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プロローグ 練習問題

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Basic(基礎)

B-1. 自然単位系での次元解析

場の量子論では 自然単位系 \(\hbar = c = 1\) を頻繁に用いる。この単位系では、すべての物理量の次元を「質量の冪」\([\text{mass}]^n\) で表せる。以下の各物理量の質量次元 \(n\) を求めよ。

(a)エネルギー \(E\)

(b)長さ \(\ell\)

(c)時間 \(t\)

(d)運動量 \(p\)

(e)作用 \(S = \int d^4x\,\mathcal{L}\)(ただし \(d^4x = dt\,d^3x\)

ヒント

\(\hbar = c = 1\) とすると \([E] = [\text{mass}]\), \([\hbar] = [E][t] = 1\) より \([t]\) が決まる。\(c = [\ell]/[t] = 1\) より \([\ell]\) も決まる。作用 \(S\)\(\hbar\) の単位を持つので \([S] = [\hbar] = ?\)

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B-2. 4 元ベクトルの内積

Minkowski (ミンコフスキー) 計量を \(\eta_{\mu\nu} = \mathrm{diag}(+1, -1, -1, -1)\)("mostly minus" 規約)とする。4 元運動量 \(p^\mu = (E,\, p_x,\, p_y,\, p_z)\) に対して、以下を計算せよ。

(a)\(p_\mu = \eta_{\mu\nu}\,p^\nu\) の各成分を書き下せ。

(b)不変量 \(p^\mu p_\mu\)\(E\)\(|\mathbf{p}|\) で表せ。

(c)質量殻条件 (on-shell condition) \(p^\mu p_\mu = m^2\)(自然単位系)が、通常の単位系での \(E^2 = |\mathbf{p}|^2 c^2 + m^2 c^4\) に対応することを確認せよ。

ヒント

\(p_\mu = \eta_{\mu\nu}p^\nu\) なので \(p_0 = +E\), \(p_i = -p^i\)。内積は \(p^\mu p_\mu = E^2 - |\mathbf{p}|^2\)。自然単位系で \(c = 1\) を復元するには \(E \to E/c\), \(m \to mc\) の次元を追跡する。

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B-3. 粒子生成の閾値

自然単位系 (\(c = 1\)) で、静止した標的粒子(質量 \(M\))に入射粒子(質量 \(m\), 運動エネルギー \(T\))を衝突させて、質量 \(m_1 + m_2 + \cdots + m_n\) の粒子を生成する場合を考える。

(a)入射粒子の全エネルギーを \(E = m + T\) と書くとき、重心系の不変質量 \(\sqrt{s}\)\(E\), \(m\), \(M\) で表せ。ただし

\[ s = (p_1 + p_2)^\mu (p_1 + p_2)_\mu \]

である。

(b)Higgs 粒子(質量 \(m_H \approx 125\;\mathrm{GeV}\))を静止標的の陽子(質量 \(m_p \approx 0.938\;\mathrm{GeV}\))に陽子ビームを当てて生成する最低限の反応 \(p + p \to p + p + H\) を考える。閾値条件 \(\sqrt{s} = 2m_p + m_H\) から、入射陽子に必要な最小の運動エネルギー \(T_{\mathrm{thr}}\) を求めよ(数値を GeV 単位で)。

ヒント

標的が静止しているので \(p_2^\mu = (M, \mathbf{0})\)\(s = (E + M)^2 - |\mathbf{p}_1|^2\) を展開し、\(E^2 - |\mathbf{p}_1|^2 = m^2\) を使う。閾値では重心系で全粒子が静止して生成されるので \(\sqrt{s} = \sum m_{\text{final}}\)

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B-4. Lorentz ブーストの行列操作

\(x\) 方向への Lorentz ブーストの変換行列は

\[ \Lambda^\mu{}_\nu = \begin{pmatrix} \gamma & -\gamma\beta & 0 & 0 \\ -\gamma\beta & \gamma & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \]

で与えられる。ここで \(\beta = v/c\), \(\gamma = 1/\sqrt{1-\beta^2}\) である。

(a)\(\beta = 3/5\) のとき \(\gamma\) を計算せよ。

(b)4 元運動量 \(p^\mu = (5m,\, 3m,\, 0,\, 0)\) にこのブーストを施して \(p'^\mu = \Lambda^\mu{}_\nu\, p^\nu\) を求めよ。

