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プロローグ 練習問題

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Basic(基礎)

B-1. 光子のエネルギー計算

Einstein の光量子仮説によれば、振動数 \(\nu\) の光子のエネルギーは \(E = h\nu\) で与えられる。Planck (プランク) 定数を \(h = 6.63 \times 10^{-34}\ \mathrm{J \cdot s}\) として、以下の各光の光子 1 個のエネルギーを求めよ。

(a) ナトリウムの黄色い光(振動数 \(\nu = 5.09 \times 10^{14}\ \mathrm{Hz}\)

(b) 赤色レーザー(波長 \(\lambda = 633\ \mathrm{nm}\)、光速 \(c = 3.00 \times 10^{8}\ \mathrm{m/s}\) を用いよ)

(c) 携帯電話の電波(振動数 \(\nu = 2.0 \times 10^{9}\ \mathrm{Hz}\)

ヒント

\(E = h\nu\) を直接代入する。(b) では \(\nu = c/\lambda\) の関係を使って振動数に変換してから計算する。

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B-2. 確率振幅と確率の関係

複素数の確率振幅 \(\phi = 3 + 4i\) が与えられているとき、以下を計算せよ。

(a) \(\phi\) の複素共役 \(\phi^*\)

(b) \(|\phi|^2 = \phi^* \phi\)

(c) 確率振幅が \(\phi = A e^{i\theta}\)\(A > 0\), \(\theta\) は実数)と書かれているとき、\(|\phi|^2\)\(A\)\(\theta\) で表せ。

ヒント

(a) \(i\)\(-i\) に置き換える。(b) \((3-4i)(3+4i)\) を展開する。(c) \(e^{i\theta}\) の複素共役は \(e^{-i\theta}\) であることを使う。

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B-3. 干渉項の計算

二つの確率振幅が \(\phi_1 = e^{i\alpha}\)\(\phi_2 = e^{i\beta}\) で与えられている(\(\alpha, \beta\) は実数)。

(a) \(|\phi_1 + \phi_2|^2\) を展開し、\(\alpha\)\(\beta\) で表せ。

(b) \(|\phi_1|^2 + |\phi_2|^2\) を計算せよ。

(c) 干渉項 \(|\phi_1 + \phi_2|^2 - (|\phi_1|^2 + |\phi_2|^2)\) を位相差 \(\delta = \alpha - \beta\) を用いて表せ。

(d) \(\delta = 0\)(同位相)のときと \(\delta = \pi\)(逆位相)のときの \(|\phi_1 + \phi_2|^2\) をそれぞれ求めよ。

ヒント

\(|\phi_1 + \phi_2|^2 = (\phi_1^* + \phi_2^*)(\phi_1 + \phi_2)\) を展開し、\(\phi_1^*\phi_2 + \phi_2^*\phi_1 = 2\cos(\alpha - \beta)\) を示す。

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B-4. 弾丸と電子の確率分布

二重スリット実験において、孔 1 のみ開いたときの確率(弾丸の場合)または確率振幅の絶対値の二乗(電子の場合)がスクリーン上の位置 \(x\) で次のように与えられるとする。

\[ P_1(x) = |\phi_1(x)|^2 = e^{-(x-a)^2}, \quad P_2(x) = |\phi_2(x)|^2 = e^{-(x+a)^2} \]

ただし \(a > 0\) とする。

(a) 弾丸の場合の合成確率 \(P_{12}^{\text{弾丸}}(x) = P_1(x) + P_2(x)\)\(x = 0\) で評価せよ。

(b) 電子の場合、確率振幅が \(\phi_1(x) = e^{-(x-a)^2/2}\)\(\phi_2(x) = e^{-(x+a)^2/2}\) と与えられるとき(ここでは実数の場合を考える)、\(P_{12}^{\text{電子}}(x) = |\phi_1(x) + \phi_2(x)|^2\)\(x = 0\) で評価せよ。

