第 5 章 練習問題¶
目次
Basic(基礎)
- B-1. Clifford 代数の基本計算
- B-2. \(\gamma^\mu \gamma_\mu\) の計算
- B-3. Dirac 共役の変換
- B-4. Lorentz 代数の組み替え
- B-5. スピノル表現のブースト生成子
- B-6. Dirac 場の Euler-Lagrange 方程式(\(\psi\) 変分)
- B-7. 共役運動量の確認
- B-8. Hamiltonian 密度の導出
- B-9. スカラー場の反交換関係と因果律の破れ
Medium(標準)
Advanced(発展)
Basic(基礎)¶
B-1. Clifford 代数の基本計算¶
Clifford (クリフォード) 代数 \(\{\gamma^\mu, \gamma^\nu\} = 2\eta^{\mu\nu}\mathbf{1}\) を用いて、以下を計算せよ。ただし \(\eta^{\mu\nu} = \mathrm{diag}(+1,-1,-1,-1)\) とする。
(a) \(\gamma^0 \gamma^0\)
(b) \(\gamma^2 \gamma^2\)
(c) \(\gamma^1 \gamma^3 + \gamma^3 \gamma^1\)
(d) \(\gamma^0 \gamma^2 \gamma^0\)(ヒントを参照して段階的に計算すること)
ヒント
(a)–(c) は \(\{\gamma^\mu, \gamma^\nu\} = 2\eta^{\mu\nu}\mathbf{1}\) に \(\mu, \nu\) を直接代入するだけです。(d) では、まず \(\gamma^0 \gamma^2 = -\gamma^2 \gamma^0\)(異なる添字の反可換性)を使って \(\gamma^0\) を右に移動させましょう。
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B-2. \(\gamma^\mu \gamma_\mu\) の計算¶
\(\gamma^\mu \gamma_\mu = \eta_{\mu\nu}\gamma^\mu \gamma^\nu\) を、Clifford 代数の反交換関係を用いて計算し、結果が \(d\,\mathbf{1}\)(\(d\) は時空次元)になることを示せ。ここでは \(d = 4\) として具体的な値を求めよ。
ヒント
\(\gamma^\mu \gamma_\mu = \eta_{\mu\nu}\gamma^\mu \gamma^\nu\) を対称部分として扱います。\(\eta_{\mu\nu}\gamma^\mu \gamma^\nu = \eta_{\mu\nu} \cdot \frac{1}{2}\{\gamma^\mu, \gamma^\nu\} = \eta_{\mu\nu}\eta^{\mu\nu}\mathbf{1}\) と変形し、\(\eta_{\mu\nu}\eta^{\mu\nu} = \delta^\mu{}_\mu = d\) を使いましょう。
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B-3. Dirac 共役の変換¶
Dirac 共役 (Dirac adjoint) \(\bar{\psi} \equiv \psi^\dagger \gamma^0\) の定義を用いて、以下を示せ。
(a) \(\overline{(\gamma^\mu \psi)} = \bar{\psi}\gamma^\mu\) を示せ。ただし \(\gamma^0\) のエルミート性 \((\gamma^0)^\dagger = \gamma^0\) および空間成分の反エルミート性 \((\gamma^i)^\dagger = -\gamma^i\) を用いてよい。
(b) 上の結果を用いて、\(\bar{\psi}\gamma^\mu\psi\) が実数(すなわち \((\bar{\psi}\gamma^\mu\psi)^\dagger = \bar{\psi}\gamma^\mu\psi\))であることを示せ。
ヒント
(a) まず \((\gamma^\mu)^\dagger = \gamma^0 \gamma^\mu \gamma^0\) が成り立つことを \(\mu = 0\) と \(\mu = i\) の場合に分けて確認しましょう。これを使えば \((\gamma^\mu \psi)^\dagger \gamma^0 = \psi^\dagger (\gamma^\mu)^\dagger \gamma^0 = \psi^\dagger \gamma^0 \gamma^\mu \gamma^0 \gamma^0 = \bar{\psi}\gamma^\mu\) と整理できます。(b) ではスピノルの成分を明示的に書くか、(a) の結果を直接適用してください。
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B-4. Lorentz 代数の組み替え¶
本文の式 (5.4) で定義された生成子
を用いて、\([J^i_+, J^j_-] = 0\)(式 (5.5c))を導け。途中の計算を省略せず、式 (5.3a)–(5.3c) の交換関係を一つずつ代入すること。