(c)\(p'^\mu p'_\mu = p^\mu p_\mu\) が成り立つこと(Lorentz 不変量の保存)を直接計算で確認せよ。

ヒント

\(\beta = 3/5\) なら \(\beta^2 = 9/25\), \(1 - \beta^2 = 16/25\), \(\gamma = 5/4\)。行列とベクトルの積を成分ごとに計算する。

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B-5. 電子-陽電子対生成の運動学

光子 (\(m_\gamma = 0\)) が静止した原子核(質量 \(M \gg m_e\))の近傍で電子-陽電子対 (\(e^-e^+\)) を生成する反応 \(\gamma + N \to N + e^- + e^+\) を考える。

(a)光子のエネルギーを \(E_\gamma\) とするとき、この系の不変質量 \(\sqrt{s}\)\(E_\gamma\)\(M\) で表せ。

(b)対生成の閾値条件 \(\sqrt{s} = M + 2m_e\) から、必要な最小光子エネルギー \(E_\gamma^{\min}\) を求めよ。\(M \gg m_e\) の近似で答えを簡潔にせよ。

(c)\(m_e = 0.511\;\mathrm{MeV}\) として、\(E_\gamma^{\min}\) の数値を MeV 単位で求めよ(\(M \to \infty\) の極限)。

ヒント

光子の 4 元運動量は \(k^\mu = (E_\gamma, E_\gamma, 0, 0)\)(質量ゼロなので \(|\mathbf{k}| = E_\gamma\))。\(s = (k + P_N)^\mu(k + P_N)_\mu\) を展開する。\(M \gg m_e\) では \(E_\gamma^{\min} \approx 2m_e + 2m_e^2/M \approx 2m_e\)

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B-6. 添字の縮約練習

4 次元 Minkowski 時空で、以下の添字縮約を実行せよ。

(a)\(\eta^{\mu\nu}\eta_{\mu\nu}\)

(b)\(\partial_\mu x^\mu\)(ただし \(x^\mu = (x^0, x^1, x^2, x^3)\)

(c)\(\eta^{\mu\nu}\partial_\mu\partial_\nu \phi \equiv \Box\phi\)\((x^0, x^1, x^2, x^3)\) の偏微分で陽に書き下せ(\(\Box\) は d'Alembert (ダランベール) 演算子)。

ヒント

(a)$\eta^{\mu\nu}\eta_{\mu\nu} = \delta^\mu{}_\mu = $ 時空の次元。(b)\(\partial_\mu x^\nu = \delta^\nu_\mu\) を使う。(c)\(\eta^{00} = +1\), \(\eta^{ii} = -1\)

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B-7. スケール感覚

本文では「場の量子論は電子 1 個の磁気モーメントから宇宙全体の構造まで、スケールが 40 桁以上違う現象を記述できる」と述べられた。以下のエネルギースケールを eV 単位で概算し、大きい順に並べよ。

(a)電子の静止エネルギー \(m_e c^2\)

(b)Higgs 粒子の静止エネルギー \(m_H c^2 \approx 125\;\mathrm{GeV}\)

(c)CMB (宇宙マイクロ波背景放射) 光子の典型的エネルギー(温度 \(T \approx 2.725\;\mathrm{K}\) から \(E \sim k_B T\) で概算。\(k_B \approx 8.617 \times 10^{-5}\;\mathrm{eV/K}\)

(d)LHC の重心系衝突エネルギー \(\sqrt{s} = 13\;\mathrm{TeV}\)

ヒント

\(1\;\mathrm{GeV} = 10^9\;\mathrm{eV}\), \(1\;\mathrm{TeV} = 10^{12}\;\mathrm{eV}\), \(m_e c^2 \approx 0.511\;\mathrm{MeV} = 5.11 \times 10^5\;\mathrm{eV}\)。CMB は \(\sim 10^{-4}\;\mathrm{eV}\) のオーダー。

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Medium(標準)

M-1. 不確定性原理と粒子数変化

量子力学で学んだエネルギーと時間の不確定性関係

\[ \Delta E \cdot \Delta t \gtrsim \hbar \]