(c) (a) と (b) の結果を比較し、\(P_{12}^{\text{電子}}(0)\)\(P_{12}^{\text{弾丸}}(0)\) のどちらが大きいか答えよ。

ヒント

\(x = 0\) を代入すると \(P_1(0) = P_2(0) = e^{-a^2}\) となる。(b) では \((\phi_1(0) + \phi_2(0))^2\) を計算し、(a) の \(P_1(0) + P_2(0)\) と比べる。

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B-5. 複素数の極形式と Euler (オイラー) の公式

Euler の公式 \(e^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\theta\) を用いて、以下を計算せよ。

(a) \(e^{i\pi}\)

(b) \(e^{i\pi/2}\)

(c) \(e^{i\pi/4}\) の実部と虚部

(d) \(|e^{i\theta}|^2\)\(\theta\) によらず求めよ。

ヒント

Euler の公式に \(\theta\) の値を代入する。(d) では \(|e^{i\theta}|^2 = e^{-i\theta} \cdot e^{i\theta}\) を計算する。

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B-6. 波の強度と干渉

本文の記法に従い、二つの波の高さが

\[ h_1 = A\cos(\omega t), \quad h_2 = A\cos(\omega t + \delta) \]

で与えられるとする(\(A > 0\), \(\delta\) は位相差)。

(a) 和の公式を用いて \(h_1 + h_2\) を積の形に書き直せ。

(b) \(\delta = 0\) のとき \(h_1 + h_2\) の振幅を求めよ。

(c) \(\delta = \pi\) のとき \(h_1 + h_2\) を求めよ。

ヒント

\(\cos P + \cos Q = 2\cos\!\left(\frac{P+Q}{2}\right)\cos\!\left(\frac{P-Q}{2}\right)\) を使う。

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B-7. エネルギーの離散性 — 階段の比喩を数値で

本文で「原子のエネルギーは階段のように飛び飛び」と述べられている。水素原子のエネルギー準位は

\[ E_n = -\frac{13.6\ \mathrm{eV}}{n^2} \quad (n = 1, 2, 3, \ldots) \]

で与えられる(これは 第 16 章で導出する)。以下を計算せよ。

(a) 基底状態 (\(n = 1\)) と第一励起状態 (\(n = 2\)) のエネルギーをそれぞれ求めよ。

(b) \(n = 2\) から \(n = 1\) に遷移するとき放出される光子のエネルギー \(\Delta E = E_2 - E_1\) を求めよ。

(c) \(E = h\nu\) を用いて、この光子の振動数 \(\nu\) を求めよ(\(1\ \mathrm{eV} = 1.60 \times 10^{-19}\ \mathrm{J}\) を使うこと)。

(d) この光は可視光(振動数 \(4.3 \times 10^{14}\ \mathrm{Hz}\)\(7.5 \times 10^{14}\ \mathrm{Hz}\))の範囲に入るか。

ヒント

(b) \(\Delta E = E_2 - E_1\) を計算すると正の値になる(放出される光子のエネルギー)。(c) \(\nu = \Delta E / h\) で、\(\Delta E\) を J (ジュール) 単位に変換してから計算する。

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B-8. 確率振幅の重ね合わせ — 数値例

ある 2 状態系で、状態 \(|1\rangle\) にいる確率振幅が \(\phi_1 = \dfrac{1}{\sqrt{3}}\)、状態 \(|2\rangle\) にいる確率振幅が \(\phi_2 = \sqrt{\dfrac{2}{3}}\, e^{i\pi/3}\) であるとする。

(a) 状態 \(|1\rangle\) が観測される確率 \(P_1 = |\phi_1|^2\) を求めよ。

(b) 状態 \(|2\rangle\) が観測される確率 \(P_2 = |\phi_2|^2\) を求めよ。

(c) \(P_1 + P_2 = 1\)(規格化条件)が成り立つことを確認せよ。

(d) \(\phi_2\) の実部と虚部を求めよ。

ヒント

\(|c\, e^{i\theta}|^2 = |c|^2\) であることを使う。(d) では \(e^{i\pi/3} = \cos(\pi/3) + i\sin(\pi/3)\) を代入する。

