第 1 章 練習問題¶
目次
Basic(基礎)
- B-1. Planck 定数の小ささを実感する
- B-2. 仕事関数と閾値振動数
- B-3. 光電効果の運動エネルギー
- B-4. Rydberg 公式による波長計算
- B-5. Bohr の量子条件と軌道半径
- B-6. Bohr 半径の数値計算
- B-7. Planck 分布の極限
- B-8. Boltzmann 因子の比較
Medium(標準)
- M-1. Bohr モデルによる水素原子のエネルギー準位の導出
- M-2. 光電効果の実験データからの Planck 定数の決定
- M-3. 古典的原子崩壊時間のオーダー見積もり
- M-4. Planck 分布の高振動数極限と Wien の法則
Advanced(発展)
Basic(基礎)¶
B-1. Planck 定数の小ささを実感する¶
可視光の代表的な振動数を \(\nu = 5.0 \times 10^{14}\;\mathrm{Hz}\) とする。光子 1 個のエネルギー \(E = h\nu\) を SI 単位 (J) で計算し、さらに電子ボルト (eV) に換算せよ。ただし \(h = 6.626 \times 10^{-34}\;\mathrm{J \cdot s}\)、\(1\;\mathrm{eV} = 1.602 \times 10^{-19}\;\mathrm{J}\) とする。
ヒント
\(E = h\nu\) に数値を代入し、eV への換算は \(E\;[\mathrm{eV}] = E\;[\mathrm{J}] / (1.602 \times 10^{-19})\) を使う。
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B-2. 仕事関数と閾値振動数¶
ナトリウム (Na) の仕事関数は \(W = 2.28\;\mathrm{eV}\) である。光電効果が起こるための閾値振動数 \(\nu_0\) を求めよ。また、対応する閾値波長 \(\lambda_0\) を nm 単位で求めよ。ただし \(c = 3.00 \times 10^8\;\mathrm{m/s}\) とする。
ヒント
閾値条件は \(h\nu_0 = W\) である。波長との関係は \(c = \lambda_0 \nu_0\)。\(W\) を J に換算してから代入すること。
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B-3. 光電効果の運動エネルギー¶
仕事関数 \(W = 4.50\;\mathrm{eV}\) の金属に、波長 \(\lambda = 200\;\mathrm{nm}\) の紫外光を照射した。飛び出す電子の最大運動エネルギー \(K\) を eV 単位で求めよ。
ヒント
光子のエネルギーは \(E = hc/\lambda\) で求まる。\(hc \simeq 1240\;\mathrm{eV \cdot nm}\) を使うと計算が楽になる。その後 \(K = E - W\) を適用する。
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B-4. Rydberg 公式による波長計算¶
Rydberg 公式 (1.6) を用いて、水素原子の Balmer (バルマー) 系列(\(n = 2\))のうち、\(m = 3\) に対応するスペクトル線の波長 \(\lambda\) を nm 単位で求めよ。\(R_\infty = 1.097 \times 10^7\;\mathrm{m^{-1}}\) とする。
ヒント
に数値を代入し、\(\lambda\) を求める。
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B-5. Bohr の量子条件と軌道半径¶
水素原子の Bohr モデルにおいて、電子の円運動の力のつり合い(Coulomb 力 = 向心力)は
で与えられる。Bohr の量子条件 \(m_e v r = n\hbar\) と組み合わせて、\(n\) 番目の軌道半径 \(r_n\) を \(n\), \(\hbar\), \(m_e\), \(e\), \(\varepsilon_0\) で表せ。
ヒント
量子条件から \(v = n\hbar/(m_e r)\) を得て、力のつり合いの式に代入し、\(r\) について解く。
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B-6. Bohr 半径の数値計算¶
D5 の結果で \(n = 1\) とした値を Bohr 半径 \(a_0\) と呼ぶ。以下の定数を用いて \(a_0\) の値を有効数字 3 桁で計算せよ。
- \(\hbar = 1.055 \times 10^{-34}\;\mathrm{J \cdot s}\)
- \(m_e = 9.109 \times 10^{-31}\;\mathrm{kg}\)
- \(e = 1.602 \times 10^{-19}\;\mathrm{C}\)
- \(4\pi\varepsilon_0 = 1.113 \times 10^{-10}\;\mathrm{C^2/(N \cdot m^2)}\)
ヒント
に数値を代入する。答えは \(10^{-10}\;\mathrm{m}\) のオーダーになるはず。
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B-7. Planck 分布の極限¶
Planck の平均エネルギーの公式
