第 5 章 練習問題 解答¶
目次
Basic(基礎)
Medium(標準)
Basic(基礎)¶
B-1. 光錐座標の計量¶
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解法の方針: 光錐座標の定義から \(dx^+ dx^-\) を計算し、\((dx^0)^2 - (dx^1)^2\) との関係を得る。
計算:
光錐座標の定義より
積を計算すると
すなわち
これを \(ds^2 = -(dx^0)^2 + (dx^1)^2 + (dx^2)^2 + (dx^3)^2\) に代入:
検算: \(dx^2 = dx^3 = 0\) かつ \(dx^0 = dx^1\)(\(x^1\) 正方向の光)なら \(dx^- = 0\) なので \(ds^2 = 0\)。✓
B-2. 光錐計量の行列表示¶
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解法の方針: \((+,-)\) ブロックは \(2 \times 2\) の反対角行列。余因子行列の定義から逆行列を計算すると、元の行列と一致することが分かる。\((2,3)\) ブロックは単位行列なのでそのまま。
計算:
\((+, -)\) の \(2 \times 2\) ブロックを
とおく。\(2 \times 2\) 行列 \(\begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix}\) の逆行列は \(\frac{1}{ad - bc}\begin{pmatrix} d & -b \\ -c & a \end{pmatrix}\) だから、
すなわち \(M\) は自己逆行列(\(M^2 = I\) と同じこと)。\((2, 3)\) ブロックは単位行列なのでそのまま。したがって
成分で書けば \(\hat{\eta}^{+-} = \hat{\eta}^{-+} = -1\), \(\hat{\eta}^{22} = \hat{\eta}^{33} = +1\)、他はゼロ。
\(\hat{\eta}^{\mu\lambda}\hat{\eta}_{\lambda\nu} = \delta^\mu{}_\nu\) の確認: 例えば \((\mu, \nu) = (+, +)\):
\((\mu, \nu) = (+, -)\):
他の成分も同様に確認できる。
注意: 光錐座標での添字の上げ下げは、通常の座標と違って時間/空間の符号反転ではなく、\(+\) と \(-\) の入れ替えになる:\(A_+ = -A^-\), \(A_- = -A^+\), \(A_i = A^i\)(\(i = 2, 3\))。
B-3. 光錐座標での 4 元運動量と \(p^-\)¶
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(a) 不変ノルムの光錐座標表示¶
計算:
通常の座標で
問題 5.1 と同じ計算で \((p^0)^2 - (p^1)^2 = 2 p^+ p^-\) なので、
(b) \(p^-\) の導出¶
\(p^\mu p_\mu = -m^2\) を (a) に代入:
\(p^-\) について解く:
(c) 符号曖昧性の消失の物理的解釈¶
通常の座標: \(p^\mu p_\mu = -m^2\) を \(p^0\) について解くと \((p^0)^2 = |\vec{p}|^2 + m^2\) の 2 次方程式になり、\(p^0 = \pm\sqrt{|\vec{p}|^2 + m^2}\)。正エネルギー解と負エネルギー解の両方が出てくる。QFT では負エネルギー解は反粒子として物理的に解釈されるが、量子化の手続きでは「どちらの符号の解をどう扱うか」を別途規定する必要がある。
光錐座標: 一方、(a) の \(p^\mu p_\mu = -2 p^+ p^- + (p^2)^2 + (p^3)^2\) には \(p^-\) が 1 次しか入っていない。そのため \(p^\mu p_\mu = -m^2\) は \(p^-\) について 1 次式となり、(b) の通り \(p^-\) が \(p^+, p^2, p^3, m\) から一意に決まる。符号曖昧性がない。物理的に意味のある「前方光錐 \(p^0 > 0\)」は \(p^+ > 0\), \(p^- > 0\) の領域に対応し(\(m^2 \geq 0\) のとき \(p^+ > 0\) を選べば (b) から自動的に \(p^- > 0\))、粒子の伝播方向 \(p^+ > 0\) を指定した時点で、正エネルギー状態だけが自動的に拾われる。
これが弦の光円錐量子化(第 14 章)で反粒子の扱いや負ノルム状態の処理が簡単になる理由の核心。代償として Lorentz 共変性が明示的には失われる(\(p^+\) を特別扱いしているため)が、物理的結果は不変である。
検算: \(m = 0\)(光子)のとき \(p^- = [(p^2)^2 + (p^3)^2]/(2 p^+)\)。特に横運動量ゼロ(\(p^2 = p^3 = 0\))の光子なら \(p^- = 0\)、つまり \(p^0 = p^1\) で、光速 \(c = 1\) で \(x^1\) 正方向に進む光の運動と整合する。✓
Medium(標準)¶
M-1. 光錐座標での内積¶
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解法の方針: \(A^\mu B_\mu = -A^0 B^0 + A^1 B^1 + A^2 B^2 + A^3 B^3\) を書き換える。定義 \(A^\pm = (A^0 \pm A^1)/\sqrt{2}\) を逆に解くと \(A^0 = (A^+ + A^-)/\sqrt{2}\), \(A^1 = (A^+ - A^-)/\sqrt{2}\)。これを代入する(\(B\) も同様)。
計算:
\(A^0 B^0\) を光錐成分で展開:
同様に \(A^1 B^1\):
差を取ると、\(A^+ B^+\) の項と \(A^- B^-\) の項が相殺し、クロス項だけが残る:
したがって
別の書き方: 光錐計量 \(\hat{\eta}_{\mu\nu}\) を用いて \(A^\mu B_\mu = \hat{\eta}_{\mu\nu}A^\mu B^\nu\) を展開すると、非ゼロ成分は \(\hat{\eta}_{+-} = \hat{\eta}_{-+} = -1\), \(\hat{\eta}_{22} = \hat{\eta}_{33} = 1\) だから
同じ結果。
検算: \(A = B\) と置くと \(A^\mu A_\mu = -2 A^+ A^- + (A^2)^2 + (A^3)^2\)、問題 5.1 と一致。✓
M-2. 光錐座標での Lorentz 変換(boost)¶
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(a) スケール変換になることの証明¶
計算:
ラピディティ \(\varphi\) での \(x^1\) 方向ブーストは
光錐座標に変換する:
ここで \(\cosh\varphi - \sinh\varphi = e^{-\varphi}\) を使った。
同様に
(b) \(x^+ x^-\) の不変性¶
(a) より
したがって \(x^+ x^-\) は \(x^1\) 方向ブーストで不変。
\(ds^2\) との整合性: 微分形でも同じで \(dx^{+\prime}\,dx^{-\prime} = dx^+ dx^-\)。また \(x^2, x^3\) は \(x^1\) ブーストで変わらないから \((dx^{2\prime})^2 + (dx^{3\prime})^2 = (dx^2)^2 + (dx^3)^2\)。よって
時空間隔の不変性と整合している。✓
幾何学的解釈: 通常の \((x^0, x^1)\) 平面では Lorentz ブーストが双曲線回転(\(\cosh, \sinh\))として見えたのに対し、\((x^+, x^-)\) 平面ではブーストは軸方向のスケール変換になる。双曲線の定式化より素直で、光錐方向が保たれていることが一目でわかる。これが光錐座標のもう一つの利点。
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