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Medium(標準)

M-1. 古典確率と量子確率の比較

本文で述べられた Feynman (ファインマン) 流の弾丸・波・電子の比較に基づき、以下に答えよ。

(a) 弾丸の二重スリット実験で \(P_{12} = P_1 + P_2\) が成り立つ物理的理由を、「弾丸はどちらか一方の孔を通る」という事実に基づいて説明せよ。

(b) 電子の二重スリット実験では、電子は一個ずつ粒として検出されるにもかかわらず、多数の電子を蓄積すると干渉パターンが現れる。この事実を確率振幅の数学的構造

\[ P_{12} = |\phi_1 + \phi_2|^2 \]

を用いて説明せよ。特に、\(P_{12} \neq P_1 + P_2\) となる原因を明示すること。

(c) もし確率振幅が複素数ではなく実数に限定されたとする。その場合でも干渉項は現れるか? 干渉項の符号に関して、複素数の場合と比べてどのような制限が生じるか論ぜよ。

ヒント

(b) \(|\phi_1 + \phi_2|^2 = |\phi_1|^2 + |\phi_2|^2 + \phi_1^*\phi_2 + \phi_2^*\phi_1\) を展開し、最後の 2 項が干渉項であることを示す。(c) 実数の場合 \(\phi_1^*\phi_2 + \phi_2^*\phi_1 = 2\phi_1\phi_2\) となり、位相差 \(\delta\)\(0\)\(\pi\) しか取れないことを考える。

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M-2. 光量子仮説と光電効果

Einstein の光量子仮説 \(E = h\nu\) に基づいて、以下の問いに答えよ。

(a) 金属の仕事関数 (work function) を \(W\) とする。振動数 \(\nu\) の光を照射したとき、飛び出す電子の最大運動エネルギー \(K_{\max}\)\(h\), \(\nu\), \(W\) を用いて表せ。

(b) 光電効果において、光の振動数がある値 \(\nu_0\) 以下だと、光の強度をいくら上げても電子が飛び出さない。このしきい振動数 \(\nu_0\)\(W\)\(h\) で表せ。

(c) 古典的な波動論(Maxwell の電磁気学)では、光の強度を上げれば電子に十分なエネルギーを与えられるはずである。にもかかわらず、しきい振動数以下では電子が飛び出さないという実験事実が、古典論のどのような前提と矛盾するか説明せよ。

(d) 仕事関数 \(W = 2.3\ \mathrm{eV}\) の金属に波長 \(\lambda = 400\ \mathrm{nm}\) の光を照射した。飛び出す電子の最大運動エネルギー \(K_{\max}\) を eV 単位で求めよ。

ヒント

(a) エネルギー保存から \(h\nu = W + K_{\max}\) を導く。(b) \(K_{\max} = 0\) の条件を考える。(d) まず \(E = hc/\lambda\) で光子のエネルギーを求める。

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M-3. 物理学のモデルと反証可能性

サイト冒頭の はじめに — 4 つの旅の前に で述べられた科学哲学的な立場(モデルは仮説・数式は反証可能性のための道具)に基づき、以下の問いに答えよ。

(a) Newton 力学が「仮説」であるとはどういう意味か。Newton 力学が成功した領域と、破綻した領域をそれぞれ 1 つ挙げて説明せよ。

(b) 量子力学は「100 年以上にわたって予言が間違っていた例は一つもない」と本文で述べられている。それにもかかわらず量子力学を「仮説」と呼ぶ理由を、一般相対論との関係に言及しながら説明せよ。

(c) 「反証可能性 (falsifiability)」とは何か。「明日の天気は晴れか雨か曇りである」という主張が反証可能でない理由を述べよ。

ヒント

(a) 天体の運動(成功)と原子スケール(破綻)を対比させる。(b) 量子重力問題に言及する。(c) どのような観測結果が得られても矛盾しない主張は反証不可能である。