と、特殊相対論の質量エネルギー等価 \(E = mc^2\) を組み合わせて、以下を論じよ。

(a)質量 \(m\) の粒子を空間的に \(\Delta x\) 以下の領域に局在させようとするとき、運動量の不確定性 \(\Delta p \gtrsim \hbar / \Delta x\) から、粒子の運動エネルギーが \(mc^2\) を超える条件を導け。この臨界的な長さスケール \(\Delta x_c\)\(m\), \(\hbar\), \(c\) で表せ(Compton 波長 (コンプトン波長) \(\lambda_C\) との関係を明示すること)。

(b)\(\Delta x < \lambda_C\) の領域ではエネルギーの不確定性が \(mc^2\) を超えるため、\(E = mc^2\) により新たな粒子-反粒子ペアが生成され得ることを議論せよ。これが「粒子数が固定された 1 粒子量子力学」の破綻を意味する理由を説明せよ。

(c)電子の Compton 波長 \(\lambda_C = \hbar/(m_e c)\) を数値で求め(fm 単位)、これが原子核のサイズ(\(\sim\) 数 fm)と同程度であることを確認せよ。原子物理(\(\sim 0.1\;\mathrm{nm}\) スケール)では粒子数の変化を無視できるが、原子核・素粒子物理では無視できないことを論じよ。

ヒント

(a)\(\Delta p \sim \hbar/\Delta x\) より運動エネルギー \(\sim (\Delta p)^2/(2m)\)\(mc^2\) を超える条件、あるいは相対論的に \(c\Delta p \sim mc^2\) とする方がより直接的。(b)仮想的な対生成のエネルギーが不確定性の範囲内に入ることを議論する。(c)\(\hbar c \approx 197\;\mathrm{MeV \cdot fm}\), \(m_e c^2 \approx 0.511\;\mathrm{MeV}\)

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M-2. 弦の振動と「粒子」

無限に長い弦(線密度 \(\mu\), 張力 \(T\))の横振動 \(\phi(x, t)\) は波動方程式

\[ \mu\,\frac{\partial^2 \phi}{\partial t^2} = T\,\frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2} \]

に従う。

(a)\(v = \sqrt{T/\mu}\) とおいて、この方程式を \(\Box\phi = 0\)(1+1 次元の d'Alembert 方程式)の形に書き直せ。

(b)長さ \(L\) の弦(両端固定)の一般解を Fourier (フーリエ) 級数で書き下し、各モード \(n\) の振動数 \(\omega_n\) を求めよ。

(c)量子力学で学んだ調和振動子の量子化を思い出すと、各モード \(n\) のエネルギーは

\[ E_n = \hbar\omega_n\left(N_n + \frac{1}{2}\right), \quad N_n = 0, 1, 2, \ldots \]

となる。\(N_n\) を「モード \(n\) に存在する粒子の数」と解釈すると、これはまさに場の量子論の原型である。この類似を用いて、「場の振動モードが粒子である」という本文中のリナの説明を、弦の振動の言葉で再述せよ。

ヒント

(a)\(\partial_t^2 \phi - v^2 \partial_x^2 \phi = 0\)。(b)\(\phi(x,t) = \sum_n q_n(t)\sin(n\pi x/L)\) として \(\omega_n = n\pi v/L\)。(c)「弦全体」が場に対応し、「各振動モードのエネルギー量子」が粒子に対応する。

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M-3. 反証可能性と精密一致

本文でリナは「場の量子論は真理ではなくモデルである」と述べ、Newton の重力モデルが水星の近日点移動によって修正を迫られた例を挙げた。

(a)電子の異常磁気モーメント \(a_e = (g-2)/2\) の QED 理論値は現在、\(\alpha\)(微細構造定数 (fine-structure constant))の冪展開として

\[ a_e = \frac{\alpha}{2\pi} + c_2\left(\frac{\alpha}{\pi}\right)^2 + c_3\left(\frac{\alpha}{\pi}\right)^3 + \cdots \]

の形で計算されている。最低次の項 \(\alpha/(2\pi)\) の数値を、\(\alpha \approx 1/137.036\) を用いて有効数字 4 桁で求めよ。

(b)この値は \(a_e \approx 0.00116\) と比較される。最低次だけでも実験値の大部分を説明できることを確認した上で、「より高次の項を計算して実験と比較する」ことが科学的方法論においてなぜ重要かを、反証可能性 (falsifiability) の観点から 200 字程度で論じよ。

