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Appendix G Einstein 方程式の導出


前回までのあらすじ: 第 6 章で Einstein 方程式 \(G_{\mu\nu} = 8\pi G\, T_{\mu\nu}\) を「時空の曲がり=物質のエネルギー」として天下り的に提示した。しかし、この方程式はどこから来るのか? Newton 力学が \(L = T - V\) から \(F = ma\) を導けるように、Einstein 方程式も作用原理から導出できる。

この付録のゴール

  • Einstein-Hilbert 作用の変分を一行一行追いかけ、Einstein 方程式を完全に導出する
  • 変分法の実践例として、弦理論の Polyakov 作用(第 13 章)への橋渡しにもなる

G.1 動機 — なぜ作用原理から導出するのか

🟡 リナ: 物理学の歴史を振り返ると、基本方程式はいつも 2 つのルートで得られてきた。

表 G.1: 基本方程式の導出ルート比較

分野 直接的推論 作用原理
力学 Newton の運動方程式 \(F = ma\) Lagrangian \(L = T - V\) の変分
電磁気学 Maxwell 方程式 電磁場の作用 \(S = -\frac{1}{4}\int F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}\sqrt{-g}\,d^4x\)
一般相対論 Einstein の物理的推論(1915 年) Einstein-Hilbert 作用の変分

🔵 カイ: Newton の場合は \(F = ma\) が先で、後から Lagrangian で再導出できた。Einstein 方程式も同じ?

🟡 リナ: そう。Einstein は等価原理・一般共変性・Newton 極限との整合性から方程式に到達した。ほぼ同時期に Hilbert が作用原理を用いた定式化に取り組んでいた。歴史的には「方程式が先、作用が後」。でも作用原理には決定的な利点がある。

🔵 カイ: どんな利点があるの?

🟡 リナ: 3 つある:

  1. 対称性が自動的に保証される — 作用がスカラーなら、そこから出る方程式は自動的に一般座標変換で共変
  2. 統一的な枠組み — 重力も物質も同じ作用 \(S = S_{EH} + S_M\) に入れて、\(\delta S = 0\) で全てが出る
  3. 量子化への道 —場の量子論(「場の量子論」編 第 10–11 章)で見たように、経路積分 \(\int \mathcal{D}[g]\,e^{iS/\hbar}\) の出発点になる

🔵 カイ: 弦理論でも同じ精神?

🟡 リナ: まさに。第 13 章の Polyakov 作用も「世界面上のスカラー作用を変分する」という同じ構造。だからここで変分の技術を身につけておくと、弦理論の導出がスムーズに読める。

変分法の基礎は「一般相対論」編 「一般相対論」編 Appendix C、場の Lagrangian の変分は「場の量子論」編 「場の量子論」編 第 3 章を参照。


G.2 Einstein-Hilbert 作用

G.2.1 作用の形を決める要請

🟡 リナ: 重力場の作用 \(S_{EH}\) を決めるために、以下の要請を課す:

  1. 一般座標不変性 — 作用はスカラー(座標変換で値が変わらない)
  2. 計量テンソル \(g_{\mu\nu}\) とその微分のみで構成 — 重力場の自由度は計量
  3. 運動方程式が 2 階 — 初期条件として位置と速度を指定すれば解が決まるようにしたい。一般に、Lagrangian が変数の \(n\) 階微分を含むと、Euler-Lagrange 方程式は \(2n\) 階の微分方程式になる(変分で部分積分を \(n\) 回行うため)。\(R\) は計量の 2 階微分を含むので、素朴には運動方程式が 4 階になりそうに見える。しかし \(R\) の特殊な構造のおかげで、\(\delta R_{\mu\nu}\) を含む項が全微分(境界項)になって落ち、結果的に 2 階に収まる(G.3.3 で確認する)
  4. 最も単純 — 可能な限り低次の項

🔵 カイ: その条件を全部満たすスカラーって、具体的に何があるの?

🟡 リナ: 「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 13 章で学んだ Ricci スカラー \(R\) がまさにそれ。\(R = g^{\mu\nu}R_{\mu\nu}\) は計量の 2 階微分を含む最も単純なスカラー。4 次元で体積要素 \(\sqrt{-g}\,d^4x\) と組み合わせると:

\[ S_{EH} = \frac{1}{16\pi G}\int d^4x\,\sqrt{-g}\,R \]

ここでは自然単位系 \(c = 1\) を使う(\(c\) を戻すと \(1/(16\pi G) \to c^4/(16\pi G)\))。

🔵 カイ: \(\sqrt{-g}\) はなぜ必要?

🟡 リナ: \(d^4x\) だけでは座標変換でヤコビアンが出てしまう。\(\sqrt{-g}\,d^4x\) が一般座標不変な体積要素になる。これは「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 7 章で学んだね。

⚪ メイ: つまり \(\sqrt{-g}\) は「座標の選び方によらず体積を正しく測る」ための補正因子ね。

✅ 理解度チェック: Einstein-Hilbert 作用の形を決める 4 つの要請は何でしょうか?

答え

(1) 一般座標不変性(作用がスカラー)、(2) 計量テンソルとその微分のみで構成、(3) 2 階微分まで(運動方程式が 2 階)、(4) 最も単純(可能な限り低次の項)。

G.2.2 宇宙定数項の追加

🟡 リナ: 要請を満たすもう一つの項がある。定数 \(\Lambda\)(宇宙定数)をかけた体積:

\[ S_\Lambda = -\frac{1}{16\pi G}\int d^4x\,\sqrt{-g}\cdot 2\Lambda \]

これも一般座標不変なスカラーで、計量の 0 階微分(微分なし)。最も単純な項だから、原理的に排除する理由がない。

✅ 理解度チェック: 宇宙定数項 \(S_\Lambda\) はなぜ重力作用に含めることが許されるのでしょうか?

答え

宇宙定数項は一般座標不変なスカラーであり、計量の 0 階微分(微分を含まない)で構成される最も単純な項であるため、対称性の要請を満たし、原理的に排除する理由がないから。

🟡 リナ: これを先ほどの \(S_{EH}\) と合わせると、全体の重力作用は:

\[ S_{\text{grav}} = \frac{1}{16\pi G}\int d^4x\,\sqrt{-g}\,(R - 2\Lambda) \]

\(-2\Lambda\) の係数は慣習で、最終的に Einstein 方程式に \(\Lambda g_{\mu\nu}\) が出るように選んである。

⚪ メイ: つまり \(R\) の項と定数項を一つの積分にまとめた形ね。

G.2.3 全作用

物質場の作用を \(S_M\) とすると、全作用は:

\[ S = S_{\text{grav}} + S_M = \frac{1}{16\pi G}\int d^4x\,\sqrt{-g}\,(R - 2\Lambda) + S_M \]

最小作用の原理:

\[ \frac{\delta S}{\delta g^{\mu\nu}} = 0 \]

これが Einstein 方程式を与える。以下、この変分を実行する。

✅ 理解度チェック: Einstein-Hilbert 作用の被積分関数に含まれるスカラー量は何でしょうか?

答え

スカラー曲率 \(R\)(と宇宙定数 \(\Lambda\))。

✅ 理解度チェック: 最小作用の原理では、全作用 \(S\) を何で変分してゼロとおくでしょうか?

答え

計量テンソル \(g^{\mu\nu}\) で変分してゼロとおく。


G.3 変分の実行 — 3 つの寄与

🟡 リナ: \(R = g^{\mu\nu}R_{\mu\nu}\) だから、被積分関数 \(\sqrt{-g}\,R = \sqrt{-g}\,g^{\mu\nu}R_{\mu\nu}\) の変分は積の微分法則で 3 つに分かれる:

\[ \delta(\sqrt{-g}\,g^{\mu\nu}R_{\mu\nu}) = \sqrt{-g}\,R_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu} + \sqrt{-g}\,g^{\mu\nu}\,\delta R_{\mu\nu} + g^{\mu\nu}R_{\mu\nu}\,\delta\sqrt{-g} \]

各項を 第 1 項第 2 項第 3 項 と呼ぶ。全体の構造を図 G.1「Einstein–Hilbert作用の変分の分解」に示した。

🔵 カイ: 3 因子の積だから、微分法則で 3 つに分かれるんだね。

🟡 リナ: そう。図では番号順に並べてあるが、以下では計算の難易度順に進める:まず技術的に独立した第 3 項(\(\delta\sqrt{-g}\) の計算)、次に自明な第 1 項(そのまま残る)、最後に核心となる第 2 項(Palatini の恒等式)の順で片付けよう。

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flowchart TD
    A["δ(√-g · g^μν R_μν)"] --> B["第1項<br>√-g R_μν δg^μν"]
    A --> C["第2項<br>√-g g^μν δR_μν"]
    A --> D["第3項<br>R · δ√-g"]
    B --> E["そのまま残る<br>→ R_μν δg^μν"]
    C --> F["Palatini の恒等式<br>∇_α V^α (全微分)"]
    F --> G["境界項 → 0"]
    D --> H["δ√-g の公式<br>→ -½ R g_μν δg^μν"]
    E --> I["合算: (R_μν - ½ g_μν R) δg^μν"]
    H --> I

図 G.1: Einstein–Hilbert作用の変分の分解

G.3.1 第 3 項:\(\delta\sqrt{-g}\) の計算

🟡 リナ: まず最も技術的に独立した第 3 項から片付ける。\(g \equiv \det(g_{\mu\nu})\) として、\(\sqrt{-g}\) の変分を求めたい。

ステップ 1:行列式の変分(Jacobi の公式)

行列 \(A\) の行列式について、一般に:

\[ \delta(\det A) = (\det A)\,\mathrm{tr}(A^{-1}\,\delta A) \]

これは「一般相対論」編 「一般相対論」編 Appendix C で導出した。計量テンソルに適用すると:

\[ \delta g = g\,g^{\mu\nu}\,\delta g_{\mu\nu} \]

🔵 カイ: \(\delta g_{\mu\nu}\)\(\delta g^{\mu\nu}\) は別物だよね? 関係は?