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M-4. Einstein の二面性 — 創始者と批判者

本文の「Einstein と量子力学」の節に基づき、以下の問いに答えよ。

(a) Einstein が量子論の「創始者の一人」と言える根拠を、1905 年の光量子仮説と 1917 年の誘導放出の予言の 2 つに分けて、それぞれの物理的内容を説明せよ。

(b) Einstein が量子力学の「批判者」となった理由を、「神はサイコロを振らない」という言葉の意味を踏まえて説明せよ。

(c) EPR パラドックス (1935) と Bell (ベル) の定理 (1964) の関係を、以下のキーワードをすべて用いて 200 字程度で説明せよ:不完全性、隠れた変数、不等式、実験

ヒント

(c) Einstein は量子力学の「不完全性」を主張し、測定前から値が決まっている「隠れた変数」の存在を想定した。Bell はその想定から導かれる「不等式」を示し、「実験」がそれを破ることで Einstein の立場が否定された、という流れをまとめる。

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M-5. 確率振幅の干渉 — 定量的分析

二重スリット実験において、スクリーン上の位置 \(x\) における二つの孔からの確率振幅が

\[ \phi_1(x) = A\, e^{i k r_1(x)}, \quad \phi_2(x) = A\, e^{i k r_2(x)} \]

で与えられるとする。ここで \(A > 0\) は実定数、\(k\) は波数、\(r_1(x)\)\(r_2(x)\) はそれぞれ孔 1 と孔 2 からスクリーン上の位置 \(x\) までの距離である。

(a) 合成確率 \(P_{12}(x) = |\phi_1(x) + \phi_2(x)|^2\) を計算し、\(\Delta r(x) = r_1(x) - r_2(x)\)(経路差)を用いて表せ。

(b) \(P_{12}(x)\) が最大値を取る条件を \(\Delta r\), \(k\) を用いて表せ。また、そのときの \(P_{12}\) の値を求めよ。

(c) \(P_{12}(x)\) が最小値 \(0\) を取る条件を求めよ。

(d) 波長 \(\lambda = 2\pi/k\) を用いて、(b) と (c) の条件を \(\Delta r\)\(\lambda\) で書き直せ。

ヒント

(a) \(\phi_1 + \phi_2 = A e^{ikr_1}(1 + e^{ik(r_2 - r_1)})\) と因数分解し、\(|\cdot|^2\) を計算する。\(\cos\) を含む形にまとめる。

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Advanced(発展)

A-1. 複素確率振幅の不可欠性

本文で「確率振幅は複素数でなければならない。実数だけでは量子力学の予言を再現できない」と述べられている。この主張を以下の手順に従って考察せよ。

(a) 2 状態系を考える。状態 \(|1\rangle\)\(|2\rangle\) に対する確率振幅を \(\phi_1\), \(\phi_2\) とし、規格化条件 \(|\phi_1|^2 + |\phi_2|^2 = 1\) を満たすとする。\(\phi_1\), \(\phi_2\) がともに実数の場合、\((|\phi_1|, |\phi_2|)\) が満たす幾何学的条件を述べよ。

(b) \(\phi_1\), \(\phi_2\) が複素数の場合、\(\phi_1 = |\phi_1| e^{i\alpha}\), \(\phi_2 = |\phi_2| e^{i\beta}\) と書ける。実数の場合と比べて、自由度(独立な実パラメータの数)がいくつ増えるか答えよ。ただし全体の位相(\(\phi_1\)\(\phi_2\) に共通の位相因子 \(e^{i\gamma}\))は物理的に観測不可能であることを考慮せよ。

(c) 二重スリット実験の干渉パターンでは、スクリーン上の位置 \(x\) に応じて位相差 \(\delta(x)\) が連続的に変化し、\(P_{12}(x)\)\(\cos\delta(x)\) を含む滑らかな関数となる。もし確率振幅が実数に限定されていたら、位相差は \(0\) または \(\pi\) の 2 値しか取れない。このとき干渉パターンにどのような制限が生じるか、実験で観測される滑らかな干渉縞と対比して論ぜよ。

