第 6 章 練習問題¶
目次
Basic(基礎)
- B-1. 定常状態の位相因子の計算
- B-2. トンネル分裂のエネルギー計算
- B-3. 固有値方程式の行列式の展開
- B-4. 固有ベクトルの直交性の確認
- B-5. 確率の時間依存性の計算
- B-6. \(i\hbar\,dC/dt = EC\) の解
- B-7. 基底変換の逆変換
- B-8. エルミート性の確認
Medium(標準)
Advanced(発展)
Basic(基礎)¶
B-1. 定常状態の位相因子の計算¶
2 状態系の Hamiltonian が
で与えられ、固有状態 \(|II\rangle = \frac{1}{\sqrt{2}}(|1\rangle + |2\rangle)\) のエネルギーが \(E_{II} = E_0 - A\) であるとする。時刻 \(t\) における定常状態の振幅 \(C_1(t) = \frac{1}{\sqrt{2}}e^{-iE_{II}t/\hbar}\) について、\(t = \pi\hbar/(E_0 - A)\) のとき \(C_1(t)\) の値を求めよ。
ヒント
\(e^{-i\pi} = -1\) を利用せよ。指数部に \(t\) の値を代入して整理する。
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B-2. トンネル分裂のエネルギー計算¶
アンモニア分子の反転振動数が \(f = 24{,}000\;\text{MHz}\) であり、エネルギー差 \(2A = hf\) が成り立つ。\(A\) を eV 単位で求めよ。ただし \(h = 6.626 \times 10^{-34}\;\text{J·s}\)、\(1\;\text{eV} = 1.602 \times 10^{-19}\;\text{J}\) とする。
ヒント
\(A = hf/2\) を計算し、J から eV に変換する。\(f = 2.4 \times 10^{10}\;\text{Hz}\) であることに注意。
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B-3. 固有値方程式の行列式の展開¶
一般の 2 状態 Hamiltonian
(\(\alpha, \gamma\) は実数、\(\beta\) は複素数)に対して、固有値方程式 \(\det(H - E\,I) = 0\) を展開し、\(E\) に関する二次方程式を導け。
ヒント
\(\det\begin{pmatrix} \alpha - E & \beta \\ \beta^* & \gamma - E \end{pmatrix} = (\alpha - E)(\gamma - E) - \beta\beta^*\) を計算する。\(\beta\beta^* = |\beta|^2\) に注意。
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B-4. 固有ベクトルの直交性の確認¶
本文の固有ベクトル
に対して、\(\langle I|I\rangle\)、\(\langle II|II\rangle\)、\(\langle I|II\rangle\) をそれぞれ計算し、これらが正規直交系をなすことを確認せよ。ただし \(\langle 1|1\rangle = \langle 2|2\rangle = 1\)、\(\langle 1|2\rangle = \langle 2|1\rangle = 0\) とする。
ヒント
各ブラ・ケットを展開して、基底の直交正規性を用いて計算する。例えば \(\langle I|I\rangle = \frac{1}{2}(\langle 1| - \langle 2|)(|1\rangle - |2\rangle)\)。
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B-5. 確率の時間依存性の計算¶
\(t = 0\) で \(|\psi(0)\rangle = |1\rangle\) のとき、本文の式 (6.18) を用いて、時刻 \(t\) における \(C_2(t) = \langle 2|\psi(t)\rangle\) を計算し、状態 \(|2\rangle\) にいる確率 \(P_2(t) = |C_2(t)|^2\) を求めよ。結果を \(A\)、\(\hbar\)、\(E_0\) を用いて表せ。
ヒント
\(\langle 2|I\rangle = -1/\sqrt{2}\)、\(\langle 2|II\rangle = 1/\sqrt{2}\) を用いる。2 つの位相因子の差が振動を生む。\(|e^{i\theta_1} - e^{i\theta_2}|^2 = 2 - 2\cos(\theta_1 - \theta_2)\) の公式が役立つ。
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B-6. \(i\hbar\,dC/dt = EC\) の解¶
微分方程式 \(i\hbar\,\dfrac{dC}{dt} = E\,C\) (\(E\) は実定数)を解き、\(C(0) = C_0\) のもとで \(C(t)\) を求めよ。また \(|C(t)|^2\) が時間に依存しないことを示せ。