について、\(h\nu \ll k_B T\) の極限で \(\langle E \rangle \simeq k_B T\) となることを、\(e^x \simeq 1 + x\)(\(x \ll 1\))の近似を用いて示せ。
ヒント
\(x = h\nu/(k_B T) \ll 1\) とおくと、分母は \(e^x - 1 \simeq x\) となる。
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B-8. Boltzmann 因子の比較¶
温度 \(T = 6000\;\mathrm{K}\)(太陽表面の温度程度)において、以下の 2 つの振動数に対する Boltzmann 因子 \(e^{-h\nu / k_B T}\) をそれぞれ計算せよ。
(a) 可視光:\(\nu_1 = 5.0 \times 10^{14}\;\mathrm{Hz}\)
(b) 紫外光:\(\nu_2 = 3.0 \times 10^{15}\;\mathrm{Hz}\)
結果を比較し、高振動数モードが抑制される様子を確認せよ。
ヒント
まず \(k_B T\) を計算し(\(k_B = 1.38 \times 10^{-23}\;\mathrm{J/K}\))、次に \(h\nu/(k_B T)\) を求めてから指数関数を評価する。
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Medium(標準)¶
M-1. Bohr モデルによる水素原子のエネルギー準位の導出¶
水素原子の Bohr モデルにおいて、以下の手順でエネルギー準位 \(E_n\) を導出せよ。
(a) 電子の円運動の力のつり合い(Coulomb 力 = 向心力)と Bohr の量子条件 \(L = n\hbar\) を連立し、\(n\) 番目の軌道の半径 \(r_n\) と速度 \(v_n\) を求めよ。
(b) 電子の全エネルギー(運動エネルギー + Coulomb ポテンシャルエネルギー)を \(r_n\) で表し、
を導け。
(c) 振動数条件 \(h\nu = E_m - E_n\) と \(c = \lambda\nu\) を用いて、Rydberg 公式 (1.6) を再現し、Rydberg 定数 \(R_\infty\) を基本定数で表せ。
ヒント
(a) D5 と同じ手順で \(r_n\) を求め、量子条件に戻して \(v_n\) を得る。 (b) 運動エネルギーは \(\frac{1}{2}m_e v_n^2\)、ポテンシャルエネルギーは \(-e^2/(4\pi\varepsilon_0 r_n)\)。力のつり合いから \(\frac{1}{2}m_e v_n^2 = e^2/(8\pi\varepsilon_0 r_n)\) を使うと簡潔に書ける。 (c) \(1/\lambda = \nu/c\) として整理する。
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M-2. 光電効果の実験データからの Planck 定数の決定¶
光電効果の実験で、ある金属に様々な振動数 \(\nu\) の光を照射し、飛び出す電子の最大運動エネルギー \(K\) を測定した。以下のデータが得られたとする。
| \(\nu\;[10^{14}\;\mathrm{Hz}]\) | \(K\;[\mathrm{eV}]\) |
|---|---|
| 6.0 | 0.21 |
| 7.5 | 0.83 |
| 9.0 | 1.45 |
| 10.5 | 2.07 |
(a) \(K\) を \(\nu\) の関数としてグラフの概形を描き、直線関係 \(K = h\nu - W\) が成り立つことを確認せよ。
(b) データから Planck 定数 \(h\) の値を eV·s 単位で求めよ。
(c) この金属の仕事関数 \(W\) を eV 単位で求めよ。
(d) 求めた \(h\) の値を SI 単位 (J·s) に換算し、文献値 \(h = 6.626 \times 10^{-34}\;\mathrm{J \cdot s}\) と比較せよ。
ヒント
(b) 直線の傾きが \(h\) に対応する。2 点を選んで \(\Delta K / \Delta \nu\) を計算すればよい。 (c) 直線の \(\nu\) 切片(\(K = 0\) となる \(\nu_0\))から \(W = h\nu_0\) を求めるか、直線の \(K\) 切片から直接読み取る。
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M-3. 古典的原子崩壊時間のオーダー見積もり¶
古典電磁気学において、加速度 \(a\) で運動する電荷 \(e\) が単位時間あたりに放射するエネルギー(Larmor の公式)は
で与えられる。水素原子の電子が Bohr 半径 \(a_0 \simeq 5.3 \times 10^{-11}\;\mathrm{m}\) の円軌道上にあると仮定して、以下を求めよ。
(a) 電子の向心加速度 \(a\) を、力のつり合いから \(a_0\), \(m_e\), \(e\), \(\varepsilon_0\) で表し、数値を計算せよ。
(b) Larmor の公式を用いて放射パワー \(P\) を計算せよ。
(c) 電子の全エネルギー \(E_1 = -13.6\;\mathrm{eV}\) を用いて、\(|E_1|/P\) のオーダーから古典的崩壊時間 \(\tau\) を見積もり、式 (1.5) の \(\tau \sim 10^{-11}\;\mathrm{s}\) と整合することを確認せよ。
ヒント
(a) Coulomb 力 \(F = e^2/(4\pi\varepsilon_0 a_0^2)\) と \(F = m_e a\) から \(a\) を得る。 (c) エネルギーを J に換算してから \(P\) で割る。厳密な崩壊時間の計算ではないが、オーダーが合えばよい。