🟡 リナ: いい質問。\(g^{\mu\alpha}g_{\alpha\nu} = \delta^\mu_\nu\) の両辺を変分すると:

\[ (\delta g^{\mu\alpha})\,g_{\alpha\nu} + g^{\mu\alpha}\,(\delta g_{\alpha\nu}) = 0 \]

両辺に \(g^{\nu\beta}\) を掛けて整理すると:

\[ \delta g^{\mu\beta} = -g^{\mu\alpha}\,g^{\nu\beta}\,\delta g_{\alpha\nu} \]

したがって:

\[ g^{\mu\nu}\,\delta g_{\mu\nu} = -g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu} \]

⚪ メイ: 添字の上げ下げで符号が反転するのね。逆行列の微分と同じ構造。

🟡 リナ: そうだね。

ステップ 2:\(\delta g\)\(\delta g^{\mu\nu}\) で書く

上の関係を使うと:

\[ \delta g = g\,g^{\mu\nu}\,\delta g_{\mu\nu} = -g\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu} \]

ステップ 3:\(\delta\sqrt{-g}\) を求める

\(\sqrt{-g}\) の変分は連鎖律で:

\[ \delta\sqrt{-g} = \frac{1}{2\sqrt{-g}}\,\delta(-g) = \frac{-1}{2\sqrt{-g}}\,\delta g \]

\(\delta g = -g\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}\) を代入すると:

\[ \delta\sqrt{-g} = \frac{-1}{2\sqrt{-g}}\,(-g\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}) \]
\[ = \frac{g}{2\sqrt{-g}}\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu} \]

\(g < 0\) なので \(-g > 0\) であり、\(\sqrt{-g}\) は実数として well-defined。\(\sqrt{-g}\) の定義から \((\sqrt{-g})^2 = -g\) なので、\(g = -(\sqrt{-g})^2\) と書ける。これを分子に代入すると:

\[ \frac{g}{2\sqrt{-g}} = \frac{-(\sqrt{-g})^2}{2\sqrt{-g}} = -\frac{\sqrt{-g}}{2} \]

最後の等号は分子分母で \(\sqrt{-g}\) を 1 つ約分しただけ。

したがって:

\[ \boxed{\delta\sqrt{-g} = -\frac{1}{2}\sqrt{-g}\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}} \]

⚪ メイ: きれいな形! \(g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}\) は添字の縮約だから、スカラーになってる。

🟡 リナ: そう。これで第 3 項は:

\[ g^{\mu\nu}R_{\mu\nu}\,\delta\sqrt{-g} = R\cdot\left(-\frac{1}{2}\sqrt{-g}\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}\right) = -\frac{1}{2}\sqrt{-g}\,R\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu} \]

📝 練習問題:

G.3.2 第 1 項:\(\sqrt{-g}\,R_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}\)

🟡 リナ: 第 1 項はそのまま:

\[ \sqrt{-g}\,R_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu} \]

何も計算する必要はない。\(R_{\mu\nu}\)\(g^{\mu\nu}\) の変分に対して「定数」のように振る舞う部分。

G.3.3 第 2 項:\(\sqrt{-g}\,g^{\mu\nu}\,\delta R_{\mu\nu}\) — Palatini の恒等式

🟡 リナ: ここが導出の核心。Ricci テンソル \(R_{\mu\nu}\) は Christoffel 記号 \(\Gamma^\alpha_{\mu\nu}\) の微分で書かれるから、\(g^{\mu\nu}\) を変えると \(\Gamma\) が変わり、\(R_{\mu\nu}\) も変わる。

ステップ 1:\(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}\) がテンソルであること

🔵 カイ: \(\Gamma^\alpha_{\mu\nu}\) 自体はテンソルじゃないのに、その変分がテンソルになるの?

🟡 リナ: そう。思い出してほしいんだけど、\(\Gamma\) の座標変換則には「座標変換の 2 階微分」——つまり座標変換 \(x \to x'\) を行ったときに \(\partial^2 x^\mu / \partial x'^\alpha \partial x'^\beta\) のような項——が余分に付く(「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 7 章参照)。「テンソルとして変換する」とは、座標を変えたとき各成分が規則的なルール(添字ごとに変換行列を 1 つずつ掛ける)で変わることを言う。\(\Gamma\) にはそのルールから外れる余分な項が付くから「テンソルではない」。

しかしこの余分な項は座標系の選び方だけで決まり、計量の値には依存しない。具体的に書くと、\(\Gamma\) の座標変換則は「テンソル的に変換する部分 + 座標変換の 2 階微分 \(\partial^2 x/\partial x'^2\) に比例する余分な項」という構造をしている。この余分な項は座標変換だけで決まり、計量 \(g_{\mu\nu}\) がどんな値かには一切依存しない。だから \(\Gamma\) 自体はテンソルではないけど、同じ座標系で計量を \(g_{\mu\nu} \to g_{\mu\nu} + \delta g_{\mu\nu}\) と少し変えたとき、変分前の接続 \(\Gamma[g]\) と変分後の接続 \(\Gamma[g + \delta g]\) \(\delta\Gamma = \Gamma[g + \delta g] - \Gamma[g]\) を考えると、座標変換したときに付く余分な項は両方に全く同じ形で現れるからキャンセルする。

🔵 カイ: あ、なるほど。余分な項は「座標系の選び方」だけで決まるから、計量を変えても余分な項は変わらない。だから差を取ると消える——引き算で共通部分が消えるのと同じだ。

🟡 リナ: その通り。結果として \(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}\) はテンソルとして変換する。

ステップ 2:Ricci テンソルの定義と変分

Ricci テンソルは Riemann テンソルの縮約(「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 13 章参照):

\[ R_{\mu\nu} = R^\alpha_{\ \mu\alpha\nu} = \partial_\alpha\Gamma^\alpha_{\mu\nu} - \partial_\nu\Gamma^\alpha_{\mu\alpha} + \Gamma^\alpha_{\alpha\beta}\Gamma^\beta_{\mu\nu} - \Gamma^\alpha_{\nu\beta}\Gamma^\beta_{\mu\alpha} \]

この変分を計算する。「変分」とは \(g_{\mu\nu} \to g_{\mu\nu} + \delta g_{\mu\nu}\) と計量を微小に変えたとき、それに伴って \(\Gamma \to \Gamma + \delta\Gamma\) と変わる分を求めること。\(\delta\Gamma\) は微小量だから、\(\delta\Gamma\) の 2 次以上の項(\((\delta\Gamma)^2\) など)は無視して 1 次の項だけを拾う——これは Taylor 展開で 1 次の項だけ残すのと同じ操作。偏微分の項 \(\partial_\alpha\Gamma^\alpha_{\mu\nu}\)\(\Gamma\) について線形(1 次式)だから、そのまま \(\partial_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu})\) になる。\(\Gamma\Gamma\) の項には積の微分法則(\((fg)' = f'g + fg'\))を適用する。例えば \(\Gamma^\alpha_{\alpha\beta}\Gamma^\beta_{\mu\nu}\) の変分は \(\delta(\Gamma^\alpha_{\alpha\beta})\cdot\Gamma^\beta_{\mu\nu} + \Gamma^\alpha_{\alpha\beta}\cdot\delta(\Gamma^\beta_{\mu\nu})\) の 2 項を生む。同様に \(-\Gamma^\alpha_{\nu\beta}\Gamma^\beta_{\mu\alpha}\) の変分は \(-\delta(\Gamma^\alpha_{\nu\beta})\cdot\Gamma^\beta_{\mu\alpha} - \Gamma^\alpha_{\nu\beta}\cdot\delta(\Gamma^\beta_{\mu\alpha})\) の 2 項を生む。全部合わせると:

\[ \delta R_{\mu\nu} = \partial_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}) - \partial_\nu(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha}) + (\delta\Gamma^\alpha_{\alpha\beta})\Gamma^\beta_{\mu\nu} + \Gamma^\alpha_{\alpha\beta}(\delta\Gamma^\beta_{\mu\nu}) - (\delta\Gamma^\alpha_{\nu\beta})\Gamma^\beta_{\mu\alpha} - \Gamma^\alpha_{\nu\beta}(\delta\Gamma^\beta_{\mu\alpha}) \]

