c) の結果から、\(\mu \neq \nu\) のとき \(\gamma^\mu\gamma^\nu = -\gamma^\nu\gamma^\mu\) である。\(\mu = 0, \nu = 2\) は異なるので:
これを代入すると:
よって
検算¶
(d) の結果は一般的な関係 \(\gamma^0\gamma^i\gamma^0 = -\gamma^i\)(空間成分 \(i = 1,2,3\))の特殊ケースである。これは \(\gamma^0\) と \(\gamma^i\) の反可換性 \(\gamma^0\gamma^i = -\gamma^i\gamma^0\) と \((\gamma^0)^2 = \mathbf{1}\) から直ちに従い、整合している。
B-2. \(\gamma^\mu \gamma_\mu\) の計算¶
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解法の方針¶
\(\gamma_\mu = \eta_{\mu\nu}\gamma^\nu\) の定義を用いて、\(\gamma^\mu\gamma_\mu\) を Clifford 代数で評価する。
計算の詳細¶
ここで \(\eta_{\mu\nu}\) は \(\mu, \nu\) について対称であり、\(\gamma^\mu\gamma^\nu\) の反対称部分は \(\eta_{\mu\nu}\) との縮約で消える。したがって:
Clifford 代数 \(\{\gamma^\mu, \gamma^\nu\} = 2\eta^{\mu\nu}\mathbf{1}\) を代入すると:
\(d = 4\) 次元では:
検算¶
直接計算で確認する:
B-3. Dirac 共役の変換¶
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(a) \(\overline{(\gamma^\mu \psi)} = \bar{\psi}\gamma^\mu\) の証明¶
解法の方針¶
まず \((\gamma^\mu)^\dagger = \gamma^0\gamma^\mu\gamma^0\) を示し、それを用いて計算する。
計算の詳細¶
補題: \((\gamma^\mu)^\dagger = \gamma^0\gamma^\mu\gamma^0\)
- \(\mu = 0\) の場合:\((\gamma^0)^\dagger = \gamma^0\)(エルミート)。一方 \(\gamma^0\gamma^0\gamma^0 = (\gamma^0)^2\gamma^0 = \gamma^0\)。よって成立。
- \(\mu = i\)(空間成分)の場合:\((\gamma^i)^\dagger = -\gamma^i\)(反エルミート)。一方 \(\gamma^0\gamma^i\gamma^0 = -\gamma^i(\gamma^0)^2 = -\gamma^i\)(D1(d) の一般化を使用)。よって成立。
これを用いて:
(b) \(\bar{\psi}\gamma^\mu\psi\) が実数であることの証明¶
計算の詳細¶
\(\bar{\psi}\gamma^\mu\psi\) はスピノル成分を縮約した \(1 \times 1\) のスカラー量(数)である。そのエルミート共役を取ると:
ここで \(\bar{\psi} = \psi^\dagger\gamma^0\) なので \((\bar{\psi})^\dagger = (\gamma^0)^\dagger\psi = \gamma^0\psi\)。よって:
よって \(\bar{\psi}\gamma^\mu\psi\) はエルミート(古典的には実数)である。
検算¶
\(\mu = 0\) の場合、\(\bar{\psi}\gamma^0\psi = \psi^\dagger(\gamma^0)^2\psi = \psi^\dagger\psi = \sum_\alpha |\psi_\alpha|^2 \geq 0\) であり、確かに実数。これは確率密度の正定値性とも整合する。
B-4. Lorentz 代数の組み替え¶
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解法の方針¶
\([J^i_+, J^j_-]\) を定義に従って展開し、式 (5.3a)–(5.3c) を代入する。
計算の詳細¶
交換子の線形性を用いて 4 つの項に展開する:
各項に式 (5.3a)–(5.3c) を代入する:
第 1 項: \([J^i, J^j] = i\varepsilon^{ijk}J^k\)(式 (5.3a))
第 2 項: \(-i[J^i, K^j] = -i \cdot i\varepsilon^{ijk}K^k = -i^2\varepsilon^{ijk}K^k = +\varepsilon^{ijk}K^k\)(式 (5.3b))
第 3 項: \(i[K^i, J^j] = i \cdot (-[J^j, K^i]) = i \cdot (-i\varepsilon^{jik}K^k) = -i^2\varepsilon^{jik}K^k = +\varepsilon^{jik}K^k\)
ここで \(\varepsilon^{jik} = -\varepsilon^{ijk}\) なので:
第 4 項: \([K^i, K^j] = -i\varepsilon^{ijk}J^k\)(式 (5.3c))