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M-4. Planck 分布の高振動数極限と Wien の法則¶
Planck の黒体輻射のスペクトル放射輝度(単位振動数あたり)は
で与えられる。
(a) \(h\nu \gg k_B T\) の極限で、\(B(\nu, T) \simeq \frac{2h\nu^3}{c^2} e^{-h\nu/k_B T}\) となることを示せ(Wien (ヴィーン) の放射法則)。
(b) \(B(\nu, T)\) が最大となる振動数 \(\nu_{\max}\) が温度 \(T\) に比例すること(Wien の変位則 \(\nu_{\max} \propto T\))を、\(\partial B / \partial \nu = 0\) を \(x = h\nu/(k_B T)\) で書き換えることで示せ。(超越方程式を解く必要はなく、\(x\) が定数になることを示せば十分。)
ヒント
(a) \(h\nu \gg k_B T\) のとき \(e^{h\nu/k_B T} \gg 1\) なので分母で \(-1\) を無視できる。 (b) \(x = h\nu/(k_B T)\) と置換すると、\(\partial B / \partial \nu = 0\) は \(x\) のみの超越方程式になる。\(x\) が \(T\) に依存しない定数であることから \(\nu_{\max} = (\text{定数}) \times k_B T / h\) が従う。
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Advanced(発展)¶
A-1. 古典的等分配則による Rayleigh–Jeans の法則の導出と紫外破綻¶
一辺 \(L\) の立方体の空洞内に存在する電磁場の定在波モード数を考える。
(a) 波数 \(k\) から \(k + dk\) の範囲にあるモードの数(偏光の 2 自由度を含む)が
であることを示せ。ただし \(V = L^3\) は空洞の体積。(境界条件として、各方向に \(k_x = n_x \pi / L\), \(k_y = n_y \pi / L\), \(k_z = n_z \pi / L\)(\(n_x, n_y, n_z = 1, 2, 3, \ldots\))を用いよ。)
(b) \(k = 2\pi\nu/c\) の関係を用いて、振動数 \(\nu\) から \(\nu + d\nu\) の範囲のモード数を
と書き換えよ。
(c) 古典的等分配則により各モードに平均エネルギー \(k_B T\) を割り当て、単位体積あたりのスペクトルエネルギー密度 \(u(\nu, T)\) が
(Rayleigh–Jeans (レイリー・ジーンズ) の法則)となることを示せ。
(d) \(u(\nu, T)\) を \(\nu = 0\) から \(\infty\) まで積分すると発散することを示し、これが紫外破綻であることを説明せよ。
(e) 等分配則の代わりに Planck の平均エネルギー \(\langle E \rangle = h\nu/(e^{h\nu/k_B T} - 1)\) を用いると、全エネルギー密度が有限に収まることを定性的に説明せよ。
ヒント
(a) \(k\) 空間の第一象限(\(n_x, n_y, n_z > 0\))で、半径 \(k\) の球殻の体積 \(4\pi k^2 dk\) の \(1/8\) を取り、格子点の密度 \((\pi/L)^{-3}\) をかけ、偏光で 2 倍する。 (d) \(\int_0^\infty \nu^2 d\nu\) は発散する。 (e) 高振動数で \(\langle E \rangle\) が指数的に減少するため、\(\nu^2 \cdot \langle E \rangle\) の積分は収束する。
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A-2. Bohr モデルの一般化:水素様イオンと対応原理¶
水素様イオン(原子番号 \(Z\)、電子 1 個)に Bohr モデルを適用する。
(a) 原子核の電荷が \(Ze\) であることを考慮し、\(n\) 番目の軌道半径 \(r_n\) とエネルギー準位 \(E_n\) を \(Z\) を含む形で導出せよ。
(b) \(\mathrm{He^+}\)(\(Z = 2\))の基底状態(\(n = 1\))のエネルギーと軌道半径を計算し、水素原子と比較せよ。
(c) Bohr の対応原理 (correspondence principle):量子数 \(n\) が十分大きいとき、隣接準位間の遷移で放出される光の振動数 \(\nu_{n \to n-1}\) が、\(n\) 番目の軌道を回る電子の古典的な回転周波数 \(f_n\) に一致することを示せ。すなわち、\(n \gg 1\) の極限で
となることを確認せよ。
ヒント
(a) Coulomb 力が \(Ze^2/(4\pi\varepsilon_0 r^2)\) に変わるだけ。S1 と同様の手順で \(Z\) を含めて計算する。 (c) \(\nu_{n \to n-1} = (E_n - E_{n-1})/h\) を計算し、\(n \gg 1\) で \((1/(n-1)^2 - 1/n^2) \simeq 2/n^3\) を使う。古典的回転周波数は \(f_n = v_n/(2\pi r_n)\) で求まる。
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