⚪ メイ: これ、すごく複雑……

🟡 リナ: 実は、\(\delta\Gamma\) がテンソルだから、偏微分 \(\partial_\alpha\) を共変微分 \(\nabla_\alpha\) に置き換えられる。具体的に確認しよう。\(\nabla_\alpha(\delta\Gamma^\rho_{\mu\nu})\) を共変微分の定義(「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 7 章参照)で展開すると:

\[ \nabla_\alpha(\delta\Gamma^\rho_{\mu\nu}) = \partial_\alpha(\delta\Gamma^\rho_{\mu\nu}) + \Gamma^\rho_{\alpha\sigma}(\delta\Gamma^\sigma_{\mu\nu}) - \Gamma^\sigma_{\alpha\mu}(\delta\Gamma^\rho_{\sigma\nu}) - \Gamma^\sigma_{\alpha\nu}(\delta\Gamma^\rho_{\mu\sigma}) \]

同様に \(\nabla_\nu(\delta\Gamma^\rho_{\mu\alpha})\) を展開すると:

\[ \nabla_\nu(\delta\Gamma^\rho_{\mu\alpha}) = \partial_\nu(\delta\Gamma^\rho_{\mu\alpha}) + \Gamma^\rho_{\nu\sigma}(\delta\Gamma^\sigma_{\mu\alpha}) - \Gamma^\sigma_{\nu\mu}(\delta\Gamma^\rho_{\sigma\alpha}) - \Gamma^\sigma_{\nu\alpha}(\delta\Gamma^\rho_{\mu\sigma}) \]

🔵 カイ: 共変微分の定義を当てはめただけだけど、項が多いな……これが本当に上のごちゃごちゃした式と一致するの?

🟡 リナ: 一致する。差 \(\nabla_\alpha(\delta\Gamma^\rho_{\mu\nu}) - \nabla_\nu(\delta\Gamma^\rho_{\mu\alpha})\) を取り、その後 \(\rho = \alpha\) として縮約する(\(\rho\) はここまで自由添字だったが、\(\alpha\) と同じ文字にして和を取る)と、偏微分の項として \(\partial_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}) - \partial_\nu(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha})\) が現れる。残りの \(\Gamma \cdot \delta\Gamma\) の項を具体的に見よう。

\(\nabla_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu})\) を共変微分の定義で展開すると(\(\rho = \alpha\) の縮約を行った後)、偏微分 \(\partial_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu})\) に加えて 3 つの \(\Gamma\cdot\delta\Gamma\) 項が出る:

\[ \nabla_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}) = \partial_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}) + \Gamma^\alpha_{\alpha\sigma}(\delta\Gamma^\sigma_{\mu\nu}) - \Gamma^\sigma_{\alpha\mu}(\delta\Gamma^\alpha_{\sigma\nu}) - \Gamma^\sigma_{\alpha\nu}(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\sigma}) \]

同様に \(\nabla_\nu(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha})\) を展開すると:

\[ \nabla_\nu(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha}) = \partial_\nu(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha}) + \Gamma^\alpha_{\nu\sigma}(\delta\Gamma^\sigma_{\mu\alpha}) - \Gamma^\sigma_{\nu\mu}(\delta\Gamma^\alpha_{\sigma\alpha}) - \Gamma^\sigma_{\nu\alpha}(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\sigma}) \]

差を取ると合計 6 つの \(\Gamma\cdot\delta\Gamma\) 項が現れる。このうち、第 1 式の第 4 項 \(-\Gamma^\sigma_{\alpha\nu}(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\sigma})\) と第 2 式の第 4 項 \(+\Gamma^\sigma_{\nu\alpha}(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\sigma})\) は、\(\Gamma\) の下添字の対称性 \(\Gamma^\sigma_{\alpha\nu} = \Gamma^\sigma_{\nu\alpha}\) により正確に相殺する。残る 4 項を書き出すと:

  • 第 1 式の第 2 項:\(+\Gamma^\alpha_{\alpha\sigma}(\delta\Gamma^\sigma_{\mu\nu})\)
  • 第 1 式の第 3 項:\(-\Gamma^\sigma_{\alpha\mu}(\delta\Gamma^\alpha_{\sigma\nu})\)
  • 第 2 式の第 2 項:\(-\Gamma^\alpha_{\nu\sigma}(\delta\Gamma^\sigma_{\mu\alpha})\)
  • 第 2 式の第 3 項:\(+\Gamma^\sigma_{\nu\mu}(\delta\Gamma^\alpha_{\sigma\alpha})\)

これらがステップ 2 冒頭の \(\delta R_{\mu\nu}\)\(\Gamma\cdot\delta\Gamma\) の 4 項と一致することは、ダミー添字の名前替え(例えば第 2 式の第 3 項 \(+\Gamma^\sigma_{\nu\mu}(\delta\Gamma^\alpha_{\sigma\alpha})\)\(\sigma \to \beta\) と置けば \(+\Gamma^\beta_{\nu\mu}(\delta\Gamma^\alpha_{\beta\alpha})\) となり、\(\Gamma\) の下添字の対称性で \(\Gamma^\beta_{\nu\mu} = \Gamma^\beta_{\mu\nu}\) を使えば \(+\Gamma^\beta_{\mu\nu}(\delta\Gamma^\alpha_{\beta\alpha})\)。これは元の式の \((\delta\Gamma^\alpha_{\alpha\beta})\Gamma^\beta_{\mu\nu}\) と因子の順序が逆なだけで同じ項に対応する)で確認できる。残りの項も同様にダミー添字の名前替えで対応が確認できる(全 4 項の対応を一つ一つ追いかけたい読者は「一般相対論」編 「一般相対論」編 Appendix Cの練習問題を参照)。要点は、共変微分の定義に含まれる接続係数の項が、\(\delta R_{\mu\nu}\)\(\Gamma\cdot\delta\Gamma\) の 4 項を過不足なく吸収する仕組みになっていること。これは偶然ではなく、\(\delta\Gamma\) がテンソルであることの直接的帰結——テンソルの偏微分に接続係数の補正を加えたものが共変微分だから、テンソル \(\delta\Gamma\) の偏微分を含む式は必ず共変微分の形にまとまる。結果は:

\[ \boxed{\delta R_{\mu\nu} = \nabla_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}) - \nabla_\nu(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha})} \]

ここでは第 1 項と第 2 項で微分の方向(\(\alpha\)\(\nu\))が異なることに注意。

これが Palatini の恒等式

🔵 カイ: 偏微分と \(\Gamma\) の積の項が全部、共変微分の中に吸収されるんだ。

⚪ メイ: 6 項のうち 2 項がキャンセルして、残り 4 項がぴったり一致する——美しい構造ね。

🔵 カイ: 共変微分の中に吸収されるのはわかったけど、次のステップ 3 で \(g^{\mu\nu}\) を掛けるとどうなるの?

🟡 リナ: いい質問。テンソルの共変微分はテンソルだから、この式は座標に依存しない。次に \(g^{\mu\nu}\) を掛けて全微分の形にまとめよう。

ステップ 3:\(g^{\mu\nu}\,\delta R_{\mu\nu}\) を全微分にする

\(g^{\mu\nu}\) を掛ける:

\[ g^{\mu\nu}\,\delta R_{\mu\nu} = g^{\mu\nu}\nabla_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}) - g^{\mu\nu}\nabla_\nu(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha}) \]

Levi-Civita 接続では計量適合条件 \(\nabla_\alpha g^{\mu\nu} = 0\)(metric compatibility、「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 12 章参照)が成り立つから、\(g^{\mu\nu}\) を共変微分の中に入れられる。まず第 1 項について:

\[ g^{\mu\nu}\nabla_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}) = \nabla_\alpha(g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}) \]

次に第 2 項について:

\[ g^{\mu\nu}\nabla_\nu(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha}) = \nabla_\nu(g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha}) \]

⚪ メイ: 計量適合条件のおかげで \(g^{\mu\nu}\) が微分の中に入れるのね。

🔵 カイ: でも第 1 項は \(\nabla_\alpha(\cdots)\) で第 2 項は \(\nabla_\nu(\cdots)\) ——微分の添字が違うけど、これはどうまとめるの?