ヒント
変数分離法を使う。\(dC/C = -iE/({\hbar})\,dt\) を積分する。
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B-7. 基底変換の逆変換¶
式 (6.17a) \(|1\rangle = \frac{1}{\sqrt{2}}(|I\rangle + |II\rangle)\) と式 (6.17b) \(|2\rangle = \frac{1}{\sqrt{2}}(-|I\rangle + |II\rangle)\) を用いて、逆に \(|I\rangle\) と \(|II\rangle\) を \(|1\rangle\) と \(|2\rangle\) で表し、式 (6.15a), (6.15b) が再現されることを確認せよ。
ヒント
式 (6.17a) と (6.17b) を連立方程式として \(|I\rangle\), \(|II\rangle\) について解く。あるいは (6.17a) \(-\) (6.17b) と (6.17a) \(+\) (6.17b) を計算する。
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B-8. エルミート性の確認¶
行列
がエルミート行列であることを確認せよ。すなわち \(M_{ij}^* = M_{ji}\) がすべての \(i, j\) について成り立つことを示せ。
ヒント
\(M_{12} = 2 - i\) の複素共役を取り、\(M_{21} = 2 + i\) と比較する。対角成分は実数であることも確認する。
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Medium(標準)¶
M-1. 確率保存からのエルミート性の導出¶
2 状態系の時間発展方程式
において、全確率 \(P = |C_1|^2 + |C_2|^2\) の時間微分 \(dP/dt\) を計算せよ。\(dP/dt = 0\) が任意の \(C_1, C_2\) に対して成り立つための条件として、\(H_{11}, H_{22}\) が実数であること、および \(H_{12}^* = H_{21}\) であることを導け。
ヒント
\(\frac{d}{dt}|C_1|^2 = C_1^*\frac{dC_1}{dt} + C_1\frac{dC_1^*}{dt}\) を使い、\(dC_1/dt\) と \(dC_1^*/dt\) を式から代入する。\(C_2\) についても同様に行い、\(dP/dt = 0\) の条件を \(C_1, C_2\) の任意性から読み取る。
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M-2. Rabi (ラビ) 振動の導出¶
\(t = 0\) で \(|\psi(0)\rangle = |1\rangle\)(窒素が「上」)とする。Hamiltonian (6.7) のもとで、時刻 \(t\) における確率
をそれぞれ導出し、以下の結果を示せ:
また、\(P_1(t) + P_2(t) = 1\) が常に成り立つことを確認し、系が状態 \(|1\rangle\) と \(|2\rangle\) の間を完全に行き来する周期 \(T\) を \(A\) と \(\hbar\) で表せ。
ヒント
式 (6.18) から \(C_1(t) = \langle 1|\psi(t)\rangle\) を計算する。\(\langle 1|I\rangle = 1/\sqrt{2}\), \(\langle 1|II\rangle = 1/\sqrt{2}\) を使い、共通因子 \(e^{-iE_0 t/\hbar}\) をくくり出すと、残りは \(\cos(At/\hbar)\) の形になる。
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M-3. 電場中のアンモニア分子のエネルギー準位¶
一様な静電場 \(\mathcal{E}\) をかけると、窒素原子の位置に応じて電気双極子モーメント \(\pm \mu\mathcal{E}\) のエネルギーが加わる。Hamiltonian が
に変わるとき、固有値 \(E_{\pm}\) を求め、以下の形で表せ:
さらに、\(\mu\mathcal{E} \ll A\) の極限と \(\mu\mathcal{E} \gg A\) の極限でそれぞれエネルギー準位がどう振る舞うか議論せよ。
ヒント
固有値方程式 \(\det(H - EI) = 0\) を展開する。\((E_0 + \mu\mathcal{E} - E)(E_0 - \mu\mathcal{E} - E) - A^2 = 0\) を \(E\) について解く。極限では \(\sqrt{A^2 + x^2}\) を \(x \ll A\) または \(x \gg A\) で Taylor (テイラー) 展開する。
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M-4. Hamiltonian の対角化と行列表示の変換¶