(d) 以上の考察を踏まえ、「量子力学において確率振幅が複素数であることの物理的意義」を 200 字程度で述べよ。

ヒント

(a) \(|\phi_1|^2 + |\phi_2|^2 = 1\) は単位円上の点。実数の場合は \(\phi\) 自体の符号しか自由度がない。(b) 全体位相を除いた相対位相 \(\alpha - \beta\) が新たな自由度。(c) 実数の干渉項は \(\pm 2|\phi_1||\phi_2|\) の 2 値しか取れず、滑らかな縞模様を作れない。

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A-2. 光量子仮説から誘導放出へ — Einstein の論理の連鎖

Einstein は 1905 年に光量子仮説 \(E = h\nu\) を提唱し、1917 年に誘導放出を予言した。この 2 つの業績は独立ではなく、論理的につながっている。以下の問いに沿って、その連鎖を追え。

(a) 温度 \(T\) の熱平衡状態にある二準位原子系を考える。エネルギー準位 \(E_1\)(基底状態)と \(E_2\)(励起状態、\(E_2 > E_1\))の占有数の比は Boltzmann (ボルツマン) 分布に従い、

\[ \frac{N_2}{N_1} = \exp\!\left(-\frac{E_2 - E_1}{k_B T}\right) \]

で与えられる(\(k_B\) は Boltzmann 定数)。\(T \to \infty\) のとき \(N_2/N_1\) はいくらに近づくか。また、\(T \to 0\) のときはどうか。物理的意味を述べよ。

(b) 熱平衡で原子と光(振動数 \(\nu = (E_2 - E_1)/h\))が共存しているとき、原子は光を吸収して \(E_1 \to E_2\) に遷移する過程と、光を放出して \(E_2 \to E_1\) に遷移する過程を繰り返す。放出には 2 種類ある:

  • 自発放出 (spontaneous emission):励起状態の原子が自発的に光子を放出する。単位時間あたりの遷移率は \(A \cdot N_2\)\(A\) は定数)。
  • 誘導放出 (stimulated emission):外部の光子に誘発されて光子を放出する。単位時間あたりの遷移率は \(B \cdot \rho(\nu) \cdot N_2\)\(B\) は定数、\(\rho(\nu)\) は光のエネルギー密度)。

吸収の遷移率は \(B' \cdot \rho(\nu) \cdot N_1\) とする。熱平衡で吸収率と放出率が等しいという条件

\[ B'\, \rho(\nu)\, N_1 = A\, N_2 + B\, \rho(\nu)\, N_2 \]

から、\(\rho(\nu)\)\(A\), \(B\), \(B'\), \(E_2 - E_1\), \(k_B T\) で表せ。

(c) Planck の黒体輻射公式(第 1 章で詳しく学ぶ)は

\[ \rho(\nu) = \frac{8\pi h \nu^3}{c^3} \cdot \frac{1}{e^{h\nu/(k_B T)} - 1} \]

で与えられる。(b) の結果とこの式を比較することで、\(B' = B\) であること、および \(A/B\) の値を \(h\), \(\nu\), \(c\) で表せ。

(d) もし誘導放出が存在しない(\(B = 0\))とすると、(b) の平衡条件から \(\rho(\nu)\) はどのような形になるか。それが Planck の公式と矛盾することを示し、「誘導放出は熱平衡の要請から論理的に必然である」ことを説明せよ。

ヒント

(b) 平衡条件の式を \(\rho(\nu)\) について解く。(a) の Boltzmann 分布を \(N_2/N_1\) に代入する。(c) \(T \to \infty\) の極限で (b) の結果と Planck の公式を比較すると \(B' = B\) が得られる。その後、有限温度で比較して \(A/B\) を求める。(d) \(B = 0\) とすると \(\rho(\nu) \propto e^{-h\nu/(k_BT)}\) となり、\(\nu^3\) の因子が欠落する。


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