🟡 リナ: いい着眼点。このままでは 1 つの発散にまとめられない。ここで第 1 項の \(\alpha\) と第 2 項の \(\nu\) はどちらもダミー添字(同じ文字が 2 回現れて縮約される添字)。最終的にやりたいことは、両方の項を \(\nabla_\lambda(\text{何か})\) という同じ形にして、\(\nabla_\lambda(\text{第1項の中身} - \text{第2項の中身})\) と 1 つにまとめること。そのために、両項の微分の添字を同じ文字 \(\lambda\) に揃える必要がある。

🔵 カイ: ダミー添字って、名前を変えても値は変わらないんだよね? \(\sum_i a_i = \sum_j a_j\) みたいに。

🟡 リナ: その通り。たとえば 2 次元で \(\sum_{\nu=0}^{1} A_\nu B^\nu = A_0 B^0 + A_1 B^1\) と書いても \(\sum_{\alpha=0}^{1} A_\alpha B^\alpha = A_0 B^0 + A_1 B^1\) と書いても同じ値——文字は「足し上げる番号」のラベルに過ぎない。

そこで具体的にやることを 2 ステップで説明する:

ステップ A:第 2 項 \(\nabla_\nu(g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha})\) のダミー添字を名前替えする。目標は微分の添字を \(\lambda\) に揃えること。\(\nu \to \lambda\) と変えたい。ただし同時に \(\alpha\) もそのまま残すと問題ないか確認しよう——\(\nabla_\lambda(g^{\mu\lambda}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha})\)\(\lambda\) が上下 1 回ずつ、\(\alpha\) が上下 1 回ずつで、縮約規則に違反しない。OK。

\[ \nabla_\nu(g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha}) \xrightarrow{\nu\to\lambda} \nabla_\lambda(g^{\mu\lambda}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha}) \]

🔵 カイ: ちょっと待って。もし \(\nu \to \alpha\) にしたらどうなるの?

🟡 リナ: \(\nabla_\alpha(g^{\mu\alpha}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha})\) となって、\(\alpha\) が 3 箇所に現れる。Einstein の縮約規則——同じ添字は上下 1 回ずつのペアでのみ和を取る——に違反してしまう。だから \(\nu\)\(\alpha\) 以外の新しい文字に変える必要がある。

ステップ B:第 1 項 \(\nabla_\alpha(g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu})\) を見る。ここでは \(\alpha\) が微分の添字であると同時に \(\Gamma\) の上付き添字でもある(両方の場所に現れて縮約されている)。この \(\alpha\)\(\lambda\) に名前替えして \(\nabla_\lambda(g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\lambda_{\mu\nu})\) と書く。

これで両方の項が \(\nabla_\lambda(\cdots)\) の形になったから、括弧の中身を引き算して 1 つにまとめられる。

🔵 カイ: 両方の項で \(\lambda\) を使っていいの? 混ざらない?

🟡 リナ: 大丈夫。ポイントは、最終的に 2 つの項を \(\nabla_\lambda(\text{第1項の中身} - \text{第2項の中身})\) と 1 つの共変微分にまとめること。まとめた後は \(\lambda\) が全体を通じた 1 つのダミー添字になる。たとえば普通の足し算で \(\sum_i a_i - \sum_j b_j\)\(\sum_i(a_i - b_i)\) にまとめるとき、\(j\)\(i\) に名前替えしてから引き算するのと同じ操作だよ。各項の中でダミー添字が重複しなければ問題ない。

⚪ メイ: つまり、名前を変えても値は同じだから、両方の項の微分添字を \(\lambda\) に統一して、括弧の中身を引き算できるようにしたのね。

🟡 リナ: その通り。第 1 項は元々 \(\nabla_\alpha(g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu})\) だったが、\(\alpha \to \lambda\) と名前替えして \(\nabla_\lambda(g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\lambda_{\mu\nu})\) と書く。第 2 項は先ほど \(\nabla_\lambda(g^{\mu\lambda}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha})\) になっている。これで両項の微分が \(\nabla_\lambda\) に揃い、括弧の中身を引き算できる:

\[ g^{\mu\nu}\,\delta R_{\mu\nu} = \nabla_\lambda(g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\lambda_{\mu\nu}) - \nabla_\lambda(g^{\mu\lambda}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha}) \]

ベクトル \(V^\lambda\) を定義する:

\[ V^\lambda \equiv g^{\mu\nu}\,\delta\Gamma^\lambda_{\mu\nu} - g^{\mu\lambda}\,\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha} \]

すると:

\[ g^{\mu\nu}\,\delta R_{\mu\nu} = \nabla_\lambda V^\lambda \]

🔵 カイ: おお、6 項もあった \(\Gamma\cdot\delta\Gamma\) が全部消えて、最後はたった 1 つの発散 \(\nabla_\lambda V^\lambda\) にまとまるんだ!

🟡 リナ: そう。これがテンソル解析の威力。

ステップ 4:積分して境界項にする

\(\sqrt{-g}\) を掛けて積分すると、一般座標不変な発散定理(「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 7 章参照)により:

\[ \int d^4x\,\sqrt{-g}\,g^{\mu\nu}\,\delta R_{\mu\nu} = \int d^4x\,\sqrt{-g}\,\nabla_\alpha V^\alpha = \int d^4x\,\partial_\alpha(\sqrt{-g}\,V^\alpha) \]

最後の等式は \(\sqrt{-g}\,\nabla_\alpha V^\alpha = \partial_\alpha(\sqrt{-g}\,V^\alpha)\) という恒等式(「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 7 章)による。

これは 4 次元の発散定理で境界面上の積分に変換できる:

\[ \int d^4x\,\partial_\alpha(\sqrt{-g}\,V^\alpha) = \oint_{\partial\mathcal{M}} d^3\Sigma_\alpha\,\sqrt{-g}\,V^\alpha \]

⚪ メイ: 体積積分が境界面の積分に変わる——ベクトル解析の Gauss の定理と同じ精神ね。

🟡 リナ: その通り。そして次は境界条件の議論に入る。

境界条件:変分問題では境界上で \(\delta g^{\mu\nu} = 0\)(計量を境界で固定)とする。素朴には「\(g\) を固定すれば \(\Gamma\) も固定されるから \(V^\alpha = 0\)」と言いたくなるが、本当にそうだろうか?

🔵 カイ: ちょっと待って。\(\delta g^{\mu\nu} = 0\) でも \(\partial_\rho(\delta g^{\mu\nu})\) は境界でゼロとは限らないんじゃ? \(\Gamma\)\(g\) の微分を含むから……

🟡 リナ: 鋭い! その通り。厳密には \(\delta g^{\mu\nu}|_{\partial\mathcal{M}} = 0\) だけでは \(\delta\Gamma|_{\partial\mathcal{M}} = 0\) は保証されない。\(g\) の法線方向微分 \(\partial_n g\) は固定されないから。

この問題を完全に解決するには Gibbons-Hawking-York 境界項

\[ S_{GHY} = \frac{1}{8\pi G}\oint_{\partial\mathcal{M}} d^3x\,\sqrt{|h|}\,K \]

を作用に追加する。ここで \(h\) は境界面に誘導される 3 次元計量の行列式、\(K\) は境界面の外的曲率のトレース(正式な定義は省略する)。外的曲率とは、境界面が周囲の時空の中でどの方向にどれだけ曲がって埋め込まれているかを表す量。身近な例で言えば、風船の表面は外側に膨らんでいるから外的曲率が正、馬の鞍の内側は凹んでいるから外的曲率が負。平坦な紙は外的曲率ゼロ。そのトレース \(K\) は「境界面が全体としてどれだけ膨らんでいるか」を 1 つの数で要約したもの。この付録では \(K\) の具体的な計算には立ち入らないが、要点は:この項を加えると、\(\delta g^{\mu\nu}|_{\partial\mathcal{M}} = 0\) だけで変分問題が well-posed になる。

⚪ メイ: でも最終的な運動方程式(Einstein 方程式)には影響しない?

🟡 リナ: しない。GHY 項 \(S_{GHY}\) の変分は、\(S_{EH}\) の変分で生じた境界項をちょうど打ち消すように設計されている。結果として、全作用 \(S_{EH} + S_{GHY} + S_M\) の変分では境界項が完全に消え、体積積分の被積分関数だけが残る。だから \(\delta S/\delta g^{\mu\nu} = 0\) から得られる運動方程式は \(S_{GHY}\) の有無に関わらず同じ。ブラックホールの熱力学(第 10 章)や量子重力の経路積分では境界項の値自体が重要になるけど、ここでは「第 2 項は消える」と結論して先に進もう。この過程の全体像を図 G.2「Palatiniの恒等式と境界項の消去過程」にまとめてある。

Palatiniの恒等式と境界項の消去過程

図 G.2: Palatiniの恒等式と境界項の消去過程。\(g^{\mu\nu}\delta R_{\mu\nu} = \nabla_\alpha V^\alpha\) が発散定理で境界積分に変わる。厳密には Gibbons-Hawking-York 境界項の追加が必要だが、運動方程式には影響しない

G.3.4 3 つの寄与をまとめる

🟡 リナ: 以上をまとめる。\(\delta(\sqrt{-g}\,R)\) の 3 項は:

  • 第 1 項: \(\sqrt{-g}\,R_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}\)
  • 第 2 項: \(0\)(境界項として消える)
  • 第 3 項: \(-\frac{1}{2}\sqrt{-g}\,R\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}\)

したがって:

\[ \delta(\sqrt{-g}\,R) = \sqrt{-g}\left(R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R\right)\delta g^{\mu\nu} \]

🔵 カイ: 第 2 項が消えたおかげで、\(R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R\) ってきれいにまとまるんだ。Einstein テンソルの形が見えてきた!