すべてを足し合わせる:
\(J^k\) の項:\(i\varepsilon^{ijk}J^k - i\varepsilon^{ijk}J^k = 0\)
\(K^k\) の項:\(\varepsilon^{ijk}K^k - \varepsilon^{ijk}K^k = 0\)
よって:
検算¶
この結果は式 (5.5c) と一致する。また、\(\mathbf{J}_+\) と \(\mathbf{J}_-\) が互いに独立な \(\mathfrak{su}(2)\) 代数を成すという Lorentz 代数の分解構造と整合している。
B-5. スピノル表現のブースト生成子¶
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解法の方針¶
\(e^{-\frac{\eta}{2}\sigma^1}\) を Taylor 展開し、\((\sigma^1)^2 = \mathbf{1}\) を用いて偶数次と奇数次に分ける。
計算の詳細¶
Taylor 展開:
\((\sigma^1)^2 = \mathbf{1}\) より:
偶数次と奇数次に分ける:
偶数次:\(\left(-\frac{\eta}{2}\right)^{2k} = \left(\frac{\eta}{2}\right)^{2k}\) なので
奇数次:\(\left(-\frac{\eta}{2}\right)^{2k+1} = -\left(\frac{\eta}{2}\right)^{2k+1}\) なので
よって:
検算¶
\(\eta = 0\)(ブーストなし)のとき \(S_L = \cosh 0 \cdot \mathbf{1} - \sinh 0 \cdot \sigma^1 = \mathbf{1}\)。恒等変換が得られ、正しい。
また、\(\det S_L = \cosh^2\frac{\eta}{2} - \sinh^2\frac{\eta}{2} = 1\) であり、\(SL(2, \mathbb{C})\) の元であることが確認できる。
B-6. Dirac 場の Euler-Lagrange 方程式(\(\psi\) 変分)¶
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解法の方針¶
\(\mathcal{L} = \bar{\psi}(i\gamma^\mu\partial_\mu - m)\psi\) を成分で書き、\(\bar{\psi}_\alpha\) に関する Euler-Lagrange 方程式を適用する。
計算の詳細¶
成分表示で:
\(\bar{\psi}_\alpha\) に関する偏微分:
次に、\(\partial_\mu\bar{\psi}_\alpha\) を含む項を確認する。\(\mathcal{L}\) を部分積分なしでそのまま見ると、\(\partial_\mu\bar{\psi}\) は明示的には含まれていない(微分は \(\psi\) にかかっている)。よって:
したがって Euler-Lagrange 方程式は:
これは Dirac 方程式 \((i\gamma^\mu\partial_\mu - m)\psi = 0\) そのものである。
次に、\(\psi\) に関する Euler-Lagrange 方程式から共役方程式を導く。\(\mathcal{L}\) を部分積分して \(\bar{\psi}\) に微分を移す:
全微分項を落とすと、\(\psi_\beta\) に関する Euler-Lagrange 方程式は:
よって:
行列表記に戻すと:
これが Dirac 方程式の共役方程式である。
検算¶
Dirac 方程式 \((i\gamma^\mu\partial_\mu - m)\psi = 0\) の Dirac 共役を直接取って確認する。両辺の \(\dagger\) を取り右から \(\gamma^0\) を掛けると:
これは上で得た結果と一致する。\(\checkmark\)
B-7. 共役運動量の確認¶
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解法の方針¶
\(\mathcal{L}\) の中で \(\dot{\psi}_\alpha = \partial_0\psi_\alpha\) を含む項を特定し、\(\Pi_\alpha = \partial\mathcal{L}/\partial\dot{\psi}_\alpha\) を計算する。
計算の詳細¶
\(\dot{\psi}_\gamma = \partial_0\psi_\gamma\) を含む項は \(\mu = 0\) の項のみ:
\((\gamma^0)^2 = \mathbf{1}\) より:
よって:
検算¶
これは本文の式 (5.8) \(\Pi = i\psi^\dagger\) と一致する。スカラー場の場合 \(\Pi = \dot{\phi}\) とは異なり、共役運動量が場の時間微分ではなく場自身に比例するのは、Dirac Lagrangian が時間微分について 1 階であることの反映である。
B-8. Hamiltonian 密度の導出¶
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解法の方針¶
Legendre 変換 \(\mathcal{H} = \Pi\dot{\psi} - \mathcal{L}\) を実行し、\(\mathcal{L}\) を \(\mu = 0\) と \(\mu = j\) に分離する。