ヒント
本文で \([J^i_+, J^j_+]\) を計算した手順と全く同じです。\([J^i_+, J^j_-] = \frac{1}{4}[(J^i + iK^i),(J^j - iK^j)]\) を展開し、4 つの交換子 \([J^i,J^j]\)、\([J^i,-iK^j]\)、\([iK^i,J^j]\)、\([iK^i,-iK^j]\) をそれぞれ計算して足し合わせましょう。\(K\) の項と \(J\) の項がそれぞれ打ち消し合うはずです。
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B-5. スピノル表現のブースト生成子¶
左巻き Weyl (ワイル) スピノル \((1/2, 0)\) のブースト生成子は \(\mathbf{K}_L = -i\boldsymbol{\sigma}/2\) である。\(x\) 方向に rapidity (ラピディティ) \(\eta\) のブーストを行う変換行列
を、\(\sigma^1\) の性質 \((\sigma^1)^2 = \mathbf{1}\) を用いて \(\cosh\) と \(\sinh\) で明示的に書き下せ。
ヒント
\(e^{-\frac{\eta}{2}\sigma^1}\) を Taylor 展開し、\((\sigma^1)^{2n} = \mathbf{1}\)、\((\sigma^1)^{2n+1} = \sigma^1\) を使って偶数次と奇数次を分けましょう。\(\cosh\) と \(\sinh\) の級数定義と比較してください。
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B-6. Dirac 場の Euler-Lagrange 方程式(\(\psi\) 変分)¶
Lagrangian 密度 \(\mathcal{L} = \bar{\psi}(i\gamma^\mu \partial_\mu - m)\psi\) に対して、\(\psi\)(\(\bar{\psi}\) ではなく)に関する Euler-Lagrange 方程式
を計算し、Dirac 方程式の共役方程式
を導け。ここで \(\alpha\) はスピノル成分の添字である。
ヒント
\(\mathcal{L}\) を部分積分して \(\bar{\psi}\) に微分を移すか、あるいは直接 \(\bar{\psi}_\alpha\) で偏微分します。\(\mathcal{L} = i\bar{\psi}_\alpha (\gamma^\mu)_{\alpha\beta}\partial_\mu \psi_\beta - m\bar{\psi}_\alpha \psi_\alpha\) と成分を明示すると計算しやすくなります。\(\partial_\mu \bar{\psi}\) を含む項を見落とさないよう注意してください(部分積分が必要です)。
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B-7. 共役運動量の確認¶
本文の式 (5.8) で \(\Pi = i\psi^\dagger\) が得られた。この結果を成分で確認せよ。すなわち、\(\mathcal{L} = i\psi^\dagger_\alpha (\gamma^0)_{\alpha\beta}(\gamma^\mu)_{\beta\gamma}\partial_\mu \psi_\gamma - m\psi^\dagger_\alpha (\gamma^0)_{\alpha\beta}\psi_\beta\) と書いたとき、\(\Pi_\alpha = \partial \mathcal{L}/\partial \dot{\psi}_\alpha\) を計算し、\(\Pi_\alpha = i\psi^\dagger_\alpha\) となることを確かめよ。
ヒント
\(\dot{\psi}_\alpha = \partial_0 \psi_\alpha\) を含む項は \(\mu = 0\) の項のみです。\(i\psi^\dagger_\alpha (\gamma^0)_{\alpha\beta}(\gamma^0)_{\beta\gamma}\partial_0 \psi_\gamma = i\psi^\dagger_\alpha [(\gamma^0)^2]_{\alpha\gamma}\partial_0 \psi_\gamma\) を使い、\((\gamma^0)^2 = \mathbf{1}\) を代入してください。
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B-8. Hamiltonian 密度の導出¶
本文の式 (5.9) の導出を完成させよ。Legendre 変換
に \(\Pi = i\psi^\dagger\)、\(\mathcal{L} = \bar{\psi}(i\gamma^\mu\partial_\mu - m)\psi\) を代入し、\(\mathcal{L}\) を \(\mu = 0\) 成分と \(\mu = j\)(空間成分)に分離して、式 (5.9)
を得よ。