🟡 リナ: その通り。あとは宇宙定数項の変分を加えるだけ:

\[ \delta(-2\Lambda\sqrt{-g}) = -2\Lambda\,\delta\sqrt{-g} = -2\Lambda\left(-\frac{1}{2}\sqrt{-g}\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}\right) = \Lambda\sqrt{-g}\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu} \]

合わせて:

\[ \delta S_{\text{grav}} = \frac{1}{16\pi G}\int d^4x\,\sqrt{-g}\left(R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R + \Lambda g_{\mu\nu}\right)\delta g^{\mu\nu} \]

⚪ メイ: 重力部分の変分はこれで完了ね。あとは物質の作用を足すだけ。

✅ 理解度チェック: Palatini の恒等式によって \(\delta R_{\mu\nu}\) はどのような形で表されるでしょうか?

答え

\(\delta R_{\mu\nu} = \nabla_\alpha(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\nu}) - \nabla_\nu(\delta\Gamma^\alpha_{\mu\alpha})\) という共変微分の差の形で表される。

✅ 理解度チェック: \(g^{\mu\nu}\delta R_{\mu\nu}\) の項が最終的に寄与しない理由は何でしょうか?

答え

全微分(\(\nabla_\alpha V^\alpha\))の形になるため、発散定理により境界項となり、境界で \(\delta g^{\mu\nu} = 0\) とすれば消えるから。


G.4 物質の作用とエネルギー運動量テンソル

G.4.1 エネルギー運動量テンソルの変分的定義

🟡 リナ: 物質場の作用 \(S_M[g^{\mu\nu}, \phi]\) を計量で変分する。ここで \(\phi\) は物質場(スカラー場、電磁場など、重力以外の全ての場)をまとめて表す記号。具体例はこの後すぐ見る。

🟡 リナ: \(\frac{\delta S_M}{\delta g^{\mu\nu}}\)汎関数微分と呼ばれる。普通の微分が「変数を少し変えたときの関数の変化率」を表すように、汎関数微分は「場 \(g^{\mu\nu}(x)\) を各点で少し変えたときの作用(積分量)の変化率」を表す(「一般相対論」編 「一般相対論」編 Appendix C参照)。

🔵 カイ: 普通の微分は \(df/dx\) で「\(x\) を少し動かしたときの \(f\) の変化率」だよね。汎関数微分は何が違うの?

🟡 リナ: 普通の微分では変数が有限個(\(x\), \(y\), \(z\) など)。汎関数微分では「変数」が場 \(g^{\mu\nu}(x)\)——つまり空間の各点に値がある。イメージとしては、空間を格子点に分けて各点の \(g^{\mu\nu}\) を独立変数だと思えば、離散版では \(\delta S \approx \sum_i \frac{\partial S}{\partial g^{\mu\nu}_i}\,\delta g^{\mu\nu}_i\) と書ける。格子を無限に細かくすると、和 \(\sum_i\) が積分 \(\int d^4x\) に変わり、偏微分 \(\partial S/\partial g^{\mu\nu}_i\) が汎関数微分 \(\delta S_M/\delta g^{\mu\nu}(x)\) に置き換わる。

⚪ メイ: つまり実用的には、\(S_M\) の変分を積分の形に書いて \(\delta g^{\mu\nu}\) の係数を読み取ればいいのね?

🟡 リナ: その通り。実用的な定義はまさにそれ:\(S_M\) の変分を

\[ \delta S_M = \int d^4x\,\frac{\delta S_M}{\delta g^{\mu\nu}}\,\delta g^{\mu\nu} \]

と書いたとき、被積分関数の中で \(\delta g^{\mu\nu}\) に掛かっている係数が \(\frac{\delta S_M}{\delta g^{\mu\nu}}\) である——これが汎関数微分の定義。記号の注意:左辺の \(\delta S_M\) は「作用全体の微小変化」、右辺の \(\delta g^{\mu\nu}\) は「計量の微小変化」、\(\frac{\delta S_M}{\delta g^{\mu\nu}}\) は「汎関数微分」。同じ \(\delta\) が使われているが、文脈で区別する(普通の微分で \(df = \frac{df}{dx}\,dx\) と書くとき、\(d\) が「全微分」と「微分演算子」の両方に使われるのと同じ慣習)。G.4.3 のスカラー場の例で実際に計算するので、そこで具体的な手順を確認しよう。

🔵 カイ: ちょっと待って。普通の偏微分なら \(\partial f/\partial x_i\) で「\(x_i\) だけ動かして他は固定」だよね。汎関数微分も同じで、「ある一点 \(x\) での \(g^{\mu\nu}\) だけ動かして他の点は固定」ってこと?

🟡 リナ: 直感的にはそう。格子点が無限に細かくなった極限が汎関数微分で、記号も \(\partial\) ではなく \(\delta\) を使って区別している。ただし実用上は「一点だけ動かす」と考えるより、さっき言った定義——\(\delta S_M\) を積分の形に書いて \(\delta g^{\mu\nu}\) の係数を読み取る——の方が計算しやすい。G.4.3 のスカラー場の例でまさにその手順を使うから、そこで感覚を掴もう。

🔵 カイ: じゃあ確認——さっきの定義だと、\(\delta S_M\) を積分の形に書いて \(\delta g^{\mu\nu}\) の係数を読み取れば、それが \(\delta S_M/\delta g^{\mu\nu}\) ってことだよね。普通の微分で \(df = (\partial f/\partial x)\,dx\) の係数が微分係数なのと同じ構造?

🟡 リナ: 完璧な理解。まさにその通り。じゃあもう一歩——物質の作用を「計量で」変分するって、物理的にはどういう意味だと思う?

🔵 カイ: うーん……「時空の形を少し変えたとき、物質がどれだけ影響を受けるか」? でも待って、それって逆に言えば「物質が時空をどれだけ曲げたがっているか」の指標にもなるんじゃない? 作用-反作用みたいに。

🟡 リナ: まさにそこが核心。物質が時空の変形に対してどれだけ「抵抗」するか——その応答の強さを定量化したものがエネルギー運動量テンソルになる。そしてそれが Einstein 方程式の右辺に座って、時空の曲がりを決める源になる。具体的には、エネルギー運動量テンソル \(T_{\mu\nu}\) を次のように定義する:

\[ \boxed{T_{\mu\nu} \equiv -\frac{2}{\sqrt{-g}}\,\frac{\delta S_M}{\delta g^{\mu\nu}}} \]

すると:

\[ \delta S_M = -\frac{1}{2}\int d^4x\,\sqrt{-g}\,T_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu} \]

🔵 カイ: なぜ \(-2/\sqrt{-g}\) という係数?

🟡 リナ: 2 つの理由がある。第一に、この係数で定義すると Newton 極限で \(T_{00}\) がちょうどエネルギー密度 \(\rho\) に一致する——これは 「G.5.3 Newton 極限との整合性」 で実際に確認する。第二に、Einstein 方程式が \(G_{\mu\nu} = 8\pi G\,T_{\mu\nu}\) というきれいな形になる。また、この定義で得られる \(T_{\mu\nu}\) は自動的に対称テンソル(\(T_{\mu\nu} = T_{\nu\mu}\))になる。これは「場の量子論」編 「場の量子論」編 第 3 章の Noether の定理から得られる正準エネルギー運動量テンソルとは一般に異なるけど、物理的に正しいのはこちら。

G.4.2 具体例:完全流体

⚪ メイ: 具体的にはどんな \(T_{\mu\nu}\) が出るの?

🟡 リナ: 2 つの例を見よう。まず完全流体は結果だけ示す——流体の作用の変分は技術的にやや複雑だから。その後、スカラー場で変分の全手順を一行一行追いかける。完全流体のエネルギー運動量テンソルは:

\[ T_{\mu\nu} = (\rho + p)\,u_\mu u_\nu + p\,g_{\mu\nu} \]

ここで \(\rho\) はエネルギー密度、\(p\) は圧力、\(u^\mu\) は流体の 4 元速度。

これが変分的定義から出ることを確認するには、完全流体の作用 \(S_M = -\int d^4x\,\sqrt{-g}\,\rho\)\(g^{\mu\nu}\) で変分すればよい(詳細は「一般相対論」編 「一般相対論」編 Appendix Cの練習問題を参照)。

G.4.3 具体例:スカラー場

🟡 リナ: 「場の量子論」編 「場の量子論」編 第 3 章で学んだスカラー場 \(\phi\) の作用:

\[ S_M = \int d^4x\,\sqrt{-g}\left(-\frac{1}{2}g^{\mu\nu}\partial_\mu\phi\,\partial_\nu\phi - V(\phi)\right) \]

これを \(g^{\mu\nu}\) で変分する。被積分関数を \(\mathcal{L}_M\sqrt{-g}\) と書くと:

\[ \delta(S_M) = \int d^4x\left[\sqrt{-g}\,\frac{\partial\mathcal{L}_M}{\partial g^{\mu\nu}}\,\delta g^{\mu\nu} + \mathcal{L}_M\,\delta\sqrt{-g}\right] \]