計算の詳細¶
まず \(\mathcal{L}\) を時間成分と空間成分に分離する:
第 1 項を整理する。\(\bar{\psi}\gamma^0 = \psi^\dagger(\gamma^0)^2 = \psi^\dagger\) なので:
(\(\Pi = i\psi^\dagger\) を使用)
Legendre 変換:
\(\bar{\psi} = \psi^\dagger\gamma^0\) を代入する:
\(\gamma^0\gamma^j\partial_j = \gamma^0\boldsymbol{\gamma}\cdot\nabla\) と書くと:
これは本文の式 (5.9) と一致する。
検算¶
Dirac 方程式 \(i\gamma^0\partial_0\psi + i\gamma^j\partial_j\psi - m\psi = 0\) より \(i\partial_0\psi = (-i\gamma^0\gamma^j\partial_j + m\gamma^0)\psi\) であるから、\(\mathcal{H} = \psi^\dagger(i\partial_0)\psi\) とも書ける。これは Dirac Hamiltonian \(H_D = -i\gamma^0\boldsymbol{\gamma}\cdot\nabla + m\gamma^0 = \boldsymbol{\alpha}\cdot\boldsymbol{p} + \beta m\)(\(\boldsymbol{\alpha} = \gamma^0\boldsymbol{\gamma}\), \(\beta = \gamma^0\))の期待値の形であり、量子力学の Dirac 理論と整合する。\(\checkmark\)
B-9. スカラー場の反交換関係と因果律の破れ¶
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交換関係の場合(因果律が保たれる)¶
実スカラー場の交換関係から得られる伝播関数は:
この被積分関数は 2 つの項の差で構成されている。第 1 項は粒子が \(y\) から \(x\) へ伝播する振幅、第 2 項は反粒子(実スカラー場では同じ粒子)が \(x\) から \(y\) へ伝播する振幅に対応する。
空間的に離れた 2 点 \((x-y)^2 < 0\) では、連続的な Lorentz 変換によって \((x-y) \to -(x-y)\) にできる。\(\Delta(x-y)\) は \((x-y)\) の奇関数:
一方、空間的領域では Lorentz 不変量 \((x-y)^2\) が変わらないので \(\Delta\) の値も変わらない。したがって:
よって空間的領域で \([\phi(x), \phi(y)] = 0\) となり、因果律(微小因果律)が保たれる。
反交換関係の場合(因果律が破れる)¶
反交換関係を課した場合:
ここで被積分関数は 2 つの項の和になる。これは \((x-y)\) の偶関数である:
空間的領域で \((x-y) \to -(x-y)\) の Lorentz 変換を行っても:
となり、奇関数の場合のような相殺が起きない。実際、\(\Delta_+(x-y) = \int \frac{d^3p}{(2\pi)^3 2\omega_p}e^{-ip\cdot(x-y)}\) は空間的領域で正定値のローレンツ不変関数であり(具体的には修正 Bessel 関数 \(K_1\) で表される)、ゼロにならない。
したがって:
これはスピン統計定理の物理的帰結である。整数スピンの場は Bose 統計(交換関係)に従わなければ因果律と矛盾し、半整数スピンの場は Fermi 統計(反交換関係)に従わなければならない。
Medium(標準)¶
M-1. 交換関係による量子化の破綻¶
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(a) 交換関係を課した場合の Hamiltonian¶
解法の方針¶
Hamiltonian \(\hat{H} = \int d^3x\,\mathcal{H}\) にモード展開を代入し、\(d\) セクターの交換関係の符号に注目する。
計算の詳細¶
D8 の結果より、正規順序を考慮しない Hamiltonian は:
Dirac 方程式の解の性質から、モード展開を代入して空間積分とスピノルの直交性・完全性関係を用いると、Hamiltonian は次の形に整理される:
ここで \(d\) セクターの項は \(\hat{d}\hat{d}^\dagger\) の順序になっている(\(v\) スピノルが負エネルギー解であることに由来する符号の処理の結果)。
交換関係 \([\hat{d}^r_{\boldsymbol{p}}, \hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{q}}] = -(2\pi)^3\delta^{rs}\delta^{(3)}(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\) を用いて順序を入れ替える:
代入すると:
定数項を除くと:
\(d\) セクターの符号が負になっている。これは \([\hat{d}, \hat{d}^\dagger]\) の符号が \(-1\) であることに直接起因する。