ヒント
\(\mathcal{L} = i\bar{\psi}\gamma^0\partial_0\psi + i\bar{\psi}\gamma^j\partial_j\psi - m\bar{\psi}\psi\) と分解します。\(\bar{\psi}\gamma^0 = \psi^\dagger(\gamma^0)^2 = \psi^\dagger\) なので、第 1 項は \(i\psi^\dagger\dot{\psi} = \Pi\dot{\psi}\) です。これが Legendre 変換で \(\Pi\dot{\psi}\) と打ち消し合い、残りの項が \(\mathcal{H}\) になります。\(\bar{\psi}\gamma^j = \psi^\dagger\gamma^0\gamma^j\) であることに注意してください。
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B-9. スカラー場の反交換関係と因果律の破れ¶
実スカラー場 \(\phi(x)\) に対して交換関係ではなく反交換関係 \(\{\phi(x), \phi(y)\} = i\Delta(x-y)\) を課したと仮定する。空間的に離れた 2 点 \((x - y)^2 < 0\) に対して \(\{\phi(x), \phi(y)\} \neq 0\) となること(因果律の破れ)を示せ。交換関係の場合に因果律が保たれる理由と対比して説明せよ。
ヒント
\(\Delta(x-y) = \int \frac{d^3p}{(2\pi)^3 2\omega_p}(e^{-ip\cdot(x-y)} - e^{ip\cdot(x-y)})\) は奇関数。反交換関係では \(+\) 号になり偶関数(空間的領域でもゼロにならない)。
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Medium(標準)¶
M-1. 交換関係による量子化の破綻¶
Dirac 場のモード展開
を考える。ここで \(u^s(\boldsymbol{p})\), \(v^s(\boldsymbol{p})\) は Dirac 方程式の正・負エネルギー解、\(E_{\boldsymbol{p}} = \sqrt{|\boldsymbol{p}|^2 + m^2}\) である。
(a) 仮に \(\hat{b}^s_{\boldsymbol{p}}\), \(\hat{d}^s_{\boldsymbol{p}}\) に対して交換関係
を課すと、Hamiltonian が
の形になることを示せ(完全な導出でなくてよい。\(d\) セクターの符号に注目して議論すること)。
(b) 上の結果から、\(\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}\) を繰り返し作用させるとエネルギーをいくらでも下げられることを説明し、これが物理的に受け入れられない理由を述べよ。
(c) 代わりに反交換関係
を課すと、\(d\) セクターの符号が逆転し、Hamiltonian が正定値(零点エネルギーを除いて)になることを示せ。
ヒント
(a) モード展開を Hamiltonian に代入し、スピノルの完全性関係 \(\sum_s u^s(\boldsymbol{p})\bar{u}^s(\boldsymbol{p}) = \not\!p + m\) などを使って整理します。\(d\) セクターで交換関係 \(\hat{d}\hat{d}^\dagger = \hat{d}^\dagger\hat{d} + [\hat{d},\hat{d}^\dagger]\) の符号が \(-1\) であることが鍵です。(b) \(\hat{d}^{s\dagger}\) が「負のエネルギー粒子」を生成する演算子として機能してしまうことを議論してください。(c) 反交換関係では \(\hat{d}\hat{d}^\dagger = -\hat{d}^\dagger\hat{d} + \{\hat{d},\hat{d}^\dagger\}\) となり、符号が変わることを確認しましょう。
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M-2. Pauli の排他原理の導出¶
反交換関係 \(\{\hat{b}^r_{\boldsymbol{p}}, \hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{q}}\} = (2\pi)^3\delta^{rs}\delta^{(3)}(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\) を用いて、以下を示せ。
(a) \((\hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}})^2 = 0\) を示せ。
(b) この結果が、同一の量子数 \((\boldsymbol{p}, s)\) を持つフェルミオンを 2 個以上同じ状態に置けないこと(Pauli (パウリ) の排他原理)を意味することを説明せよ。