🔵 カイ: G.3.1 でやった \(\delta\sqrt{-g}\) がここでまた出てくるんだ。

🟡 リナ: そう、道具が使い回せる。第 1 項:\(\mathcal{L}_M = -\frac{1}{2}g^{\alpha\beta}\partial_\alpha\phi\,\partial_\beta\phi - V(\phi)\)\(g^{\mu\nu}\) で微分すると:

\[ \frac{\partial\mathcal{L}_M}{\partial g^{\mu\nu}} = -\frac{1}{2}\partial_\mu\phi\,\partial_\nu\phi \]

第 2 項:\(\delta\sqrt{-g} = -\frac{1}{2}\sqrt{-g}\,g_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu}\) を使うと:

\[ \mathcal{L}_M\,\delta\sqrt{-g} = -\frac{1}{2}\sqrt{-g}\,g_{\mu\nu}\,\mathcal{L}_M\,\delta g^{\mu\nu} \]

合わせて:

\[ \delta S_M = \int d^4x\,\sqrt{-g}\left[-\frac{1}{2}\partial_\mu\phi\,\partial_\nu\phi - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}\mathcal{L}_M\right]\delta g^{\mu\nu} \]

定義 \(T_{\mu\nu} = -\frac{2}{\sqrt{-g}}\frac{\delta S_M}{\delta g^{\mu\nu}}\) に代入すると:

\[ T_{\mu\nu} = \partial_\mu\phi\,\partial_\nu\phi + g_{\mu\nu}\mathcal{L}_M = \partial_\mu\phi\,\partial_\nu\phi - g_{\mu\nu}\left(\frac{1}{2}g^{\alpha\beta}\partial_\alpha\phi\,\partial_\beta\phi + V(\phi)\right) \]

🔵 カイ: 「場の量子論」編 「場の量子論」編 第 3 章で見たスカラー場のエネルギー運動量テンソルと同じ形だ!

🟡 リナ: そう。ただし曲がった時空では \(\eta_{\mu\nu} \to g_{\mu\nu}\) に置き換わっている。

⚪ メイ: 変分的定義の手順——「\(\delta S_M\) を書いて \(\delta g^{\mu\nu}\) の係数を読み取る」——を実際にやると、こんなにストレートに出るのね。

✅ 理解度チェック: エネルギー運動量テンソル \(T_{\mu\nu}\) は物質の作用 \(S_M\) を用いてどのように定義されるでしょうか?

答え

\(T_{\mu\nu} \equiv -\frac{2}{\sqrt{-g}}\frac{\delta S_M}{\delta g^{\mu\nu}}\) と定義される。


G.5 Einstein 方程式の完成

G.5.1 変分原理からの導出

🟡 リナ: 全作用 \(S = S_{\text{grav}} + S_M\) の変分をゼロとおく:

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flowchart LR
    S["全作用 S = S_grav + S_M"] --> SG["S_grav = 1/(16πG) ∫√-g (R-2Λ) d⁴x"]
    S --> SM["S_M[g, φ]"]
    SG -->|δ/δg^μν| LHS["(R_μν - ½g_μν R + Λg_μν) / (16πG)"]
    SM -->|δ/δg^μν| RHS["-½ T_μν"]
    LHS --> EQ["δS = 0"]
    RHS --> EQ
    EQ --> EINSTEIN["G_μν + Λg_μν = 8πG T_μν"]

図 G.3: 全作用の変分からEinstein方程式への導出

\[ \delta S = \frac{1}{16\pi G}\int d^4x\,\sqrt{-g}\left(R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R + \Lambda g_{\mu\nu}\right)\delta g^{\mu\nu} - \frac{1}{2}\int d^4x\,\sqrt{-g}\,T_{\mu\nu}\,\delta g^{\mu\nu} = 0 \]

\(\delta g^{\mu\nu}\) は任意だから、被積分関数がゼロ:

\[ \frac{1}{16\pi G}\left(R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R + \Lambda g_{\mu\nu}\right) - \frac{1}{2}T_{\mu\nu} = 0 \]

\(16\pi G\) を掛けて整理すると:

\[ \boxed{R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R + \Lambda g_{\mu\nu} = 8\pi G\,T_{\mu\nu}} \]

これが宇宙定数項付き Einstein 方程式。Einstein テンソル \(G_{\mu\nu} \equiv R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R\) を使えば:

\[ G_{\mu\nu} + \Lambda g_{\mu\nu} = 8\pi G\,T_{\mu\nu} \]

🔵 カイ: ついに出た! G.3 で 3 つに分けて計算したものが全部ここで合流して、きれいに Einstein 方程式になるんだな。

⚪ メイ: 第 6 章で見た式と同じ形ね。あのときは天下りに受け入れたけど、今は 4 つの要請から作用を決めて変分しただけで同じ式が出てきた——途中で「こう決めよう」と恣意的に選んだ箇所がなかったのが印象的。

G.5.2 Bianchi 恒等式とエネルギー保存

🟡 リナ: 導出の整合性チェックとして、Bianchi 恒等式を確認しよう。微分幾何の恒等式として(「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 13 章参照):

\[ \nabla^\mu G_{\mu\nu} = 0 \]

これは Riemann テンソルの対称性から純粋に幾何学的に成り立つ。\(\nabla^\mu(\Lambda g_{\mu\nu}) = 0\)\(\nabla^\mu g_{\mu\nu} = 0\) だから)と合わせると:

\[ \nabla^\mu(G_{\mu\nu} + \Lambda g_{\mu\nu}) = 0 \]

Einstein 方程式の右辺にも同じ条件が課される:

\[ \nabla^\mu T_{\mu\nu} = 0 \]

🔵 カイ: \(\nabla^\mu T_{\mu\nu} = 0\) って、平坦な時空での \(\partial^\mu T_{\mu\nu} = 0\)(エネルギー運動量保存)の一般化? でも曲がった時空だと「保存」の意味が変わりそう……

🟡 リナ: いい直感。曲がった時空では \(\nabla^\mu T_{\mu\nu} = 0\) は局所的な保存則に対応する。平坦な時空では \(\nabla^\mu \to \partial^\mu\) となって通常のエネルギー運動量保存 \(\partial^\mu T_{\mu\nu} = 0\) に帰着する。ただし曲がった時空では「全宇宙のエネルギーの総量」を定義すること自体が一般には難しい——重力場自体のエネルギーをどう勘定するかという問題がある(「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 15 章参照)。ここでは深入りしないけど、覚えておいて。

重要なのは、この保存則が Einstein 方程式の帰結として自動的に出ること。作用の一般座標不変性(\(S\) が座標変換で不変)から Noether の定理(「場の量子論」編 「場の量子論」編 第 3 章参照)で \(\nabla^\mu T_{\mu\nu} = 0\) が保証される。

⚪ メイ: つまり保存則を別途仮定する必要がなくて、対称性から自動的に出てくるのね。

🟡 リナ: その通り。ここで注目してほしいのは、Bianchi 恒等式 \(\nabla^\mu G_{\mu\nu} = 0\)\(\nu = 0, 1, 2, 3\) の 4 つの恒等式を与えるということ。Einstein 方程式は \(g_{\mu\nu}\) の対称性から 10 成分の方程式だけど——

🔵 カイ: 待って。4 つの恒等式が常に成り立つってことは……10 個の成分のうち 4 個は独立じゃないってこと?

🟡 リナ: まさにそう。10 成分の方程式に 4 つの Bianchi 恒等式があるから、独立な方程式は 6 個。これは計量 \(g_{\mu\nu}\) の 10 成分から 4 つの座標自由度を引いた 6 自由度と一致する。

🔵 カイ: ん? 「座標自由度を引く」って何? 前に電磁気学で \(A_\mu\) の 4 成分からゲージ自由度を引いて物理的自由度が減るって話があったよね(「場の量子論」編 「場の量子論」編 第 3 章)。それと似てる?