(b) 物理的な破綻¶
\(d\) セクターの寄与は \(-E_{\boldsymbol{p}}\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}\hat{d}^s_{\boldsymbol{p}}\) であるから、\(\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}\) を真空に作用させるたびにエネルギーが \(E_{\boldsymbol{p}} > 0\) だけ減少する。
交換関係のもとでは \((\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}})^n \neq 0\)(ボソン的統計では占有数に上限がない)であるから、\(\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}\) を何度でも作用させることができ、エネルギーをいくらでも下げられる。
これはエネルギーが下に非有界であることを意味し、安定な真空状態が存在しない。物理的に受け入れられない。
(c) 反交換関係による解決¶
反交換関係 \(\{\hat{d}^r_{\boldsymbol{p}}, \hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{q}}\} = (2\pi)^3\delta^{rs}\delta^{(3)}(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\) を用いると:
Hamiltonian に代入すると:
ここで重要なのは、\(\hat{d}\hat{d}^\dagger\) を入れ替えたときに反交換関係のマイナス符号が \(d\) セクターの元々のマイナス符号を打ち消すことである。定数項を除くと:
\(b\) セクターも \(d\) セクターも正の係数 \(E_{\boldsymbol{p}} > 0\) を持ち、粒子数演算子 \(\hat{b}^{s\dagger}\hat{b}^s\) と \(\hat{d}^{s\dagger}\hat{d}^s\) の固有値は \(0\) または \(1\)(反交換関係による)であるから、Hamiltonian は正定値(零点エネルギーを除いて)である。安定な真空が存在する。
検算¶
反交換関係の場合、\((\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}})^2 = 0\)(S2 で示す)であるから、\(d\) 粒子の占有数は 0 か 1 に限られ、エネルギーを無限に下げることは不可能。交換関係の場合の破綻が完全に解消されている。\(\checkmark\)
M-2. Pauli の排他原理の導出¶
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(a) \((\hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}})^2 = 0\) の証明¶
計算の詳細¶
生成演算子同士の反交換関係は:
(基本的な反交換関係 \(\{\hat{b}^r_{\boldsymbol{p}}, \hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{q}}\} = (2\pi)^3\delta^{rs}\delta^{(3)}(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\) 以外の反交換子はすべてゼロ、という条件から)
\(r = s\), \(\boldsymbol{p} = \boldsymbol{q}\) とすると:
(b) Pauli の排他原理¶
1 粒子状態 \(|\boldsymbol{p}, s\rangle = \hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}|0\rangle\) に対して、同じ量子数の粒子をもう 1 つ生成しようとすると:
すなわち、同一の量子数 \((\boldsymbol{p}, s)\) を持つフェルミオンを 2 個以上同じ状態に置くことは不可能である。これが Pauli の排他原理である。
フェルミオンの占有数は \(n^s_{\boldsymbol{p}} = 0\) または \(1\) のみであり、Fock 空間の各モードは 2 次元(空か占有か)に制限される。
(c) ボソンとの対比¶
スカラー場の交換関係 \([\hat{a}_{\boldsymbol{p}}, \hat{a}^\dagger_{\boldsymbol{q}}] = (2\pi)^3\delta^{(3)}(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\) の場合:
実際、\([\hat{a}_{\boldsymbol{p}}, (\hat{a}^\dagger_{\boldsymbol{p}})^2] = 2(2\pi)^3\delta^{(3)}(\boldsymbol{0})\hat{a}^\dagger_{\boldsymbol{p}} \neq 0\) であり、一般に:
離散化した場合には \((\hat{a}^\dagger)^n|0\rangle = \sqrt{n!}\,|n\rangle\) であり、同一の量子状態にいくらでも多くのボソンを詰め込むことができる。これが Bose-Einstein 統計であり、フェルミオンの Fermi-Dirac 統計とは根本的に異なる。
| フェルミオン(反交換関係) | ボソン(交換関係) | |
|---|---|---|
| \((\hat{a}^\dagger)^2\) | \(= 0\) | \(\neq 0\) |
| 占有数 | \(0\) または \(1\) | \(0, 1, 2, \ldots\) |
| 統計 | Fermi-Dirac | Bose-Einstein |
M-3. Dirac 場の等時刻反交換関係¶
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解法の方針¶
モード展開を等時刻 \(x^0 = y^0 = t\) で代入し、反交換子を計算する。
計算の詳細¶
等時刻でのモード展開:
反交換子 \(\{\hat{\psi}_\alpha(\boldsymbol{x}, t), \hat{\psi}^\dagger_\beta(\boldsymbol{y}, t)\}\) を計算する。基本的な反交換関係から、非零の寄与を与えるのは \(\{\hat{b}, \hat{b}^\dagger\}\) と \(\{\hat{d}^\dagger, \hat{d}\}\) の項のみ(クロス項 \(\{\hat{b}, \hat{d}\}\) 等はすべてゼロ)。
\(b\) セクターの寄与:
(時間依存の位相 \(e^{-iE_{\boldsymbol{p}}t}\) と \(e^{+iE_{\boldsymbol{q}}t}\) は \(\boldsymbol{p} = \boldsymbol{q}\) のとき打ち消し合う)
\(\boldsymbol{q}\) 積分と \(s'\) の和を実行:
\(d\) セクターの寄与:
\(\boldsymbol{q}\) 積分と \(s'\) の和を実行:
\(d\) セクターで積分変数を \(\boldsymbol{p} \to -\boldsymbol{p}\) と置き換える(\(E_{\boldsymbol{p}} = E_{-\boldsymbol{p}}\), \(d^3p\) は不変):
両セクターを足し合わせる:
スピノルの完全性関係を適用:
代入すると:
検算¶
\(\alpha = \beta\) として全スピノル成分の和を取ると:
これは 4 成分 Dirac スピノルの自由度の数と整合する。\(\checkmark\)
M-4. Noether カレントとフェルミオン数の保存¶
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(a) 保存カレントの導出¶
解法の方針¶
大域的 \(U(1)\) 変換 \(\psi \to e^{i\alpha}\psi\), \(\bar{\psi} \to \bar{\psi}e^{-i\alpha}\) に対する Noether カレントを計算する。
計算の詳細¶
微小変換(\(\alpha\) は無限小定数):
Noether カレントの公式:
各偏微分を計算する:
(\(\mathcal{L}\) には \(\partial_\mu\bar{\psi}\) が含まれないため)
よって:
\(\alpha\) を除いた保存カレントは(符号の規約として \(j^\mu\) を正の粒子数カレントとするため \(\alpha\) の係数を取る):
保存則 \(\partial_\mu j^\mu = 0\) は、Dirac 方程式とその共役方程式から直接確認できる:
(b) 保存電荷のモード展開¶
計算の詳細¶
保存電荷は \(j^0 = \bar{\psi}\gamma^0\psi = \psi^\dagger\psi\) の空間積分:
モード展開を代入する。\(\hat{\psi}^\dagger\hat{\psi}\) を展開すると 4 種類の項が現れる:\(b^\dagger b\), \(d\, d^\dagger\), \(b^\dagger d^\dagger\)(クロス項), \(d\, b\)(クロス項)。
空間積分 \(\int d^3x\, e^{i(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\cdot\boldsymbol{x}} = (2\pi)^3\delta^{(3)}(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\) を実行すると、\(b^\dagger b\) と \(d\, d^\dagger\) の項は \(\boldsymbol{p} = \boldsymbol{q}\) で生き残る。
クロス項は \(e^{\pm 2iE_{\boldsymbol{p}}t}\) の時間依存性を持ち、かつスピノルの直交性
(\(\boldsymbol{p} \to -\boldsymbol{p}\) の置き換え後)により消える。
残る項は:
スピノルの規格化 \(u^{s\dagger}(\boldsymbol{p})u^s(\boldsymbol{p}) = 2E_{\boldsymbol{p}}\), \(v^{s\dagger}(\boldsymbol{p})v^s(\boldsymbol{p}) = 2E_{\boldsymbol{p}}\)(和なし)を用いると:
反交換関係 \(\hat{d}^s_{\boldsymbol{p}}\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}} = -\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}\hat{d}^s_{\boldsymbol{p}} + (2\pi)^3\delta^{(3)}(\boldsymbol{0})\) を用いて:
(c) 反粒子の解釈¶
保存電荷 \(\hat{Q}\) の構造から:
-
\(\hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}|0\rangle\)(\(b\) 粒子の 1 粒子状態)に対して:\(\hat{Q}\hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}|0\rangle = (+1)\hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}|0\rangle + \cdots\) → 電荷 \(+1\)
-
\(\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}|0\rangle\)(\(d\) 粒子の 1 粒子状態)に対して:\(\hat{Q}\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}|0\rangle = (-1)\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}|0\rangle + \cdots\) → 電荷 \(-1\)
\(b\) 粒子と \(d\) 粒子は同じ質量・同じスピンを持つが、電荷が逆符号である。これはまさに粒子と反粒子の関係である。
例えば、\(b\) 粒子を電子とすれば、\(d\) 粒子は陽電子に対応する。Dirac 方程式の負エネルギー解は、反交換関係による量子化を通じて、正のエネルギーを持つ反粒子として自然に再解釈される。
検算¶
\(\hat{Q}\) が時間に依存しないこと(保存量であること)を確認する。クロス項が消えたのはスピノルの直交性によるものであり、残った項は \(t\) に依存しない。これは \(\partial_\mu j^\mu = 0\) と整合する。\(\checkmark\)
Advanced(発展)¶
A-1. スピンと統計の定理——因果律からの議論¶
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(a) スカラー場の因果律¶
第 4 章の結果より、自由スカラー場に交換関係を課した場合、Pauli-Jordan 関数(交換子関数)
は Lorentz 不変であり、空間的間隔 \((x-y)^2 < 0\) で
が成り立つ。これは、粒子の伝播振幅と反粒子の伝播振幅が空間的間隔で正確に打ち消し合うことによる。物理的には、空間的に離れた 2 点での測定が互いに影響を及ぼさない(因果律が保たれる)ことを意味する。
(b) Dirac 場に交換関係を課した場合の因果律の破れ¶
Dirac 場に交換関係を課した場合を考える。交換子 \([\hat{\psi}_\alpha(x), \bar{\hat{\psi}}_\beta(y)]\) を計算すると、形式的には:
ここで第 1 項は \(b\) セクター(粒子の伝播)、第 2 項は \(d\) セクター(反粒子の伝播)からの寄与である。
ボソンの場合、粒子と反粒子の伝播振幅は空間的間隔で同じ値を取り、交換関係の符号構造により打ち消し合う。しかし、フェルミオンに交換関係を課した場合、\(d\) セクターの交換関係の符号が \(-1\)(S1(a) 参照)であるため、2 つの項の相対符号が変わり、打ち消しが起こらない。
具体的には、空間的間隔で \(e^{-ip\cdot(x-y)}\) と \(e^{+ip\cdot(x-y)}\) を結びつける Lorentz 変換(\((x-y)\) が空間的なら \(x-y \to -(x-y)\) とする変換が存在)を用いた議論で、ボソンの場合は 2 つの項が同符号で打ち消し合うが、交換関係を課したフェルミオンでは逆符号となり加え合わさってしまう。
したがって \((x-y)^2 < 0\) で \([\hat{\psi}_\alpha(x), \bar{\hat{\psi}}_\beta(y)] \neq 0\) となり、因果律が破れる。
(c) 反交換関係を課した場合の因果律の回復¶
反交換関係を課した場合、反交換子を計算すると:
反交換関係では \(d\) セクターの符号が \(+1\) であるため、2 つの項の相対符号が変わる。空間的間隔 \((x-y)^2 < 0\) では、Lorentz 不変性の議論により、この 2 つの項が正確に打ち消し合い:
ここで \(\Delta(x-y)\) はスカラー場の Pauli-Jordan 関数であり、空間的間隔でゼロになる。
因果律との整合性: 一見すると、\(\{\hat{\psi}(x), \bar{\hat{\psi}}(y)\} = 0\) は交換子ではなく反交換子がゼロであるだけなので、因果律の条件として十分かどうか疑問に思えるかもしれない。しかし、物理的な観測量はフェルミオン場の偶数個の積(双一次形式)で書かれる。例えば:
- 電流密度:\(j^\mu = \bar{\psi}\gamma^\mu\psi\)