(c) スカラー場の交換関係 \([\hat{a}_{\boldsymbol{p}}, \hat{a}^\dagger_{\boldsymbol{q}}] = (2\pi)^3\delta^{(3)}(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\) の場合には \((\hat{a}^\dagger_{\boldsymbol{p}})^n |0\rangle \neq 0\)(\(n\) は任意の正整数)であることと対比せよ。
ヒント
(a) \(\{\hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}, \hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}\} = 2(\hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}})^2\) を計算してみましょう。反交換関係で \(r=s\), \(\boldsymbol{p}=\boldsymbol{q}\) とした式とは別に、\(\{\hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}, \hat{b}^{r\dagger}_{\boldsymbol{q}}\} = 0\) という関係が必要です。(c) ボソンの場合は \((\hat{a}^\dagger)^n |0\rangle = \sqrt{n!}|n\rangle\) であることを思い出してください。
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M-3. Dirac 場の等時刻反交換関係¶
モード展開と基本的な反交換関係
(他の反交換子はすべてゼロ)から出発して、等時刻反交換関係
を導け。ここで \(\alpha, \beta\) はスピノル成分の添字である。スピノルの完全性関係
を用いてよい。
ヒント
モード展開を代入して反交換子を計算すると、\(b\) と \(d\) のクロス項は消えます(\(\{b, d^\dagger\} = 0\) などのため)。\(b\) セクターと \(d\) セクターからの寄与を足し合わせ、運動量積分の中にスピノルの完全性関係が現れることを確認しましょう。\(v^s(\boldsymbol{p})e^{+ip\cdot x}\) の項では、積分変数 \(\boldsymbol{p} \to -\boldsymbol{p}\) の置き換えが有用です。
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M-4. Noether カレントとフェルミオン数の保存¶
Dirac 場の Lagrangian \(\mathcal{L} = \bar{\psi}(i\not\!\partial - m)\psi\) は大域的 \(U(1)\) 変換
のもとで不変である。
(a) Noether の定理を用いて、保存カレント \(j^\mu = \bar{\psi}\gamma^\mu\psi\) を導け。
(b) 対応する保存電荷
をモード展開で書き直し、
の形になることを示せ。
(c) この結果から、\(\hat{b}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}\) が生成する粒子と \(\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}\) が生成する粒子の電荷が逆符号であることを読み取り、\(\hat{d}^{s\dagger}_{\boldsymbol{p}}\) が反粒子の生成演算子であることを説明せよ。
ヒント
(a) 微小変換 \(\delta\psi = i\alpha\psi\) に対する Noether カレントの公式 \(j^\mu = \frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\psi)}\delta\psi + \delta\bar{\psi}\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\bar{\psi})}\) を使います。(b) \(\hat{Q} = \int d^3x\, \hat{\psi}^\dagger\hat{\psi}\) にモード展開を代入し、空間積分で \(e^{i(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\cdot\boldsymbol{x}}\) が \(\delta^{(3)}(\boldsymbol{p}-\boldsymbol{q})\) を生むことを使います。\(b\)-\(d\) のクロス項は直交性(\(u^\dagger v\) 型の項)で消えます。
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Advanced(発展)¶
A-1. スピンと統計の定理——因果律からの議論¶
Dirac 場に対して、空間的に離れた 2 点 \((x - y)^2 < 0\) での因果律(測定の独立性)を議論する。