🟡 リナ: まさにそう。電磁気学では \(A_\mu \to A_\mu + \partial_\mu\chi\) というゲージ自由度が 1 つあって、4 成分から 1 を引いた 3 自由度——さらに運動方程式の拘束で物理的には横波の 2 自由度になる。Maxwell 方程式には 1 つの恒等式(\(\partial_\mu J^\mu = 0\))が対応する。重力では座標変換の自由度が 4 つあって、4 つの Bianchi 恒等式を与える。構造は全く同じ。つまり、どちらも「作用の対称性 → 保存則 → 方程式の無矛盾性」という三段構造になっている。電磁気学ではゲージ不変性 → 電荷保存 → Maxwell 方程式の無矛盾性、重力では座標不変性 → エネルギー運動量保存 → Einstein 方程式の無矛盾性。

🔵 カイ: じゃあ対称性が大きいほど恒等式が多くて、独立な方程式が減るんだ。電磁気学は 1 つの恒等式で \(4-1=3\) 個、重力は 4 つの恒等式で \(10-4=6\) 個——パターンが同じだ。

🟡 リナ: その通り。対称性が理論を「絞り込む」んだ。定量的にまとめると——電磁気学では「\(U(1)\)ゲージ不変性(1パラメータ)→ 電荷保存(1つの恒等式)→ 4成分中の独立方程式は3個」。重力では「一般座標不変性(4パラメータ)→ エネルギー運動量保存(4つの恒等式)→ 10成分中の独立方程式は6個」。

⚪ メイ: 整理すると、電磁気学は「1パラメータの対称性 → 1つの恒等式 → 独立方程式 \(4-1=3\) 個」、重力は「4パラメータの対称性 → 4つの恒等式 → 独立方程式 \(10-4=6\) 個」。対称性のパラメータ数がそのまま恒等式の数になるのね。

🟡 リナ: その関係を図にまとめると図 G.4「座標不変性とBianchi恒等式の整合性」のようになる。

%%{init: {"theme": "default", "themeCSS": ".edgePath .path, .flowchart-link { stroke-width: 2px !important; }"}}%%
flowchart TD
    A["作用 S の一般座標不変性"] -->|Noether の定理| B["∇^μ T_μν = 0<br>(エネルギー運動量保存)"]
    A -->|微分幾何の恒等式| C["∇^μ G_μν = 0<br>(Bianchi 恒等式)"]
    C -->|Einstein 方程式の左辺| D["G_μν + Λg_μν = 8πG T_μν"]
    B -->|Einstein 方程式の右辺| D
    D --> E["方程式の無矛盾性が保証される"]

図 G.4: 座標不変性とBianchi恒等式の整合性

🟡 リナ: そう。これが作用原理の威力。

G.5.3 Newton 極限との整合性

🟡 リナ: 係数 \(8\pi G\) が正しいことを確認しよう。弱い重力場で:

\[ g_{\mu\nu} \approx \eta_{\mu\nu} + h_{\mu\nu}, \quad |h_{\mu\nu}| \ll 1 \]

静的・非相対論的な物質(\(T^{00} \approx \rho\)、他の成分はほぼゼロ、\(c = 1\))の場合を考える。添字を下げると \(T_{00} = g_{0\alpha}g_{0\beta}T^{\alpha\beta}\)。弱場近似で \(g_{0i} \approx 0\) かつ \(T^{0i} \approx 0\), \(T^{ij} \approx 0\) だから、和の中で生き残るのは \(\alpha = 0\), \(\beta = 0\) の項だけ:\(T_{00} \approx g_{00}g_{00}T^{00} \approx (-1)(-1)\rho = \rho\)

🔵 カイ: \(T^{0i} \approx 0\) って、なぜ? エネルギー密度がゼロじゃないのに運動量密度はゼロなの?

🟡 リナ: 「非相対論的」とは物質がほぼ静止していること。\(T^{0i}\) は運動量密度——つまり物質の流れの速さに対応する。物質が動いていなければ運動量密度はゼロ。静的・非相対論的な極限では圧力もゼロなので \(T_{00} \approx \rho\)、他の成分は無視できる。

⚪ メイ: 「ほぼ止まっている物質」だけを考えて Newton 極限を再現できるか確かめるのね。

🟡 リナ: そう。Einstein 方程式をそのまま \(00\) 成分で使うと \(R_{00} - \frac{1}{2}g_{00}R = 8\pi G\,\rho\) だが、\(R\) を消去するためにまずトレースを取る方が見通しがよい。

ステップ 1:トレースを取る

Einstein 方程式 \(G_{\mu\nu} = 8\pi G\,T_{\mu\nu}\) の両辺に \(g^{\mu\nu}\) を掛ける。左辺は \(g^{\mu\nu}G_{\mu\nu} = g^{\mu\nu}R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g^{\mu\nu}g_{\mu\nu}R = R - \frac{1}{2}\cdot 4 \cdot R = R - 2R = -R\)。右辺は \(8\pi G\,g^{\mu\nu}T_{\mu\nu} = 8\pi G\,T\)\(T \equiv g^{\mu\nu}T_{\mu\nu}\) はエネルギー運動量テンソルのトレース)。したがって:

\[ -R = 8\pi G\,T \quad \Longrightarrow \quad R = -8\pi G\,T \]

🔵 カイ: \(g^{\mu\nu}g_{\mu\nu} = 4\) って、4 次元だから?

🟡 リナ: そう。\(g^{\mu\nu}g_{\mu\nu} = \delta^\mu_\mu = 4\)\(D\) 次元なら \(D\))。

ステップ 2:トレース反転形

これを元の方程式 \(R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R = 8\pi G\,T_{\mu\nu}\) に代入して \(R\) を消去すると:

\[ R_{\mu\nu} = 8\pi G\left(T_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}T\right) \]

この形をトレース反転形と呼ぶ。

ステップ 3:\(00\) 成分を取る

静的・非相対論的な物質では \(T_{00} \approx \rho\)。完全流体の式で \(p = 0\) とすると \(T_{ij} = \rho\,u_i u_j\) だが、非相対論的極限では \(u_i \approx 0\)(先ほどと同じ議論)なので \(T_{ij} \approx 0\)。また非相対論的とは \(u^i \approx 0\)(物質がほぼ静止)を意味する。4 元速度の規格化条件 \(g_{\mu\nu}u^\mu u^\nu = -1\) に弱場近似 \(g_{00} \approx -1\), \(u^i \approx 0\) を代入すると \(-u^0 u^0 \approx -1\) より \(u^0 \approx 1\)。G.4.2 の式で \(T_{0i} = (\rho + p)u_0 u_i + p\,g_{0i}\) を使う。\(p = 0\) なので第 2 項は消える。第 1 項には \(u_i\) が含まれるが、添字を下げると \(u_i = g_{i\mu}u^\mu = g_{i0}u^0 + g_{ij}u^j\)。弱場近似で \(g_{i0} \approx 0\) かつ非相対論的極限で \(u^j \approx 0\) だから、\(u^0 \approx 1\) であっても \(u_i \approx 0\)。したがって \(T_{0i} \approx 0\)。弱場近似では \(g^{\mu\nu} \approx \eta^{\mu\nu}\) だから、符号規約 \((-,+,+,+)\)\(g^{00} \approx \eta^{00} = -1\)\(g^{0i} \approx \eta^{0i} = 0\)\(g^{ij} \approx \eta^{ij} = \delta^{ij}\)。したがってトレースは \(T = g^{\mu\nu}T_{\mu\nu}\)。縮約規則で \(\mu, \nu\) を 0 から 3 まで走らせると \(T = \sum_{\mu=0}^{3}\sum_{\nu=0}^{3} g^{\mu\nu}T_{\mu\nu}\)。これを \(\mu, \nu\) の値で場合分けすると \(T = g^{00}T_{00} + g^{0i}T_{0i} + g^{i0}T_{i0} + g^{ij}T_{ij}\)\(i\) は 1, 2, 3 を走る)。対称性 \(g^{0i} = g^{i0}\), \(T_{0i} = T_{i0}\) から第 2 項と第 3 項は同じ値なので \(T = g^{00}T_{00} + 2g^{0i}T_{0i} + g^{ij}T_{ij}\)。弱場近似で \(g^{00} \approx -1\), \(g^{0i} \approx 0\), \(g^{ij} \approx \delta^{ij}\) であり、\(T_{00} \approx \rho\), \(T_{0i} \approx 0\), \(T_{ij} \approx 0\) だから:

\[ T \approx (-1)\cdot\rho + 0 + 0 = -\rho \]

🔵 カイ: トレースが \(-\rho\) になるのは、\(g^{00} = -1\) の符号が効いてるんだね。

🟡 リナ: その通り。\(g_{00} \approx -1\)(弱場近似 \(|\Phi| \ll 1\)\(-(1+2\Phi) \approx -1\))なので、トレース反転形の右辺の \(00\) 成分は \(8\pi G(T_{00} - \frac{1}{2}g_{00}T)\)\(T_{00} \approx \rho\), \(g_{00} \approx -1\), \(T \approx -\rho\) を代入して:

\[ 8\pi G\left(\rho - \frac{1}{2}(-1)(-\rho)\right) = 8\pi G\left(\rho - \frac{1}{2}\rho\right) = 4\pi G\rho \]

ステップ 4:左辺 \(R_{00}\) を Newton ポテンシャルで書く

線形近似で \(R_{00} \approx -\frac{1}{2}\nabla^2 h_{00}\)(「一般相対論」編 「一般相対論」編 第 8 章参照)。弱場近似では \(g_{00} \approx -(1+2\Phi)\)\(\Phi\) は Newton ポテンシャル、\(|\Phi| \ll 1\))だから:

\[ h_{00} = g_{00} - \eta_{00} = -(1+2\Phi) - (-1) = -2\Phi \]

これを代入すると:

\[ R_{00} \approx -\frac{1}{2}\nabla^2(-2\Phi) = \nabla^2\Phi \]

ステップ 5:ポアソン方程式

ステップ 3 と 4 を等置すると:

\[ \nabla^2\Phi = 4\pi G\,\rho \]

🔵 カイ: おお、Newton のポアソン方程式だ! Einstein 方程式が Newton 重力に帰着した!