(c)仮に将来、\(a_e\) の理論値と実験値が小数点以下 15 桁目で食い違ったとする。これは場の量子論(QED)が「間違っている」ことを意味するか? 本文の科学哲学的スタンスに基づいて論じよ。

ヒント

(a)\(\alpha/(2\pi) = 1/(2\pi \times 137.036)\)。(b)高次の項は新しい物理(未知の粒子など)の効果に感度を持つ。一致すればモデルの信頼度が上がり、不一致ならモデルの修正(または新物理の発見)が必要になる。(c)「モデルの適用範囲の限界が見つかった」と解釈すべきであり、モデルが全面的に「間違い」になるわけではない。Newton 力学が日常スケールで依然有効であるのと同様。

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M-4. Planck スケールの次元解析

重力定数 \(G\), Planck (プランク) 定数 \(\hbar\), 光速 \(c\) から構成される Planck 質量 \(M_P\), Planck 長 \(\ell_P\), Planck 時間 \(t_P\) を次元解析で導出せよ。

(a)\(M_P = \sqrt{\hbar c / G}\) であることを、\([G]\), \([\hbar]\), \([c]\) の次元解析から導け。

(b)\(\ell_P\)\(t_P\)\(G\), \(\hbar\), \(c\) で表せ。

(c)\(G \approx 6.674 \times 10^{-11}\;\mathrm{m^3\,kg^{-1}\,s^{-2}}\), \(\hbar \approx 1.055 \times 10^{-34}\;\mathrm{J \cdot s}\), \(c \approx 3.0 \times 10^8\;\mathrm{m/s}\) を用いて \(M_P\), \(\ell_P\), \(t_P\) の数値を SI 単位で求めよ。

(d)\(M_P c^2\) を GeV 単位に変換し、LHC の重心系エネルギー \(13\;\mathrm{TeV}\) と比較せよ。本文で「場の量子論に重力を組み込もうとすると破綻する」と述べられたことと、このスケールの巨大さの関係を 100 字程度で述べよ。

ヒント

\([G] = \mathrm{m^3\,kg^{-1}\,s^{-2}}\), \([\hbar] = \mathrm{kg\,m^2\,s^{-1}}\), \([c] = \mathrm{m\,s^{-1}}\)\(M_P = G^a \hbar^b c^d\) とおいて \([M_P] = \mathrm{kg}\) から \(a, b, d\) を決定する。\(1\;\mathrm{GeV} \approx 1.602 \times 10^{-10}\;\mathrm{J}\)

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Advanced(発展)

A-1. 同種粒子の不可弁別性(場の量子論では帰結)

本文でリナは「すべての電子が完全に同一なのは、同じ場の同じ種類の振動だから」と述べた。量子力学では同種粒子の不可弁別性は公理として課されたが、場の量子論ではそれが定理として導出される。以下の議論を通じて、この世界観の転換を追体験せよ。

(a)量子力学(第 16〜17 章で学んだ内容)を思い出し、2 個の同種ボソンの波動関数が交換に対して対称でなければならないことが、量子力学の枠内ではどのように正当化されていたかを簡潔に述べよ(公理として課されていたことを指摘すること)。

(b)場の量子論では、スカラー場 \(\hat{\phi}(x)\) の Fourier 展開に現れる生成演算子 \(\hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}}\) を用いて、2 粒子状態を

\[ |\mathbf{p}_1, \mathbf{p}_2\rangle = \hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_1}\hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_2}|0\rangle \]

と定義する。ボソン場の交換関係 \([\hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_1}, \hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_2}] = 0\) から、\(|\mathbf{p}_1, \mathbf{p}_2\rangle = |\mathbf{p}_2, \mathbf{p}_1\rangle\)自動的に成り立つことを示せ。

(c)同様に、Dirac 場のフェルミオン生成演算子 \(\hat{b}^\dagger_{\mathbf{p},s}\) の反交換関係 \(\{\hat{b}^\dagger_{\mathbf{p}_1,s_1}, \hat{b}^\dagger_{\mathbf{p}_2,s_2}\} = 0\) から、2 フェルミオン状態が交換に対して反対称であること、および \(\mathbf{p}_1 = \mathbf{p}_2\), \(s_1 = s_2\) のとき状態がゼロになること(Pauli の排他原理)を示せ。