(a) スカラー場(ボソン)では、交換関係を課した場合に空間的間隔で \([\hat{\phi}(x), \hat{\phi}(y)] = 0\) が成り立つことを第 4 章の結果を引用して述べよ。
(b) Dirac 場に対して、もし交換関係を課した場合、空間的間隔で \([\hat{\psi}_\alpha(x), \bar{\hat{\psi}}_\beta(y)] \neq 0\) となり因果律が破れることを、正エネルギー・負エネルギーの寄与の打ち消しが起こらないことから議論せよ。
(c) 反交換関係を課した場合には \(\{\hat{\psi}_\alpha(x), \bar{\hat{\psi}}_\beta(y)\} = 0\)(\((x-y)^2 < 0\))が成り立つことを示し、これが因果律と整合する理由を説明せよ。特に、物理的な観測量(フェルミオン場の双一次形式 \(\bar{\psi}\Gamma\psi\) など)の交換関係が空間的間隔でゼロになることを論じよ。
(d) 以上の議論を一般化して、「整数スピンの場はボソン(交換関係)、半整数スピンの場はフェルミオン(反交換関係)でなければならない」というスピンと統計の定理 (spin-statistics theorem) の物理的な要請を、(i) エネルギーの正定値性と (ii) 因果律の 2 つの観点からまとめよ。
ヒント
(a) 第 4 章で示した \([\hat{\phi}(x), \hat{\phi}(y)]\) の Lorentz 不変性と、等時刻 \(x^0 = y^0\) での消失を思い出しましょう。(b) ボソンの場合、粒子と反粒子の伝播振幅が空間的間隔で打ち消し合うのは、両者が同じ統計に従うからです。フェルミオンに交換関係を課すと、この打ち消しに必要な相対符号が得られません。(c) 反交換関係では \(\hat{\psi}(x)\bar{\hat{\psi}}(y) = -\bar{\hat{\psi}}(y)\hat{\psi}(x) + \{\hat{\psi}(x), \bar{\hat{\psi}}(y)\}\) であり、反交換子がゼロなら場の順序を入れ替えると符号が変わるだけです。フェルミオン場の観測量は必ず偶数個のフェルミオン場の積で書かれることに注意してください。(d) S1 の結果と本問の結果を組み合わせましょう。
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A-2. \(C\), \(P\), \(T\) 変換と \(CPT\) 定理¶
Dirac 場に対する離散対称性 \(C\)(荷電共役 (charge conjugation))、\(P\)(空間反転 (parity))、\(T\)(時間反転 (time reversal))を考える。
(a) パリティ変換 \(P\) のもとで Dirac 場が
と変換されるとする(\(\eta_P\) は位相因子)。この変換則のもとで、Dirac 方程式 \((i\gamma^\mu\partial_\mu - m)\psi = 0\) が不変であることを示せ。
(b) 荷電共役変換 \(C\) を
と定義する。ここで \(C\) は荷電共役行列で \(C\gamma^{\mu T}C^{-1} = -\gamma^\mu\) を満たす。モード展開を用いて、\(C\) 変換が粒子と反粒子を入れ替える(\(\hat{b}^s_{\boldsymbol{p}} \leftrightarrow \hat{d}^s_{\boldsymbol{p}}\))ことを示せ。
(c) \(CPT\) 変換の積を Dirac 場に作用させたとき、Lagrangian \(\mathcal{L} = \bar{\psi}(i\not\!\partial - m)\psi\) が不変であることを確認せよ。\(CPT\) 定理が Lorentz 不変性と局所性から導かれる一般的定理であることに言及しつつ、この具体例での不変性を示すこと。
ヒント
(a) \(\psi'(t, \boldsymbol{x}) = \eta_P \gamma^0 \psi(t, -\boldsymbol{x})\) を Dirac 方程式に代入します。\(\partial_0\) は変わりませんが、\(\partial_i \to -\partial_i'\) となることに注意。\(\gamma^0 \gamma^i \gamma^0 = -\gamma^i\) を使います。(b) \(\bar{\psi}^T\) のモード展開を書き下し、\(C\) 行列が \(u\) スピノルと \(v\) スピノルを結びつけること(\(C\bar{u}^T \propto v\) など)を利用します。(c) 各変換を順に適用するか、\(CPT\) 変換の合成を一度に書き下します。\(CPT\) は場を \(\hat{\psi}(x) \to \gamma^5 \hat{\psi}^c(-x)\) のような形に変換することを確認してください。\(\gamma^5 \equiv i\gamma^0\gamma^1\gamma^2\gamma^3\) の性質が必要になります。
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