🟡 リナ: これは Newton のポアソン方程式そのもの。係数が一致することで \(8\pi G\) が確定する。

📝 練習問題:

✅ 理解度チェック: 導出の結果得られる Einstein 方程式(宇宙定数付き)を書いてください。

答え

\(R_{\mu\nu} - \frac{1}{2}g_{\mu\nu}R + \Lambda g_{\mu\nu} = 8\pi G\,T_{\mu\nu}\)(自然単位系 \(c=1\))。

✅ 理解度チェック: Einstein 方程式の右辺の係数 \(8\pi G\) はどのような条件から決まるでしょうか?

答え

弱い重力場の極限で Newton のポアソン方程式 \(\nabla^2\Phi = 4\pi G\rho\) に帰着する条件から決まる。


G.6 導出の意味と弦理論への展望

G.6.1 作用原理の威力

🟡 リナ: この導出が示していることをまとめよう。

  1. Einstein 方程式は「天から降ってきた」のではない — 最も単純な一般座標不変作用 \(\int\sqrt{-g}\,R\,d^4x\) の変分から必然的に出る
  2. 対称性が方程式を決める — 「一般座標不変」「計量とその微分のみで構成」「2 階微分まで」「最も単純」という要請だけで、作用の形がほぼ一意に決まる(宇宙定数の自由度を除いて)
  3. 保存則が自動的に保証される — 作用の対称性 → Bianchi 恒等式 → \(\nabla^\mu T_{\mu\nu} = 0\)
  4. 量子化の出発点 — 経路積分 \(\int\mathcal{D}[g]\,e^{iS_{EH}/\hbar}\) は(紫外発散の問題はあるが)量子重力の形式的出発点

🔵 カイ: 2 番がすごいな。「対称性を決めたら方程式が決まる」って、逆に言えば対称性を間違えたら全部間違うってことだよね。

🟡 リナ: その通り。だからこそ「正しい対称性を見つけること」が理論構築の最も重要なステップになる。歴史的にも、Maxwell が電磁気学をゲージ対称性で整理し、Einstein が一般座標不変性を要請し、Yang-Mills が非可換ゲージ対称性を導入した——いずれも対称性の発見が決定的な進歩だった。そして対称性が大きいほど理論の自由度が減って方程式が絞り込まれる——対称性が足りないと候補が多すぎて一意に決まらない。

⚪ メイ: つまり、さっきの 4 つの要請で作用がほぼ一意に決まったのは、対称性による制約が強かったからなのね。

🟡 リナ: まさにそう。具体的に言えば、一般座標不変性は Lorentz 不変性よりもずっと大きな対称性だから、許される作用の形を強く絞り込む。たとえば重力を Lorentz 不変性だけで記述しようとすると、対称性が足りず整合的な理論にならない。G.5.2 で見た Bianchi 恒等式もこの「絞り込み」の具体例——対称性が 4 つの恒等式を生み、独立な方程式を 10 個から 6 個に減らしていた。

G.6.2 弦理論への接続 {#string-appendix-g-connection-to-string-theory}}

🔵 カイ: 弦理論ではどうなるの?

🟡 リナ: 第 13 章で見る Polyakov 作用:

\[ S_P = -\frac{T}{2}\int d^2\sigma\,\sqrt{-h}\,h^{ab}\,\eta_{\mu\nu}\,\partial_a X^\mu\,\partial_b X^\nu \]

は、2 次元世界面上のスカラー場 \(X^\mu\) の作用で、世界面の計量 \(h_{ab}\) が独立な動的変数として入っている。Einstein-Hilbert 作用と共通するのは「計量を含む作用を計量で変分する」という構造。\(h_{ab}\) が世界面の計量、\(X^\mu\) が埋め込み座標(弦上の各点が時空のどこにいるかを表す関数、詳しくは第 13 章で導入する)。

🔵 カイ: G.4 で \(g^{\mu\nu}\) で変分して \(T_{\mu\nu}\) を得たのと、\(h^{ab}\) で変分するのは全く同じ精神だね。

🟡 リナ: その通り。

%%{init: {"theme": "default", "themeCSS": ".edgePath .path, .flowchart-link { stroke-width: 2px !important; }"}}%%
flowchart TD
    subgraph GR["一般相対論 (4次元時空)"]
        A1["動的変数: g_μν"] --> A2["作用: S_EH = ∫d⁴x √-g R"]
        A2 -->|δ/δg^μν = 0| A3["Einstein 方程式"]
    end
    subgraph ST["弦理論 (2次元世界面)"]
        B1["動的変数: h_ab, X^μ"] --> B2["作用: S_P = -T/2 ∫d²σ √-h h^ab ∂_a X^μ ∂_b X_μ"]
        B2 -->|δ/δh^ab = 0| B3["拘束条件 T_ab = 0"]
        B2 -->|δ/δX^μ = 0| B4["波動方程式"]
    end
    GR -.->|"同じ変分原理の精神<br>次元: 4→2"| ST

図 G.5: 重力作用と弦作用の構造的類似性

変分の精神は全く同じ: - \(h^{ab}\) で変分 → 世界面上のエネルギー運動量テンソル \(= 0\)(拘束条件) - \(X^\mu\) で変分 → 弦の運動方程式(波動方程式)

🔵 カイ: へえ、世界面の計量 \(h_{ab}\) で変分するのが Einstein 方程式の \(g_{\mu\nu}\) で変分するのと対応してるんだ(図 G.5「重力作用と弦作用の構造的類似性」)。

⚪ メイ: 次元が 4 から 2 に変わっただけで、やることは同じなのね。

🟡 リナ: そう。さらに弦理論の低エネルギー有効作用からは、高次元での Einstein 方程式(+ 高次補正項)が出てくる。つまり弦理論は Einstein の重力を「含んでいる」。これが弦理論が量子重力の候補とされる理由の一つ。

G.6.3 科学哲学的注意

🟡 リナ: 最後に一つ。この導出は美しいけど、忘れてはいけないことがある。

Einstein 方程式はモデル。「最も単純な作用」を選んだのは人間の美的判断であって、自然がそれに従う保証はない。実際:

  • 高エネルギーでは \(R^2\) 項や \(R_{\mu\nu}R^{\mu\nu}\) 項が重要になるかもしれない(高次重力モデル)
  • 量子効果で作用自体が修正されるかもしれない
  • 弦理論は \(\alpha'\)(弦の張力の逆数)の展開で無限個の高次補正を予言する

🔵 カイ: つまり、Einstein 方程式が「正しい」んじゃなくて、「今のところ実験と合っている最もシンプルなモデル」ってこと?

🟡 リナ: その通り。作用の形を「最も単純」と選んだのは、現在の実験精度で検証可能な範囲では正しいから。しかしそれは永遠の真理ではなく、より精密な実験で修正される可能性が常にある。

🔵 カイ: もし将来もっと精密な観測で \(R^2\) の項が見つかったら、作用を書き換えるだけでいい?

🟡 リナ: まさにそう。作用原理の枠組み自体は残して、作用の中身を修正する。これが作用原理のもう一つの利点 — 理論の拡張が系統的にできること。つまり変分原理の手順自体は変わらず、中身だけ差し替えればいい。言い換えれば、作用原理は「答え」ではなく「問いの立て方」を提供していて、中身は実験で決める。科学哲学でいう「反証可能性」、つまり実験で否定される可能性を常に持っているのが物理学の強み。自分で判断する姿勢を忘れずに。

⚪ メイ: なるほど、枠組みは固定して中身を差し替える——だから \(R^2\) 項を足しても、やることは同じ「変分してゼロとおく」なのね。

📝 練習問題:

✅ 理解度チェック: 作用として \(R\)(スカラー曲率)が選ばれる理由は何でしょうか?

答え

\(R\) が計量テンソルの 2 階微分を含む最も単純な一般座標不変スカラーだから。ただしこれは「最も単純」という美的判断に基づく選択であり、高エネルギーでは修正される可能性がある。


G.7 練習問題

本付録で登場した練習問題を再掲する。

📝 練習問題:


次章予告

この付録で Einstein 方程式の変分的導出を完了した。第 13 章では同じ変分原理の精神を弦に適用し、Polyakov 作用から弦の運動方程式と拘束条件を導出する。


参考文献

  • Sean Carroll, Spacetime and Geometry, Ch.4「Einstein 方程式の導出」— Palatini の恒等式と境界項の詳細な議論
  • David Tong, Lectures on General Relativity, Ch.4: "The Einstein Equations" — 変分の計算の明快な解説
  • Robert Wald, General Relativity, Ch.E「変分原理」— Gibbons-Hawking-York 境界項の厳密な扱い
  • Barton Zwiebach, A First Course in String Theory, Ch.12: "Relativistic quantum open strings" — 弦の作用と変分の類似性
  • 「一般相対論」編 第 14 章 — Einstein 方程式の導出(同等内容の詳細版。既読者はこの付録を skip 可能)
  • 「一般相対論」編 Appendix C — 変分法と最小作用の原理
  • 「場の量子論」編 第 3 章 — 古典場の理論、Lagrangian と Noether の定理