ユニタリー行列
を用いて、アンモニア分子の Hamiltonian (6.7) を対角化せよ。すなわち \(U^\dagger H\, U\) を計算し、結果が
となることを示せ。また \(U\) の列ベクトルと固有ベクトル \(|I\rangle\), \(|II\rangle\) の関係を述べよ。
ヒント
\(U^\dagger = U^T\)(\(U\) が実行列なので)を計算してから、\(U^\dagger H\) を求め、さらに右から \(U\) を掛ける。\(U\) の第 1 列が \(|I\rangle\) の成分、第 2 列が \(|II\rangle\) の成分に対応することを確認する。
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Advanced(発展)¶
A-1. 時間依存摂動としての振動電場と遷移確率¶
アンモニア分子に角振動数 \(\omega\) の振動電場 \(\mathcal{E}(t) = \mathcal{E}_0 \cos\omega t\) を印加する。エネルギー基底 \(\{|I\rangle, |II\rangle\}\) で記述したとき、Hamiltonian は
と書ける(\(E_I = E_0 + A\), \(E_{II} = E_0 - A\))。
初期状態が \(|\psi(0)\rangle = |II\rangle\)(低エネルギー状態)であるとき、以下の手順で状態 \(|I\rangle\) への遷移確率を求めよ。
(a) \(C_I(t) = b_I(t)\,e^{-iE_I t/\hbar}\), \(C_{II}(t) = b_{II}(t)\,e^{-iE_{II}t/\hbar}\) と置き、\(b_I(t)\), \(b_{II}(t)\) に関する微分方程式を導け。
(b) 回転波近似 (rotating wave approximation, RWA):\(\omega \approx (E_I - E_{II})/\hbar = 2A/\hbar\) の共鳴条件付近で、高速振動項を無視して方程式を簡略化せよ。
(c) 共鳴条件 \(\omega = 2A/\hbar\) のもとで \(b_I(t)\) を解き、遷移確率 \(P_{II \to I}(t) = |b_I(t)|^2\) が
となることを示せ。これがアンモニアメーザーにおける誘導放出の基礎であることを説明せよ。
ヒント
(a) 式 (6.3) に代入して位相因子を消去すると、\(b_I\), \(b_{II}\) の方程式に \(e^{\pm i(E_I - E_{II})t/\hbar}\) と \(\cos\omega t\) の積が現れる。\(\cos\omega t = (e^{i\omega t} + e^{-i\omega t})/2\) を使う。 (b) 共鳴付近では \(e^{i(\omega - \omega_0)t}\) はゆっくり変化し、\(e^{i(\omega + \omega_0)t}\) は高速振動するので後者を無視する(\(\omega_0 = 2A/\hbar\))。 (c) 共鳴条件で方程式が定数係数になるので、D6 と同様の手法で解ける。
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A-2. 3 状態系への拡張:一般化された量子振動¶
2 状態系を拡張し、3 つの等価な状態 \(|1\rangle\), \(|2\rangle\), \(|3\rangle\) が互いに同じトンネル振幅 \(-A\) で結合している系を考える。Hamiltonian は
で与えられる。
(a) この Hamiltonian の固有値をすべて求めよ。(ヒント:行列を \(E_0\,I + (-A)(J - I)\) の形に書き直せ。ここで \(J\) は全成分が 1 の \(3\times 3\) 行列、\(I\) は単位行列。)
(b) 各固有値に対応する固有ベクトルを求め、規格化せよ。縮退がある場合はその次数を述べよ。
(c) \(t = 0\) で系が状態 \(|1\rangle\) にあるとき、時刻 \(t\) で状態 \(|1\rangle\) に見つかる確率 \(P_1(t)\) を求めよ。2 状態系の Rabi 振動と比較して、振動の特徴(振動数、振幅の完全性)がどう変わるか議論せよ。
ヒント
(a) \(J\) の固有値は \(3\)(固有ベクトル \((1,1,1)^T/\sqrt{3}\))と \(0\)(2 重縮退、\((1,1,1)^T\) に直交する任意のベクトル)。\(H = (E_0 + A)I - A\,J\) と書き直すと、\(H\) の固有値は \(J\) の固有値から直接得られる。 (b) 縮退した固有空間の基底は、例えば \((1,-1,0)^T/\sqrt{2}\) と \((1,1,-2)^T/\sqrt{6}\) が取れる。 (c) \(|1\rangle\) をエネルギー固有状態で展開し、各固有状態に時間発展因子をつけてから \(|\langle 1|\psi(t)\rangle|^2\) を計算する。
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