(d)以上を踏まえ、「同種粒子の不可弁別性とスピン-統計関係は、場の量子論では公理ではなく帰結である」という主張を、量子力学と場の量子論の世界観の違いに触れつつ 300 字程度で論じよ。

ヒント

(b)\(\hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_1}\hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_2} = \hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_2}\hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_1} + [\hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_1}, \hat{a}^\dagger_{\mathbf{p}_2}]\)。交換関係がゼロなので左辺と右辺の第 1 項が等しい。(c)反交換関係 \(\{A, B\} = AB + BA = 0\) から \(AB = -BA\)\(A = B\) のとき \(A^2 = -A^2\) より \(A^2 = 0\)。(d)量子力学では「対称化公理」として天下り的に課していたものが、場の量子化の構造(交換関係 vs 反交換関係)から自然に導かれることを強調する。

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A-2. 重力結合定数の次元解析とくりこみ不可能性

本文で「場の量子論に重力を組み込もうとすると、計算が無限大に発散して制御できなくなる」と述べられた。この問題の核心は、重力の結合定数が負の質量次元を持つことにある。以下の議論を通じて、次元解析だけからくりこみ不可能性の「におい」を嗅ぎ取れ。

(a)QED の結合定数(電荷 \(e\))は自然単位系で無次元である。これを確認するために、QED の相互作用 Lagrangian 密度

\[ \mathcal{L}_{\mathrm{int}} = -e\,\bar{\psi}\gamma^\mu\psi\, A_\mu \]

の各因子の質量次元を求め、\([e] = [\text{mass}]^0\) を示せ。ただし 4 次元時空で \([\mathcal{L}] = [\text{mass}]^4\), フェルミオン場 \([\psi] = [\text{mass}]^{3/2}\), ゲージ場 \([A_\mu] = [\text{mass}]^1\) とする。

(b)一般相対論の Einstein-Hilbert 作用(一般相対論 第 6 章 参照)は

\[ S_{\mathrm{EH}} = \frac{1}{16\pi G}\int d^4x\,\sqrt{-g}\,R \]

である。自然単位系で \([S] = [\text{mass}]^0\), \([d^4x] = [\text{mass}]^{-4}\), Ricci スカラー \([R] = [\text{mass}]^2\) として、\([G]\) の質量次元を求めよ。さらに重力結合定数 \(\kappa = \sqrt{32\pi G}\) の質量次元を求めよ。

(c)場の量子論の一般的な結果として、結合定数 \(g\) の質量次元が \([g] = [\text{mass}]^\delta\) のとき: - \(\delta > 0\):超くりこみ可能 (super-renormalizable) - \(\delta = 0\):くりこみ可能 (renormalizable) - \(\delta < 0\):くりこみ不可能 (non-renormalizable)

と分類される(詳細は第 16 章で学ぶ)。QED と重力をそれぞれこの分類に当てはめよ。

(d)くりこみ不可能な理論では、ループ次数が上がるごとに新たな種類の発散が現れ、有限個のパラメータでは吸収しきれない。このことと、弦理論が「点粒子」を「有限の広がりを持つ弦」に置き換えることで発散を緩和するという本文中のリナの説明を組み合わせて、「なぜ重力の量子化には場の量子論を超える枠組みが必要か」を 300 字程度で論じよ。

ヒント

(a)\([\bar{\psi}\gamma^\mu\psi\, A_\mu] = [3/2 + 3/2 + 1] = [\text{mass}]^4\) なので \(\mathcal{L}_{\mathrm{int}}\) の次元が合うには \([e] = 0\)。(b)\([G^{-1}] \cdot [\text{mass}]^{-4} \cdot [\text{mass}]^2 = [\text{mass}]^0\) より \([G^{-1}] = [\text{mass}]^2\)、つまり \([G] = [\text{mass}]^{-2}\)。(c)\([\kappa] = [G]^{1/2} = [\text{mass}]^{-1}\)。(d)\(\delta < 0\) は高エネルギーで結合が強くなることを意味し、摂動展開の各次数で新しいタイプの発散が出現する。有限個の反項 (counterterm) では制御不能。


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