- エネルギー密度:\(\mathcal{H} = \psi^\dagger(-i\gamma^0\boldsymbol{\gamma}\cdot\nabla + m\gamma^0)\psi\)
- 散乱振幅に現れる演算子
これらの観測量 \(\mathcal{O}_1(x) = \bar{\psi}(x)\Gamma_1\psi(x)\), \(\mathcal{O}_2(y) = \bar{\psi}(y)\Gamma_2\psi(y)\) の交換子は:
これは、\(\{\hat{\psi}(x), \bar{\hat{\psi}}(y)\} = 0\) から導かれる。フェルミオン場を 2 回入れ替えると符号が 2 回変わり、結果として交換子がゼロになるからである。したがって、観測量のレベルでは因果律が完全に保たれる。
(d) スピンと統計の定理のまとめ¶
以上の議論を 2 つの観点から整理する。
(i) エネルギーの正定値性(S1 の結果):
| 場の種類 | 交換関係を課した場合 | 反交換関係を課した場合 |
|---|---|---|
| 整数スピン(ボソン) | Hamiltonian 正定値 ✓ | Hamiltonian が恒等的にゼロ(自明な理論)✗ |
| 半整数スピン(フェルミオン) | エネルギー下に非有界 ✗ | Hamiltonian 正定値 ✓ |
整数スピンの場に反交換関係を課すと \((\hat{a}^{s\dagger})^2 = 0\) となり、ボソン場の自由度が消えてしまう(自明な理論になる)。半整数スピンの場に交換関係を課すとエネルギーが下に非有界になる(S1 で示した)。
(ii) 因果律(本問の結果):
| 場の種類 | 交換関係を課した場合 | 反交換関係を課した場合 |
|---|---|---|
| 整数スピン(ボソン) | 因果律 ✓ | 因果律 ✗ |
| 半整数スピン(フェルミオン) | 因果律 ✗ | 因果律 ✓ |
空間的間隔での伝播振幅の打ち消しは、粒子と反粒子の寄与の相対符号に依存する。整数スピンでは交換関係、半整数スピンでは反交換関係を課したときにのみ、正しい打ち消しが起こる。
結論(スピンと統計の定理):
Lorentz 不変な局所場の理論において、エネルギーの正定値性と因果律の両方を同時に満たすためには、整数スピンの場はボソン(交換関係)、半整数スピンの場はフェルミオン(反交換関係)で量子化しなければならない。
これは Pauli によって厳密に証明された定理であり、場の量子論の最も深い結果の一つである。
A-2. \(C\), \(P\), \(T\) 変換と \(CPT\) 定理¶
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(a) パリティ変換のもとでの Dirac 方程式の不変性¶
解法の方針¶
変換された場 \(\psi'(t, \boldsymbol{x}) = \eta_P\gamma^0\psi(t, -\boldsymbol{x})\) が Dirac 方程式を満たすことを示す。
計算の詳細¶
元の場 \(\psi(t, \boldsymbol{x})\) が Dirac 方程式を満たすとする:
変換された場を \(\psi'(x') = \eta_P\gamma^0\psi(x)\) と書く。ここで \(x' = (t, -\boldsymbol{x})\) であり、\(x = (t, \boldsymbol{x})\) である。
\(\psi'\) に対する Dirac 方程式を \(x'\) 座標で書くと:
\(x'^j = -x^j\) なので \(\frac{\partial}{\partial x'^j} = -\frac{\partial}{\partial x^j}\)。\(\psi'(t, \boldsymbol{x}') = \eta_P\gamma^0\psi(t, \boldsymbol{x})\) を代入すると:
\(\gamma^0\) を右から \(\psi\) の前に移動させるため、各項で \(\gamma\) 行列と \(\gamma^0\) の交換関係を使う:
- \(\gamma^0 \cdot \gamma^0 = \mathbf{1}\)、よって \(\gamma^0\partial_0 \cdot \gamma^0\psi = \gamma^0\gamma^0\partial_0\psi\)... ではなく、\(\gamma^0\) は \(\psi\) にかかっているので、左から \(\gamma^0\) を通す必要がある。
正しくは、\(\gamma^0\) を演算子の左側に移動させる。各項を見ると:
したがって:
最後の等号は \(\gamma^0\) を左にくくり出したもの:\(\gamma^0 \cdot i\gamma^0\partial_0 = i(\gamma^0)^2\partial_0 = i\partial_0\) ✓、\(\gamma^0 \cdot i\gamma^j\partial_j = i\gamma^0\gamma^j\partial_j\) ✓、\(\gamma^0 \cdot (-m) = -m\gamma^0\) ✓。
よって:
括弧内はまさに元の Dirac 方程式の左辺であり、\(\psi\) が Dirac 方程式を満たすのでゼロ。
(b) 荷電共役変換と粒子・反粒子の入れ替え¶
解法の方針¶
\(C\) 変換の定義 \(\hat{C}\hat{\psi}(x)\hat{C}^{-1} = \eta_C C\bar{\hat{\psi}}^T(x)\) にモード展開を代入し、\(b\) と \(d\) の入れ替えを示す。
計算の詳細¶
\(\bar{\psi}^T\) のモード展開を求める。\(\bar{\psi} = \psi^\dagger\gamma^0\) なので:
転置を取ると:
\(C\) 行列を掛けると:
ここで、荷電共役行列 \(C\) の性質 \(C\gamma^{\mu T}C^{-1} = -\gamma^\mu\) から、Dirac 方程式の解に対して以下の関係が成り立つ:
ここで \(\eta^s_v, \eta^s_u\) は位相因子(\(|\eta| = 1\))。これは \(C\) 行列が正エネルギースピノル \(u\) と負エネルギースピノル \(v\) を結びつけることを意味する。
代入すると:
これを元のモード展開
と比較すると、\(\hat{C}\hat{\psi}\hat{C}^{-1} = \eta_C C\bar{\hat{\psi}}^T\) が成り立つためには:
すなわち(位相因子を除いて):
荷電共役変換 \(C\) は粒子と反粒子を入れ替える。
(c) \(CPT\) 変換のもとでの Lagrangian の不変性¶
解法の方針¶
\(C\), \(P\), \(T\) の各変換を順に適用し、Lagrangian が不変であることを確認する。
計算の詳細¶
各変換の Dirac 場への作用をまとめる:
パリティ \(P\):
時間反転 \(T\):(\(T\) は反ユニタリ演算子)
荷電共役 \(C\):
\(CPT\) 変換の合成を考える。\(\Theta = CPT\) とすると、位相因子を適切に選ぶことで:
ここで \(\gamma^5 \equiv i\gamma^0\gamma^1\gamma^2\gamma^3\) であり、\(\hat{\psi}^c\) は荷電共役場。より具体的には:
Lagrangian \(\mathcal{L} = \bar{\psi}(i\gamma^\mu\partial_\mu - m)\psi\) の \(CPT\) 変換を確認する。
\(CPT\) 変換のもとで \(x^\mu \to -x^\mu\) であるから \(\partial_\mu \to -\partial_\mu\)。
\(\bar{\psi}\) と \(\psi\) の変換を代入し、\(\gamma^5\) の性質:
を用いると、Lagrangian の各項は:
運動項: \(\bar{\psi}(x)i\gamma^\mu\partial_\mu\psi(x)\) の \(CPT\) 変換
\(\partial_\mu \to -\partial'_\mu\)(\(x \to -x\) による)と \(\gamma^5\gamma^\mu = -\gamma^\mu\gamma^5\) の 2 つの符号変化が打ち消し合い、運動項は不変。
質量項: \(-m\bar{\psi}(x)\psi(x)\) の \(CPT\) 変換
\(\gamma^5\) が 2 回現れ \((\gamma^5)^2 = \mathbf{1}\) となるため、質量項も不変。
したがって:
\(CPT\) 変換のもとで Dirac Lagrangian は不変である。
\(CPT\) 定理について¶
\(CPT\) 定理は、以下の条件を満たす任意の場の理論で成り立つ一般的な定理である:
- Lorentz 不変性(Poincaré 対称性)
- 局所性(Lagrangian が場とその有限階微分の局所的な関数)
- エネルギーの正定値性(Hamiltonian が下に有界)
これらの条件のもとで、\(CPT\) 変換は常に理論の対称性であることが証明される(Lüders-Pauli の定理)。上で示した Dirac 場の場合は、この一般定理の具体例である。
\(CPT\) 定理の重要な帰結として:
- 粒子と反粒子は同じ質量を持つ
- 粒子と反粒子は同じ寿命を持つ
- \(CP\) 対称性が破れていれば、\(T\) 対称性も破れている(逆も同様)
検算¶
\(C\), \(P\), \(T\) の各変換が個別に Dirac 方程式を不変に保つことは (a) で \(P\) について確認した。\(C\) と \(T\) についても同様に確認できる。3 つの変換の合成が Lagrangian を不変に保つことは、各変換の不変性から自動的に従うが、上では直接的にも確認した。
また、\(\gamma^5\) の反可換性 \(\{\gamma^5, \gamma^\mu\} = 0\) は Clifford 代数から導かれる:
(\(\gamma^\mu\) を \(\gamma^5\) の 4 つの \(\gamma\) 行列すべてと反可換させると、符号が 3 回変わるか 4 回変わるかで \(\mu\) に依存するが、いずれの場合も \(\gamma^5\gamma^\mu = -\gamma^\mu\gamma^5\) が成り立つ。\(\mu\) が \(0,1,2,3\) のいずれかのとき、\(\gamma^\mu\) は \(\gamma^5\) 中の自分自身と可換(\((\gamma^\mu)^2\) を生む)で残り 3 つとは反可換なので、全体で \((-1)^3 = -1\) の符号。)\(\checkmark\)
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